富士日記〈下〉 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論社
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本棚登録 : 610
レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028739

作品紹介・あらすじ

夫武田泰淳の取材旅行に同行したり口述筆記をしたりする傍ら、特異の発想と感受と表現の絶妙なハーモニーをもって、日々の暮らしの中の生を鮮明に浮き彫りにし、森羅万象や世事万端を貫く洞察により事物の本質を衝く白眉の日記。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻から10年以上の時がたち、誰もが歳をとり、体の不調を抱えながらの別荘地での日々が書かれています。

    上中下巻全て読み終わった時、楽しくて賑やかな別荘生活から別れの日までの大きな時の流れの中に自分も飲み込まれていたことに気づきました。
    大岡夫人の「あの頃が絶頂期でしたね」の言葉が重く感じられました。

    そして、今自分もリアルに自分の周りの人達といずれ来る別れの日に向かっていることに気づきます。
    この本の中に描かれた家族、周りの人たちとの楽しい時間や経験を自分も大切にしようと学ばせてもらった素敵な本でした。

  • 下巻は昭和四十四年七月から昭和五十一年九月まで。

    「帰って来る家があって嬉しい。その家の中に、話をきいてくれる男がいて嬉しい。」
    この日記がどう閉じられるかわかっているだけに切ない一文。
    やんちゃな仔猫のタマが新たに家族に加わるが、
    反比例するように夫・泰淳氏は衰弱していく。
    それに伴い日記も飛び気味になり、内容も簡素になっていく。

    富士日記はどの本にも似ていない不思議な魅力がある。
    無邪気ゆえに毒があって、でも従順で献身的。
    読んでいるうちにどんどん武田百合子が好きになってしまう。

  • 私たちの日常はものすごく単純だ。毎日毎日同じことを繰り返すばかりで、一体どこに向かっているのか、いつ終わりが来るのか…そんなことを考えていると、もうどうしようもなくなってくる。だけど、例えば最愛の人との暮らしをテーマにおいて人生を眺めてみると必ず起承転結のドラマが出来上がる。誰の人生だって、必ずドラマなのだ。ハッピーエンド、アンハッピーエンド…。とにかく生きてる奇跡がドラマになっていくのだ。

  • 夫・武田泰淳を見送るまでの数年。自分の切なさや悲しさを描くのではなく、淡々と夫の姿を見つめている、そこにこの人の強さと美しさがある。

  • 文学

  • 武田百合子 「 富士日記 」下巻に 全てが詰まっている良書。上中巻は 。日々の天候、献立、買い物、会話、出来事を綴った上品な日記だが、下巻は抒情詩のように 風景と心情を表現している。そのほか 出版経緯、日記を書かなかった期間や夫の死についての補記や あとがき、水上勉氏の解説を読むと 家族の幸せ記録だったことが よくわかる

    気になった言葉
    「一輪 狂い咲きのボケの花」「夜 満天の星」「濃いインク色の空」「品川あんか」「エログロ」


    「他人の情熱はこっけいに見える」
    「日光が照り渡ると安心する〜幸福を感じる」

    「一本の樹は 今年もちゃんといつものところにある。何だか安心する」
    「気の遠くなるまで拡がった濃紺の海と、絶壁の眼の下に砕けるソーダ水のような波の泡」
    「海と山と平地の色は真暗闇の同じ色で、町の灯りは星とつながっている」

  • 自身の心情、感性、主観に真っ向から向き合う潔さ、度胸を感じました。後半になるにつれ胸が苦しくなる最終巻。

  • 終わりが近づくにつれ胸がつまってくる。

  • 日常、生活、というものの凄み。圧倒的、という言葉しか出てこない。感じるものはたくさんあるのに。なんだか震えてしまう下巻。

  • 剽軽で家族思いなんだけど気分やで扱いづらい典型的な昭和のお父ちゃんな武田泰淳氏とあっけらかんとした性格でよく喋りよく笑いよく怒る百合子さんの人並みにドラマチックで人並みに何でもない日々の記録がどんどん愛しくなってきます。ご主人の具合が芳しくなくなってくる。もちろんかけなかった辛いこと悲しいこと沢山あったのでしょうが百合子さんの文体からは悲壮感がなく、どこかコミカルささえ感じた。大岡さんと武田さんの心はいつまでも少年やりとりが楽しすぎる。食べ合わせ?な献立も素朴だったり豪華だったりする食卓も覗けて楽しい。

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