エッセイスト (中公文庫 た 33-12)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122029859

感想・レビュー・書評

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  • ベテラン・エッセイストが、物書きとしての歩みを綴った自伝的エッセイである。上品なユーモアを漂わせた文章の読みやすさはさすが。

    「ライティング・ビジネスの経済的側面についてもできるだけ情報を提供しようとするものである」から、ライターもしくは志望者にとっても大いに参考になる。
    たとえば、「原稿料の研究」「取材と必要経費」「印税とは」などというエッセイもある。

    何度もうなずきながら読んだ。とくに、次のような記述はまったくそのとおりだと思う。

    《私はフリーでいることの最大のメリットは、
    「いつでも喧嘩をしてやめられる」
     ことだと考えていた。気に入らないことがあれば蹴とばして、啖呵を切ってやめてやる。そのときに、出かかった言葉を呑み込んでしまうのは単なる下請けである。フリーではない。フリーの自由とは、私見によれば、“いやならいつでもやめられる自由”なのだ》91ページ

    本書は、エッセイストとしてのサクセス・ストーリーでもある(ただし、自慢話的なイヤらしさはない)。
    「エッセイスト」という肩書きの持つ優雅な響きとは裏腹に、人気エッセイストとしてやっていくためにはビジネスマン的資質にも恵まれていなければならないことが、よくわかる。

  • 軽妙洒脱。

著者プロフィール

1945年東京都杉並区に生まれる。都立西高を経て東京大学フランス文学
科卒。在学中にサンケイスカラシップによりパリ大学言語学研究所に留学す
るも紛争による休講を利用して貧乏旅行に明け暮れ、ワインは毎日飲むもの
だということだけを学んで1970年に帰国。インバウンドツアーガイド、
海外旅行添乗員、通訳、翻訳を経て文筆業。1983年軽井沢に移住、
1991年から現在の地で農業をはじめる。1992年シャルドネとメル
ローを定植。2003年ヴィラデストワイナリーを立ち上げ果実酒製造免許
を取得、翌2004年より一般営業を開始する。2007年箱根に「玉村豊
男ライフアートミュージアム」開館。著書は『パリ 旅の雑学ノート』、『料
理の四面体』、『田園の快楽』など多数。近著に『隠居志願』、『旅の流儀』。
『千曲川ワインバレー| |新しい農業への視点』刊行以来、長野県と東御市
のワイン振興の仕事に専念してきたが、古稀になった今年からは、少しスタ
ンスを変えてワインバレーの未来を見渡していきたいと思っている。

「2016年 『ワインバレーを見渡して』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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