使いみちのない風景 (中公文庫 む 4-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122032101

感想・レビュー・書評

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  • 「僕は思うのだけれど、人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものなのだから。」_φ(・_・
    また、旅に出たいですね。
    願わくば、素敵な写真を撮りたいですね。

  • わたしの使いみちのない風景は・・・思い浮かべてうれしくなった。

  • 本屋さんでぐうぜん遭遇。

    なんで、いままで手に取らなかったんだろう。

    文章も素敵だったけど、稲越さんの写真が、また良い。

    なんでもなく、それでいて絶妙な組み合わせ。

    【表紙】と【p20】の写真が好き。

  • 写真と簡潔な文章とが並べられた一冊。

    この本を読むことは旅に似ている。
    使いみちはないけれど、何かの折りに、ここで読んだ文章、眺めた写真を思い出すことになるかもしれない。

    それでいい。
    使いみちなんてなくていい。

  • ▼写真+エッセイ形式の村上作品と言えば『辺境・近境 写真篇』(新潮社文庫,2000)がすぐ頭に浮かぶが、この本もまた同スタイルの、だが手軽かつ、一種のメモワール的作品である(もっとも、本書における写真とエッセイとの関係は、安西水丸さんや和田誠さんが村上さんのエッセイに画をつける感覚に近い)。
    ▼「使いみちのない風景」とは、それ自体には何ら使いみちはないように見えて、実は心の奥深くに眠る精神的原初的な風景に連なる(ないし、働きかける)ものである。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮文庫,1988)もその過程を経て生まれて来たとのだと知ると、既読者としては興味深い。
    ▼また、本書は3部のエッセイからなるのだが、第1部は村上さんがプリンストンに客員教授として呼ばれていた頃の話と思われ、『やがて哀しき外国語』(講談社文庫,1997)も、また第1部、2部は『ノルウェイの森』(講談社文庫,1991)執筆前後のギリシア滞在の話でもあるので、『雨天炎天』(新潮文庫,1991)や『遠い太鼓』(講談社文庫,1993)などと併せて読むとさらに面白くなる。
    ▼僕がこの本の中で印象に残ったのが、村上さん自身が旅行が趣味ではない、とはっきりと言いきっていることである(彼の言葉を借りれば「定期的な引っ越しが趣味」である(笑))。旅行は通り過ぎる前提だから――と言われると、『海辺のカフカ』(新潮文庫,2005)でカラスが言っていた「僕らはどこへも行けない」その意味が少し深まった気がする。結局、よりよい住み場を目指しつつも、自分と向き合うこととなる。そんな村上さんの中・長編小説が好きな人には、ぜひお勧めしたい一冊である。

  • エッセイというより、春樹さんのつぶやきのような文と
    稲越さんの、なんともいいようのないアングルだったり
    風景や動物や、とても素敵な写真がたくさん
    外で読むのが似合っている本と思います

  • エッセイというものをはじめて読んだ。
    かなり短めで、1時間もあれば読める本である。
    使い道のない風景を自分たちは無意識に活用している。別の形で。
    ほかの2編も良かった。

  • エッセイは私好みでしたが、写真が絵葉書みたいにキレイなだけなところが苦手。
    うずまき猫の村上夫人撮影の写真や、村上朝日堂での水丸画伯のイラストたちと一冊の中で占める分量が同じだとしても意味合いはずいぶん異なると思う。
    エッセイ自体もかなり短く、内容が興味深いだけに物足りなさが残る。

  • 村上氏のエッセイ。とりとめなく綴られるような文章に、とりとめなく並べられた写真が掲載されています。
    旅についての考察が書かれていました。
    村上氏といえば、旅を好んでしているような印象ですが、本人いわく、それは違うとのこと。

    旅は好きではなく、定住しているのが好きなんだそうです。
    頻繁に繰り返しているあれは、旅行というよりは住み着くための場所を探す作業だと定義しており、氏の中ではその二つは、違う行為として厳密に分けられているようです。
    つまりは、通りかかって通り過ぎる旅人ではなく、常にその土地に何らかの責任を負いながら関わり続けてきているとのこと。

    それだけに、土地に根差した思いも深いのでしょう。
    これまで書いた7編の長編小説の執筆場所はすべて違う場所だとのことで、言うなれば移住型作家ということになるのでしょうか。

    とりとめなく話は移りますが、文章のつかえがないため、話題が変わっても特にごつごつした読書感を得ることもなく、すらりと読み続けられます。
    海外の動物園で見かけた、ひとつのボールのように真ん丸になって抱き合って眠るアリクイの夫婦の話が印象的でした。
    また、旅好きの猫と旅をしたいという作者の希望にはくすりとしました。
    犬なら可能でしょうけれど、猫は難しそうです。

    そうしてさりげなく終わるエッセイ。
    結局、写真との関わりは、あまりないようでしたが、その重ならない接点も、この本の特徴づけとなっているのかもしれません。

    あまり人に語るような話ではありませんが、そういう内容を文章に出来るのが文筆家でしょうか。
    自分の心の中を開けて、そこに置いてある心象イメージを取り出してきたような内容だと思いました。

    きちんと旅をしたことのない人にはピンとこないでしょうけれど、旅や移住好きには、この本を読んだあとで自分の異国での思い出を見つめ直させるような、小さな力を持つ一冊です。

  • タイトルに惹かれて登録。「使いみち」のある風景などあるのだろうか。借景とかかな。癒しとか。そんなこと考えてたら風景は楽しめないんじゃない?

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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