使いみちのない風景 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122032101

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  • 旅や日常で出会った使いみちのない風景は、心の奥底に潜む郷愁みたいな、あるいは無意識の中のかけがえのないものを揺れ動かす。
    それが大きな揺れであっても小さなそれであっても。
    帰るために旅をする という言葉を村上春樹流に彩っている。

  • 作家・村上春樹の旅的なものに関するエッセイ3つと、写真家・稲越功一の写真のコラボ作品、という体の文庫本でしょうか。めちゃんこサクッと読めます。すげえサクサク。一瞬でした。

    で、おもろいかどうか、といいますと。うーん。それなり?という感じでしょうか。村上さんのエッセイは、いつものエッセイでの村上節全開、という感じで大満足、ですが、稲越さんの写真は、正直、良いのか良くないのか、全然わかりませんでした。なんといいますか、うん。わからん。良い写真、なのだろうなあ。なんせプロの写真家のかたですもの。でも、うーん。すまん。俺には、良さ、わからん。という、凄くこう、、、失礼な感想で、、、稲越さん、すみません。

    あ、でも、村上さん言うところの「使いみちのない風景」の写真だなあ、というのは、バンバン感じました。この写真、、、何が言いたいの?意味わからんねえ。使いみちあるの?ないよね。あ、だからこの題名なんだ?という感じで。これ、全然、褒めてませんね。ホンマにすみません。

    あ、でも、本の表紙にもなってる写真は、なんだか、凄く好きなんですよ。シュールで。海岸に、椅子?だか、キャンバス?だか、なんかよお分からん物体が、置かれている写真。ぽつねんとしてて、好きです。ちょっと方向性は違うと思うんですが、プログレッシブ・ロックバンドとして超有名なピンク・フロイドのアルバム「A Momentary Lapse of Reason(邦題は『鬱』。なぜこの邦題?謎ですね)」のジャケットを連想しました。連想要素、海岸、ってだけ?って気もしますが。

    村上さんのエッセイは、旅?に関するエッセイ、と言えばいいのでしょうか。でも、村上さん自身が、たまたま雑誌で自分の略歴を読んだときに「(村上春樹の)趣味は旅行をすること」と書かれていたことに対して「俺がしてることって、、、旅行?」と自問自答し、いや旅行ちゃうで、って思ったことから始まる、みたいな、旅エッセイなのに旅否定、みたいなノリが、おもろいです。

    僕が好きなのは、「旅」ではなくて、「住み移り」とでも言うべき行為なんだよ、というポイントは、言い得て妙!と思って、なるほどなあ!ってメカラウロコでした。こうした村上さんの、物事に対する考察の角度、凄く好きです。

    あと、こうした「住み移り」のなかから、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が生まれ、「ノルウェイの森」も生まれた、と考えると、やっぱ村上春樹スゲえ、って、感服するしかない。「住み移り」凄い。というか村上春樹が凄い。やっぱ個人やね、って事か?

  •  使いみちのない風景。


    それは、旅先で見かけたワンシーン。
    心のどこかに引っかかり続ける記憶。

    そこでしか見ることのできないもの。
    それ自体では何も生み出さないもの。

    でも、僕たちが必要としている風景。


     たまに旅にでたいと思うことや、
    日常を少しだけ離れたいと思うのは、
    どこかで、こういった風景を探し求めているからかもしれない。


     使いみちはなくとも、必要という何かを。

  • タイトルのフレーズに惹かれて購入しましたが
    村上さん自身もアントニオ・カルロス・ジョビンの曲名を
    呼び名として使っていることからこのタイトルとなったとのこと
    村上さんの文章は外国の日常を切り取ったような写真とよく合うなと感じます

    使いみちがないという言葉から攻撃性でなく
    虚無感を感じるのは、続く言葉が風景だからなのでしょうか

    “だからこそある種の風景は、たとえ現実的な有用性を欠いていたとしても、
    我々の意識にしっかりとしがみついて離れないのだ”

    一見非効率的に見えるパーツの収集こそ実は意味がある
    というのは感覚的に理解できるところだと思います

  • 『僕は思うのだけれど、人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものだから。』(108頁)


    本当は他のところを長々と抜きだしていたんだけど、

    やっぱり自分で消してしまった。

    この本みたく隣に写真が無いと、すごい味気ないことばに見えちゃうから。


    1ページごとに写真があって、まるで雑誌を読んでるような気分にさせる本でした。


    あたしの中にある使いみちのない風景は、たとえば、

    雨の武蔵野線(京葉線直通東京行き)。
    雨が降ってたから、学校をサボることにして、
    そのまま武蔵野線の終点まで行ってみた高2の冬のこと

    とか、

    南国のむわっとする空気のなか歩いてたら、
    台風で根元から折れて倒れた電信柱を見たこと

    とか、

    真夜中の船の甲板から一人ぼっちで遠くの陸の灯りを眺めてたときの、
    空か海か陸かどこが境目かわからない程の真っ暗闇

    とか。

    誰とも共有してないから、あるか無いか証明できないけれど、確かにあった風景。

    そんなことを思い出した。

  •  風景写真に村上春樹のエッセイがついた文庫。淡々とした写真に、淡々とした文、でもなんだか切ない。「人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものなのだから」 うむ、私もそれがわかる歳になってきたらしい。過去をもう一度欲しいとは思わないけれど、その美しさを愛でる気持ちは大事にしたい。

  • 写真付き3遍のエッセイ。半分は写真なのですぐに読み終えた。
    作品制作に移住が大きな役割を果たしている。長編を描き終えるたびに移住していることには驚かされた。
    旅行ではなく移住なのだ。現実を暫し忘れる為の旅行ではなくある場所に住み着くことによって現地の世界に浸かり、新鮮な作品のアイディアが生まれるのだろう。
    世界の終わり〜は旅先で撮った1枚の写真から連鎖的に発想が生まれた。
    ノルウェイの森はギリシャの質素で簡易的なカフェでの穏やかな日常風景(旅行客の観察)から生まれた。
    作品の着想のきっかけが本人でも自覚出来ない無意識のものである。
    普段の何気ない風景を大事にしながら生きていきたい。

  • 使いみちのない風景
    (和書)2012年08月23日 15:46
    1998 中央公論社 村上 春樹, 稲越 功一


    旅行好きではなく引越好きであるということ。

    旅行好きな猫を飼うと言うこと。

    以上です。

  •  この本は三遍のエッセーが書かれていて、そのエッセイが醸しだしてる写真のイメージが行間に染み入っている。

     気になるこのタイトルの「使いみちのない風景」とは。「なにも語ってはくれない」風景のことを指している。その語っているとはどういうことかというと、
    何かを思い出させるきっかけとなるもの、あるイメージを喚起させてくれる役割とでもいうもののようだ。

     村上春樹は連続する生きているこの世の中を瞬間的に捉えた(自分で撮った)写真一枚から、いろいろなものに思い巡らせ遠い過去の情景からふと小説を書き綴るらしい。15分ほどで読めちゃう短いエッセイだけど、詩的な行間があり、そこにはちゃんと、春樹ワールドがあった。

     

  • (Mixiより, 2010年)
    旅のコトを綴ったかなり軽めのエッセイ。 
自称春樹ファンでしたが、 
最近までこの作品の存在を知りませんでした。 

春樹さんの言う「記憶を引っ張り出す」感覚、 
とてもわかります。 
ただ意図的に記憶を探り出すコトは自分にはできないな。 
それができれば、思い出は本当の意味での財産になるのかもしれない。 

春樹さんの作品に行間を作ってしまうと、 
なんだかむず痒いな、と感じました。 
もっと読みたいよー。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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