中空構造日本の深層 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122033320

感想・レビュー・書評

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  • 主旨としては前半1/3ほどに凝縮されている。

    中空構造とは、文字通り「中心」が空っぽということである。
    つまり、絶対的中心の存在があり、その周辺に一般大衆が存在するという西洋的構図ではなく、AとBがあり、それらのカウンターバランスによって社会がバランスしているということだ。
    これを神話や昔話を例に挙げ、実に明快に説いている。

    日本人と西洋人が根っこの深いところでは決して共感できない部分があるのは、このためなのだろう。
    もっと突き詰めて言えば、島国と大陸との溝は、ここにあると思う。
    父性原理に基づく西洋思想(大陸思想)と母性原理に基づく日本思想(島国思想)。

    それらをわかった上で生きるのと、分からずに生きるのとでは、雲泥の差。

  • 36182

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    神話や昔話を題材に日本人の深層を分析している。
    この本を読んで気がついた事は自分が当たり前と思っていたことが日本神話や日本の昔話の内容に関連付けられることに驚いた。特に気になったのは日本人の中心が中空構造であり、周辺でバランスをとるような構造になっているということだ。
    この本で書かれている日本の中空構造は2017年現在でも存在していると感じることがある反面、時代が強力な中心の誕生を望んでいるように感じることがある。
    中空構造で有り続けることは日本が暴走した際に止める存在がないという状態になりそうだし、強力すぎる中心は独裁になる危険性が存在していると思う。これからは弱めの中心を持ちつつ、中空構造でバランスを取ることができないだろうか。
    それこそ地球と月のように相互に影響を与えるような状態が良いのではないだろうか。

  • Ⅰ 神話的知の復権/『古事記』神話における中空構造/中空構造日本の危機
    Ⅱ 昔話の心理学的研究/民話と幻想/「うさぎ穴」の意味するもの/日本昔話の心理学的解明
    Ⅲ 現代青年の感性/象徴としての近親相姦/家庭教育の現代的意義/偽英雄を生み出した「神話」/フィリピン人の母性原理

    日本人の心の構造の特殊さを見せてもらった。言葉で表現することの難しさを横においておけば、なかなか面白かった。父性か母性か、外向か内向かという図式は大まかな性質を見るうえで分かりやすい。それぞれに納得したり疑問を持ったりしながらゆっくり時間をかけた読書をしましたw

  • 日本人を説明した本として、今までで一番わかりやすい本でした

    新潮文庫の こころの〜シリーズや対談シリーズも面白いのですが、私の河合隼雄さん一番本は 今のところ この本です

  • 「中空構造日本の深層」河合隼雄著、中公文庫、1999.01.18
    274p ¥740 C1111 (2017.12.18読了)(2017.06.08購入)(2008.06.30/3刷)

    【目次】

    神話的知の復権
    『古事記』神話における中空構造
    中空構造日本の危機

    昔話の心理学的研究
    民話と幻想
    「うさぎ穴」の意味するもの
    日本昔話の心理学的解明

    現代青年の感性
    象徴としての近親相姦
    家庭教育の現代的意義
    偽英雄を生み出した「神話」
    フィリピン人の母性原理
    あとがき
    解説  吉田敦彦

    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本人の心の深層を解明するモデルとして『古事記』神話における中空・均衡構造を提示し、西欧型の中心統合構造と対比させて、その特質を論究する。人間の内界を記述するものとしての神話・昔話、さらにはファンタジー作品などの分析を通して、人類の深い知恵を導き出す刺激的論考。

  • ユングの概要を読んで、日本人のメンタルについて知ってみたいなと思いこれを読んでみました。

    すごい。私が生まれる前に書かれたものなのに、未だ色鮮やかにリーダブルな内容でした。

    ビギナー用のユングの本を読んでからのこの本なんですが、
    わたし、村上春樹さんが好きで、でも彼の言う「地下二階」が、よくわからんのです。すごく危険なところで、そこに深く潜っていくと、「人」の奥深くで繋がる何かに出会える。(ようなもの)だという勝手な認識なんですが、深いところで人とつながることのできる何かって、すごく素敵だなぁと思う。でも、私には、そこの奥深くに潜っていく手立てというか、手段というか、そのようなものがよくわからんのです。

