ハチ公の最後の恋人 (中公文庫 よ 25-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122032071

感想・レビュー・書評

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  • マオとハチの出会いから別れまでのお話。
    マオの実家は新興宗教をしている。ハチは両親に捨てられインド人に育てられ、二人とも特殊な環境に育つ。登場人物も個性強い人が出てきて、スピチュアルの要素も多い。
    この世界観に馴染むには少し時間がかかったが、入り込むと心地よさに眠くなってくる。
    ストーリーはシンプル。これは若さゆえのまばゆさとか、誰かを愛するという、自分では気恥ずかしくて表現できない言葉の感性がいっぱい詰まっていた。
    別れが決っているという、区切られた期間のなかのハチとマオの密度の濃さ。ふと思えば、誰かとの出会いがあれ永遠ではない。必ず、どんな形であれ別れはくる。
    私も思い返してみた。間違いなく生涯のなかで一番幸福な日はいつだったろうかって。

    「なんでこんなにすばらしいことをみんな、毎日しているのに、みんな、特別にしあわせそうじゃないの?」

    読書あるあるというのか、前(の本)と同じような繋がりを感じる本を読むことがよくあります。
    あらゆる大切な人との別れ。
    「私はハチを忘れないが、忘れるだろう。そう思う」
    魂は心に宿る、忘れて、そして人はまた前を向いていく。すらーっと読めてじわっときた。ラストは明るく希望がみえた。若いっていい。

  • 『ハチ公の最後の恋人』読了。
    とても少ない頁で十分すぎるくらいの出会いと別れの過程を描かれていた内容でした。
    何も考えずに一年ぐらい好きなことをして過ごしたいわ…
    当の本人たちはそうでもなさそうな感じだけれども。
    美しい言葉で巡る季節の情景に合わせて移り変わる心情がとても切なかった。
    期限付きの恋ってなるとものすごいだろうな〜…と思ったわ。
    熱が帯びていて、なんか好き。
    別れたくないけど、別れなければいけない。
    二人が別れた後もマオはハチを想っていた。
    離れたけど、離れた後も、引力のように見えないところで引き合っているような感じがした。
    マオが前に進めるようにハチがいなくなったのだと。そういう恋もアリだと思う。
    好きだと思う人とは可能な限り会って楽しい時間を過ごしたい。
    別れの日はいつか必ずやって来るのだから。
    思う存分、今を楽しむようにしたいねぇ。

    2022.4.4(1回目)

  • 今の自分の考え方や感性の在り方に
    最も影響を与えた作家は
    高校時代にハマった
    村上春樹と吉本ばななです。


    特にばななさんは
    独特な切ない感性を
    かなり意識的に
    真似てましたね(笑)




    小さな宗教家の家に生まれた
    マオ。

    インド人の青年のハチ。


    刹那的に生き
    高校卒業前に死んだ
    「おかあさん」と呼ばれた
    大人びた少女。



    夜中の3時に聞こえる大学堂と呼ばれる
    ホットドック屋台の音楽。


    パジャマのまま歩く
    甘やかな真夜中の散歩。


    闇に潜む死の予感。




    ばななさんの作品に自分が共感するのは
    痛々しいほどの『切実さ』です。


    文章の隅々から沸き立つ
    その切実な想いに
    痛みを知る人であればあるほど
    強く打たれるハズ(^_^;)




    不思議な力を持ったおばあちゃんの予言
    「お前はハチの最後の恋人になるだろう」
    に導かれ
    インド人のハチと恋に落ちる
    17歳の少女マオ。



    本当に好きな人といると
    コーヒーが冷めていくことすら
    美しいと思える、

    そんな時間を
    読む者も追体験していく
    刹那な幸せ。




    別れることを前提に一緒に暮らす二人だからこそ
    平凡な生活が
    輝いてみえるのかな。


    いつまでも続きはしない「青春」というべきものを
    永遠に続けるべく奔走する二人の姿が

    本当に切なくて、潔くて、
    胸を締め付けられます。




    なかなか気づけないことだけど
    街は生きていて
    朝は毎日違う。

    単調で面白くない毎日に感じても
    街はセットや背景なんかじゃないし、
    今日の月と
    明日の月は同じじゃない。


    この作品から自分が学んだことは
    意識しなきゃ解らない
    精神の在り方や
    モノの見方でした。

    それは今も生きて
    自分を支えてくれています。




    いつか消えてしまうものへの情景と、

    過ぎ去ってしまうからこその
    刹那な輝きが詰まった、
    切なさいっぱいの小説です。

    • アセロラさん
      はじめまして。フォローさせていただきました。
      優しく前向きで、温かいレビューですね^^
      わたしも、吉本ばななは「初恋の人」とでも言うべき最初...
      はじめまして。フォローさせていただきました。
      優しく前向きで、温かいレビューですね^^
      わたしも、吉本ばななは「初恋の人」とでも言うべき最初にハマった作家さんで、今でも大好きです。スピリチュアル要素が濃いし、出て来る人達も不思議な人達ばかりですけど、みんな意外とちゃんと現実を生きてるような感じがして。
      この作品は未読なんですが、読んでみたくなりました。
      2013/01/19
    • 円軌道の外さん

      アセロラさん、
      はじめまして!

