超現実主義宣言 (中公文庫 フ 12-1)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122034990

作品紹介・あらすじ

二十世紀が生んだ最大の思想、芸術革命であったシュルレアリスム(超現実主義)。この理論家・実践家・指導者であったA・ブルトンの歴史的マニフェストを生田耕作の名訳で復刊。

感想・レビュー・書評

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  • 精密かつ厳密な分類秩序を是とする博物学に対抗する勢力としてのシュルレアリスム。その筆頭ブルトンの『宣言』。カイヨワに嫌われるのは頷ける。ただ、コラージュの手法によってのみ生まれるミクロコスモスがあり、それなりの魅力が内臓されているのではないか。無論、手法の採用にあたっては超えるべき障壁は頑強に張り巡らされてこそいるが。

  • 2015.12.28
    難しくて半分くらいでギブアップ。まだ私には早かったか。全体的に言ってることがわかりにくいのだが、それでも強く迫ってくるものがあるように感じた。著者アンドレブルトンの、人はいかにあるべきか、いかに生きるべきかという、非常に切実な問いかけ、生と真っ向から向き合っている姿勢というか、そういう迫力があるというか。以下、理解には乏しいが主観的に感想を述べる。シュルレアリスム、超現実主義とは、人間はいかに生きるべきか、あるべきかという問いに対するひとつの答えであり、それは人間精神の純粋な解放のように思われる。精神の自由を極限まで推し進めて体現するために、様々なものを排除する。それは社会制度、または社会通念や価値観、そしてそれら文化を作り出し、物事を捉え解釈する人間理性。社会的な価値観も意識的な思考も手放し、ただ無意識=純粋な精神によって生きることを主張しているのではないか。シュルレアリスムという思想の背景にフロイトの精神分析があるのはおもしろかった。私も全面的にこのような、無意識的生に賛同するものである。意識的生は効率主義の資本主義を生み出し、民主主義も行き詰まりを迎えている。人間理性は、人間という種のみがもつ素晴らしい能力ではあるが、その理性ゆえに我々は魂から生きることを忘れがちではないだろうか。本当に生きてる、ってどういうことなのかを考えた時、理性的意識的に生きるだけでなく、感性的無意識的な生を送ることも大切ではないか。そこには言葉によって説明できるものや、意識によって明確に認識できるものはないかもしれないが、しかしそれが、人間が真に生きるためには必要では無いだろうか。意識的生と無意識的生、キーネーシス的生とエネルゲイア的生、理性と感性、西洋的と東洋的、男性的と女性的、などなど、人間の根本的な生き方としての二翼のうちのひとつを担うような、人生に対する姿勢ではないかと思う。特に理性万能主義、科学万能主義と思われている現代において、注目されるべき考え方のように思われる。また個人的には、シュルレアリスムと瞑想との間に、何か共通項がありそうで気になる。禅問答なども、シュルレアリスムと捉えることもできるのではないだろうか。瞑想や集中など、ゾーンというか、そういう無意識モードに入ることを、もう少し心がけていこうかなとも思うし、またそのような無意識的な生き方についてより深く探求を進めるためにも、シュルレアリスムに関する本も読み進めていきたい。もともとはルネマグリットが好きになってからのシュルレアリスムだったが、このような芸術的運動によって、こんなにも生きることについて考えさせられるとは思わなかった。芸術とは単なる娯楽以上の、いかに生きるべきか、人間の魂はいかにあるべきかという問いを原動力にもつ、文化的行為なのだろう。純粋なる人間精神の解放を説いた、シュルレアリスムについての古典。社会も固定観念も理性も意識も、無意識以外は全部ぶっ飛ばす!みたいな反骨精神の感じられる痛快な人間謳歌の本でした。もうちょっとわかりやすければなー。

  • うーん。そんなに好きな文体ではない。

  • 難しかったなぁ・・・。この宣言の影響は今も色々なところにあるのかもしれないけど、なんとなくオーバーな感じもしちゃったかも。でも当時のアートをめぐる状況は宣言しないとやってられない。っていうこともあったのかなぁ・・・。

  • ブルトンの主著。巌谷國士訳の岩波文庫版もあるが、こちらはより原文の躍動感が伝わると評判。確かにそれは感じるものの、すんなりと入ってくるものではない。ただ、かなり熱を帯びた雰囲気を感じられていい。

  • 熱いね。やっぱり自由に生きていきたい。どうしても道徳や損得に縛られちゃうからね。それには実力が伴うんだろうけど。

  • 「超現実主義宣言」「超現実主義第二宣言」「超現実主義第三宣言か否かのための序論」を所収。生田耕作の訳は日本語として生きているように思う。

    超現実主義は、ロゴス(言語・論理・理性・自己意識)による存在の断片化を斥け、「理性を介さない裸のままの自我/世界」(=超現実) i.e. 存在の全体性を志向し、それを現前させようとする芸術運動。自らの理性を解除して生(なま)のままの世界に向かおうとする「自動記述」や、世界を覆う理性的秩序の被膜に驚異と共に裂け目を入れようとする「デペイズマン」(一種の異化作用)など、多様な実験的手法を試みた。理性の統御を免れているとされた夢・無意識・狂気・幼児性・未開原始文化・オカルティズム etc. を無垢な自己/世界の現前として称揚し、その純粋性を表現しようとした。

  • 今から114年前の1896年2月19日フランスはノルマンディーで生まれた詩人。

  • 2010/1/16ジュンク堂で購入

  • 「シュルレアリスムって何よ?」ということで今更ながら読んでみた。
    正直第一宣言だけで十分だったかな。
    あとは何を言わんとしてるのかさっぱり分からなかった(笑)。
    結局ウィキペディアの解説で補足したという・・・。
    正直、この本を読むよりもシュルレアリスムの影響下にある文学や芸術に直接触れた方が有意義な気がした。
    前もって意図しないところで触れてはいたけど、この本の理解には繋がらなかったね・・・。
    20世紀屈指の思想ということでとりあえず星は3つで・・・。

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著者プロフィール

1896-1966年。フランスの文学者で、シュルレアリスムを創始した。1924年に『シュルレアリスム宣言』を刊行、自動記述などの表現方法を重視した。他に著作として『ナジャ』『黒いユーモア選集』など。

「2017年 『魔術的芸術 普及版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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