使いみちのない風景 (中公文庫 む 4-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122032101

感想・レビュー・書評

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  • タイトルのフレーズに惹かれて購入しましたが
    村上さん自身もアントニオ・カルロス・ジョビンの曲名を
    呼び名として使っていることからこのタイトルとなったとのこと
    村上さんの文章は外国の日常を切り取ったような写真とよく合うなと感じます

    使いみちがないという言葉から攻撃性でなく
    虚無感を感じるのは、続く言葉が風景だからなのでしょうか

    “だからこそある種の風景は、たとえ現実的な有用性を欠いていたとしても、
    我々の意識にしっかりとしがみついて離れないのだ”

    一見非効率的に見えるパーツの収集こそ実は意味がある
    というのは感覚的に理解できるところだと思います

  • 『僕は思うのだけれど、人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものだから。』(108頁)


    本当は他のところを長々と抜きだしていたんだけど、

    やっぱり自分で消してしまった。

    この本みたく隣に写真が無いと、すごい味気ないことばに見えちゃうから。


    1ページごとに写真があって、まるで雑誌を読んでるような気分にさせる本でした。


    あたしの中にある使いみちのない風景は、たとえば、

    雨の武蔵野線(京葉線直通東京行き)。
    雨が降ってたから、学校をサボることにして、
    そのまま武蔵野線の終点まで行ってみた高2の冬のこと

    とか、

    南国のむわっとする空気のなか歩いてたら、
    台風で根元から折れて倒れた電信柱を見たこと

    とか、

    真夜中の船の甲板から一人ぼっちで遠くの陸の灯りを眺めてたときの、
    空か海か陸かどこが境目かわからない程の真っ暗闇

    とか。

    誰とも共有してないから、あるか無いか証明できないけれど、確かにあった風景。

    そんなことを思い出した。

  •  風景写真に村上春樹のエッセイがついた文庫。淡々とした写真に、淡々とした文、でもなんだか切ない。「人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものなのだから」 うむ、私もそれがわかる歳になってきたらしい。過去をもう一度欲しいとは思わないけれど、その美しさを愛でる気持ちは大事にしたい。

  • 最初から最後までしみいる文章。
    目に浮かぶ風景。
    素敵な写真。

    「僕は思うのだけれど、人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものなのだから。」

    私にとってのいくつかの「使いみちのない風景」を思い出してみる。
    気持ちが動いてすっきり。

  • うーん、めちゃくちゃに良い 次の旅には絶対持って行く

  • 旅をテーマにした写真つきエッセイというか、メモ?余韻の長い、味わいでした。
    好みだとは思うけれど、この構成ならあともう少しだけ1ページあたりの文字数を増やしても良いように思えた。ややアンバランスな感覚。

    あるいは、書籍ではなく別の媒体の方がより素敵になるように思えました。

  • 秀逸なタイトルだけど、じゃあ自分にとって使い道があった風景は何だろう?って考えてしまった。
    最後の一文「人生において最も素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものなのだから。」
    が突き刺さる。
    これから迎える時を大切に。

  • 旅関連の、エッセイと写真の割合が半々くらいのエッセイ集。村上さんの小説は勿論、エッセイも大好き。大したことのないことから話がめちゃ広げられるのも天才だし、発想も面白い。癒された。
    写真の雰囲気も好みで、文章とは殆ど関連性はないけど、読み心地を良くする役割はちゃんとあったと思う。

  • 束の間の通り過ぎてゆく風景 
    日々の生活に彩りを添えてくれるもの

  • 次回は海外の列車の中で読みたい

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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