    その一つの解決の糸口になりそうなのが、個人的にユングなんじゃないかと。そしてそこから、日本人のメンタリティと神話についてを深めていったら、私にも垣間見ることができるんじゃないかと思い、この本を手に取った次第。

    一気に読んでしまったので、すごく自分の欲していた内容が書いてあったんだけど、まだ言語化できるほど読み込めていないので、もう一度読み解いていきたいと思う。

  • ・人生とは全体性の回復である
     -日本人は意識と無意識の境界があいまい。意識の中心である自我がうすい。それが神話にもでている?

  • 中空構造日本の深層

    筆者は有名な精神分析家の河合隼雄氏であり、近代以前の人々が、世界を認識する際に神話的な解釈をしてきたことを伝えることで、科学的解釈に偏りを持つ近代社会に、一つの世界観を与える上で、神話的解釈の知を言うものを提示している。社会は近代化したとはいえ、人間の精神が変わったわけではない、そのため、今までの神話的知を科学的知のバランスを保つことが重要である。
    日本の神話を読み解いていくと、「中空」の存在が発見される。何かを中心においてと思いきや、すぐにその対抗物が置かれ、それらのバランスをとることで、中心の空性を守ってきた性質がある。精神分析にとどまらず、男性的なものは何かを切る、女性的なものは包み込むという性質がある。丸山の日本の思想にも書かれているが、日本という辺境地域においいては、常に外来文化を取り入れているように見えて、結局のところそれは中止まで行くことはなく、中心の外縁で日本化されたものになっていく。男性原理か女性原理かでいえば、日本は女性原理の強い国である。これは古来のもので、昨今の日本で父権復興を掲げ、若者を鍛えなおそうという運動があるが、筆者は日本にはそもそも復権する父権そのものもがないという。戦前の父の強さは、家長制の中での役割的な強さであり、戦後に家長制がなくなることで、父の権力の脆弱性があらわになったと解釈することが可能である。
    後半は、昔話の深層を良い説くもので、とても面白い。茂木健一郎の本にも書いてあったが、人間の脳は、確実なものと不確実なもののバランスをとるという。前近代の人間は、関あという不確実なものの割合が増えすぎないように、「物語」を確実なものとして採用していた。近代では、それが科学に変わったに過ぎない。そして、今でも、科学でもわからない不確実なことに対しては、やはり物語が採用されるのである。

  • 去年Eテレで放送してた『100分de日本人論』で紹介されてて、うわあすごい面白そう!と思って、ようやく読み終わったのが、今。
    すごい面白かったー!
    今まで読んだ日本人論の中で、いちばん腑に落ちたかもしらん。
    なんかこう、しっくりきてなかったとこがぴったり!すっきり!ッて感じ。

    三部構成になっていて、上記の日本人論的内容は第一部。二部三部はいかにも心理学的な話で、私はすごく興味深く読めた。読みやすかった。
    中学とか高校のときに心理学に興味を持ったのにフロイトで挫折して結局全然関係ない分野を専攻したけど、まず河合隼雄から入っとくべきだったね。
    何冊か氏の本を読んでみようと思います。

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著者プロフィール

河合 隼雄(かわい はやお)
1928年6月23日 - 2007年7月19日
兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。1952年京都大学理学部数学科卒業後、京都大学大学院で心理学を学びつつ、数学の高校教諭を兼業した。
天理大学で助教授時代にユング研究所に滞在し、ユング派分析家の資格を取得。日本における分析心理学の普及と実践に邁進。箱庭療法導入者としても知られる。欧米の心理療法を日本文化に根ざす仕方で導入を試みており、日本論・日本文化論の著作も多い。
主な受賞歴に、1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、1988年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞、1992年日本心理臨床学会賞受賞、1996年NHK放送文化賞をそれぞれ受賞。1995年紫綬褒章、1998年朝日賞、2000年文化功労者顕彰。
なお2012年に一般財団法人河合隼雄財団が設立されており、そこで本人の名を冠した「河合隼雄物語賞・学芸賞」が設けられている。

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