ハチ公の最後の恋人 (中公文庫 よ 25-2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.55
  • (279)
  • (333)
  • (816)
  • (44)
  • (14)
本棚登録 : 3643
感想 : 322
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122032071

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 数年越しに再読
    学生の頃に読んだ時より響かなかったな

    宗教が強い
    サウスポイントの前作的な作品
    マヤさんが主役
    愛とセックスの描写がはっきりしている

    個人的にはサウスポイントの方が好き
    ハチについてもっと知りたい欲が出る

  • TSUGUMIを読み終わり、吉本ばななさんの魅力に引きずり込まれたためこの本も読んでみた。
    ストーリーとしては面白かったが、表現の仕方が特殊というか回りくどすぎて時々何を言いたいのかわからなくなった。
    吉本ばななさんの書く文章はすごく好きだが、今回はとても分かりにくかった。薄い本なのに読み終えるのに4日くらいかかった。
    ハチとマオの暮らしはとても暖かで静謐で満ち足りていた。それだけで満足すればいいのに、ハチがその場を去ってしまうからこそ二人の暮らしは満ち足りていたのだろうと思った。

  • 「そのときから私は言葉で説明しないことにした。
    どこまでも、どこまでも説明をしたら私の血管を流れる血のことさえわかってもらえるかもしれないという甘えは、歳よりも老けた私が淋しい私の肉体から全宇宙に発信していた唯一の子供の心だった。」

  • ハチ〜/(^o^)\
    失恋した時に読み返したい

  • 昔少し舐める程度に読んだときは少しヒッピー的な馬鹿馬鹿しい思想を描いた作品なんだと思って、全部読むことなく長年「タイトルは好きなんだけどな」と思い続けるだけの作品となっていた。
    執筆された時期がバブルが弾けてしばらく経ったまだ90年代の頃というだけあって、現代にはない社会の余裕のようなものが作品からは香っているなと思う。
    この内容を現代で描こうとすると間違いなく日々の生活に追われる話にしかならないんだろう。
    生活ではなく余裕の持てた心のその先、別れを知っている人達の瞬間を切り取ったような本だった。

  • 20221129

  • 吉本ばななの小説のなかではそれほど突飛な設定ではないので読みやすいかな。 


    『庭がなくたって、みんなプランターで小さな自然を産み出している。ごちゃごちゃとあたたかく暮らしている。四季があるこの島で、単なる生活を芸術にまで持っていった、アジアのはじっこの日本人だよ。 この、虫の声でさえ泣けてくるような、かすかな心の揺れ。万物に音楽を聴き取る耳。ほんの小さいところをじっと見つめて、その中から美の配列や宇宙の秘密や、神の意志まで想像してしまう感受性。かげろうみたいにはかない生命の繊細な息吹きが、空気にみずみずしく含まれている。』

    2022-57

  • 『ハチ公の最後の恋人』読了。
    とても少ない頁で十分すぎるくらいの出会いと別れの過程を描かれていた内容でした。
    何も考えずに一年ぐらい好きなことをして過ごしたいわ…
    当の本人たちはそうでもなさそうな感じだけれども。
    美しい言葉で巡る季節の情景に合わせて移り変わる心情がとても切なかった。
    期限付きの恋ってなるとものすごいだろうな〜…と思ったわ。
    熱が帯びていて、なんか好き。
    別れたくないけど、別れなければいけない。
    二人が別れた後もマオはハチを想っていた。
    離れたけど、離れた後も、引力のように見えないところで引き合っているような感じがした。
    マオが前に進めるようにハチがいなくなったのだと。そういう恋もアリだと思う。
    好きだと思う人とは可能な限り会って楽しい時間を過ごしたい。
    別れの日はいつか必ずやって来るのだから。
    思う存分、今を楽しむようにしたいねぇ。

    2022.4.4(1回目)

  • 詩集のような美しい言葉が詰まった小説。

    序盤の方で、君は説明が多すぎる、といわれた主人公は「どこまでも、どこまでも説明をしたら私の血管を流れる血のことさえわかってもらえるかもしれないという甘えは、歳よりも老けた私が淋しい私の肉体から全宇宙に発信していた唯一の子供の心だった」と考える。

    序盤のこの「説明が多すぎる」という投げかけは、作者の意気込み、この小説の挑戦にも感じた。
    わかってほしくて言葉で説明しようとするとき、その言葉に載せきれないものこそ、ほんとうに伝えたいものだったりする。言葉の器でそれを映し出したい時は、どうやったらよいだろうと読後もしばらく考えている

全322件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉本ばななの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×