道誉なり 上巻 (中公文庫 き 17-4)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122033467

感想・レビュー・書評

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  • ばさら大名佐々木道誉。この時代、まだ混沌とした世の中であり、佐々木道誉のような悪党が面白い。
    京都の近くで、重要な物流の拠点でもあり、公家衆にも顔がきく佐々木道誉だからこそ、天下を手玉に取ったのであろう。

  • <上下巻通じてのレビュー>

    「毀すこと、それがばさら」
    -六波羅探題を攻め滅ぼした足利高氏(尊氏)と、政事を自らつかさどる後醍醐帝との暗闘が風雲急を告げる中、「ばさら大名」佐々木道誉は数々の狼藉を働きながら、時代を、そして尊氏の心中を読んでいた。帝が二人立つ混迷の世で、尊氏の天下獲りを支え、しかし決して同心を口にしなかった道誉が、壊そうとしたものとは・・・


    一癖も二癖もある、ばさら大名「佐々木道誉」。
    楠木正成と似たところも対比するところもあり、非常に魅力的です。
    室町幕府の二大権力、足利尊氏・高師直と足利直義との抗争の中にあって、微妙にどちらにも積極的に組すことなく、しかし、押さえるところは心得ているのですね。
    南北に2つの朝廷があり、室町幕府の基礎がまだ固まってはいないこの時代、非常に興味深く、かつ、小気味よく動いた佐々木道誉の魅力を余すところ無く描いた一作です。

    「悪党の裔」「破軍の星」「楠木正成」と同時代の本を読んできた中で、どうしても好きになれないのが足利尊氏と後醍醐天皇です。
    両名とも、周囲を振り回しすぎです。親族間の醜い争いを知ったからでしょうかね。
    余談ではありますが、足利直義と足利直冬に秘かな思いを抱きました。

  • 武士と公家。武士と悪党。御家人と外様。京と鎌倉。本家と分家。男と女。男と男。帝と皇子。南朝と北朝。北方作品には対比が幾重にも展開されており、それが読み手にわかりやすさと、心地良さを感じさせてくれる。

  • 安定の北方南北朝。好きだなー。特に躁鬱病の尊氏がすごくいいキャラを出している。人間の弱さを持っていてそれを克服しようとする覇者と、不敵で傲岸不遜で嫌味な盟友。ちゃんと言葉でやりとりするのが、三国志などの中国の小説と違うところ。あれらの作品群になってしまうと北方先生枯淡の境地に入ってしまわれたのか、ほとんど台詞なしで男たちがわかり合ってしまうんだもん。
    楠木政成が出て来て懐かしかったなー死んでしまい寂しい。

  • 「花の慶次」の前田慶次にキャラが重なるなぁ。でも、道誉の話としつつ、尊氏の話でもある。

  • 破軍の星→武王の門→道誉なり とすっかり北方謙三の南北朝シリーズにはまりこんでいる。
    今回は近江一帯を治める佐々木家の実力者たる道誉を主人公に、これまで敵方の足利尊氏も描かれており、視点を変えた面白味がある。面白味と言えば、戦の場面やその切り取り方も、上記した2作ほど厚くは描かれない。一方で足利幕府側の人間性や駆け引きの描写が多い。本筋とは関わりの薄い人物が登場しており、そのあたりが後半にかかってどう生きてくるかも興味深い。

  • 「ばさら大名」佐々木道誉。緻密に計算された狼藉を繰り返す道誉とは。その時代を象徴する「ばさら」とは。道誉曰く、「道がないから、ばさらでござるよ」。

  • 相変わらず足利だけの場面はダルイ。北方謙三は足利が嫌いなんやろか?佐々木道誉の「ばさら」っぷりを際立たせる為の手法なんやろか?とりあえず犬王・御世丸・義詮の行く末を楽しみにしつつ下巻へ。

  • 足利尊氏と後醍醐帝が争う中、佐々木道誉の視点で描く。

    時代背景の知識が曖昧なまま読み進めたが、おもしろい!
    南北朝時代の面白さが感じられる。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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