      コメント&フォローありがとうございます(^O^)


      いやぁ〜まったく
      共感同感です...

      アセロラさん、
      はじめまして!

      コメント&フォローありがとうございます(^O^)


      いやぁ〜まったく
      共感同感です♪

      ばななさんの小説は
      突拍子もない話もあるけど
      嘘臭くなくて

      リアルに胸に迫ってくる切実さを
      いつもすごく感じるんです。


      あとみんなが見過ごしがちな
      儚きものへの眼差しが
      あたたかいし
      真摯ですよね。


      今年の読書目標は
      『昔ハマった作家をもう一度掘り起こしてみよう』
      なんで(笑)

      村上春樹と共に
      ばななさんや山田詠美さんを
      また読んでみようと思ってます(^_^)v


      これからよろしくお願いします!



      2013/01/19
  •  忘れられないエッセンスを閉じ込めたようなお話でした。

     「孤児みたいになって。なにがあったのかと思わせる育ち方」をしているように見えるマオと、育った土地インドに一年後帰る、自分を知って生きているハチとの生活はどれも『この一瞬を生涯忘れませんように』と願いたくなるほど澄んで見えました。

     些細なことの全てに対してもう2度とこんなことはないと自覚してしまうことが、人生の絶頂と感じる最中にはあると思います。そんな満ち足りていくらでも自分が明るい方へ伸びていけそうな時間をマオは「こんな時間が少しずつ増えていって、私はハチを忘れないが、忘れるだろう。悲しいが、すばらしいことだ。そう思う。」としています。私はまだそんな風に美しかった時間を解放することが出来ませんが、いつか運命を悟ったり身を委ねきれるように生きられる日がくればいいなと思いました。

     この本はひらけば何度でも幸せな生活とすてきな未来を思い出させてくれると思います。

  • 私の1番の本。

    何かが噛み合ったときに読むと大号泣する。そんなこともなくさらーっと読める時もある。

    名作。
    言葉が過不足なくて、美しい。
    名言がたくさん。

    ハチ公との荒削りなとろける日々。
    マオちゃんの絵を描くときの心の動きと形、色彩。
    これがとってもわくわく、きらきらしてる。
    世界は輝いてみえる。

    おっきな話で、人生をゆったりのびのびと生きる勇気が湧いたよ。

  • 吉本ばななは読む時を選ぶべき。
    仕事に忙殺されているとき、人間関係に疲れきっているとき、失恋してしまったとき、何かに疲弊しきった状態で本を開くとひらがなばかりの緩やかな文体が自然と体に染み渡っていく。

    「なにか本を読むかー」で普段何気なく読んでも、つらつらと綴られた文章に味気なさを感じるが、傷心に浸りたいときや余計なこと考えられないくらい疲れてる精神のときに読むと、人間の心の生々しさみたいなものに触れているような気がする。
    わからないが。

  • マオとハチ

    恋人で友達で

    いつもいっしょだった

    忘れないが 忘れるだろう

    悲しいが すばらしいこと

  • 詩集のような美しい言葉が詰まった小説。

    序盤の方で、君は説明が多すぎる、といわれた主人公は「どこまでも、どこまでも説明をしたら私の血管を流れる血のことさえわかってもらえるかもしれないという甘えは、歳よりも老けた私が淋しい私の肉体から全宇宙に発信していた唯一の子供の心だった」と考える。

    序盤のこの「説明が多すぎる」という投げかけは、作者の意気込み、この小説の挑戦にも感じた。
    わかってほしくて言葉で説明しようとするとき、その言葉に載せきれないものこそ、ほんとうに伝えたいものだったりする。言葉の器でそれを映し出したい時は、どうやったらよいだろうと読後もしばらく考えている

  • 食べたいものを食べて、
    眠りたいだけ眠って、
    ふたりの時間をたっぷり味わって、
    特別幸せって顔で毎日過ごしたい。

  • 失恋したのに無理に元気を出そうとするのは、まだ青いバナナをレンジに入れて黄色くしようとするようなもの。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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