骨董市で家を買う―ハットリ邸古民家新築プロジェクト (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 44
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122037694

作品紹介・あらすじ

「古民家売ります」骨董市でみつけた一枚の貼り紙。それがすべての発端だった…!?怪しい骨董商のみちびきで、福井の廃屋に一目惚れした著者は、東京下町に移築を決意。しかし、肝心の骨董商が宗教にハマり、あげくの果てには雲がくれ。きまじめな建築士と職人たちが日々材木と格闘するも、遅れに遅れる工期、足りない予算-次々に迫る困難をくぐり抜け、理想の家を求めた女流小説家が描き出す痛快ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • いくら古民家に住みたいからって、なにも骨董商から買うこともないだろう。

    古いもの好きな小説家・服部真澄が古民家を再生するまでのプロジェクト。

    福井県から古民家を東京に移築して、さらに改築・リノベーションして住む計画になったものの、古民家は現代の家とは大きく違う。
    太い梁、一本一本違う木材、細かな調度、漆喰の内装。
    現代の建築スタイルから大きく外れた建て方を目の当たりにして、施主も旦那さんも骨董商も建築家さんも棟梁さんも巻き込んで、工期はのびのび、予算は増し増し、四苦八苦しながら家を建てていく。
    (そもそも骨董商を通じて家を買うこと自体、相当に規格外のルートなのだが)

    そんな姿を見ているうちに、古民家が現代の住宅と異なるのは建設スタイルだけではないことに気がつかされます。
    家を一軒一軒、柱の一本から丁寧に手作業で作っていく、物の考え方そのものが変わっているのです。

    便利さと丁寧さの価値観の逆転が起こったことを著者を指摘しているます。

    「幻の豊かさと真の豊かさの逆転が、まさにここでは、起こっているのだった。都会という虚像に憧れて、あっさりと、ほんとうの贅沢と暮らしやすさを手放してしまう、ああ矛盾」

    古いものの良さを再発見して、新たな価値を見出すことは、古民具も古民家も同じです(多分)。

    都会で古民家に住みたい!
    そんな野望に燃える人に、ぜひ。

  • 前から読みたかった本。やっと見つけて、読んだら30分で終わっちゃった。ははは。
    副題含めタイトル通り、地方で売りに出されている古民家の建材を使って都心に家を建て替える奮闘記である。出来上がった家の中が紹介されているのだが、「それ」用の写真はとてもよく撮れている。どちらかと言うと話の中では失敗に終わっているらしい外を見たかったのだけれどね。外観は移築前のものなら見られるのだけれど、かわらは部分スレートだし、外壁はちょろいベニヤにすら見える木材(らしい)もので、立替後に選んだ漆喰とは大違い。網代仕上げの素敵な天井の勾配からは話による2階の勾配の緩さによる温度調整失敗談は覗えないし、いいところばかり強調しているのが残念だ。ご夫婦ともに料理はあまりしないらしく、現代化、と言う点で一番興味がある台所には全く話が及んでいないのも。
    家そのものよりも業者との意志の疎通、掛け合い、駆け引きに焦点が当たっている。このプロジェクトの責任者であるとも言えるヒナタ氏のあまりにも典型的な適当業者ぶりが、笑える。こっちでもそういう話はよく聞くし、こと建築に関する限り、期日通りというのはありえないのだ。

  • 誰もが「いつかは自分の家を持ちたい!」と願うもの。
    そんな夢をハットリさんが骨董市で買った
    古い民家の家の木をリユースして、
    自分の家を建てちゃいましたというお話。

    ハットリさんの夫の目線で、
    ハットリさんを客観的に見て書かれている。

    骨董市での交渉から始まり、
    建てるまでの苦労話、建てた後の反省まで、
    家造りのヒントがいっぱいあります。

    しかし、民家を見てその材木を使って家を建てるって
    想像以上にとっても大変。
    ハットリさんのバイタリティーに感服です。

  • 福井の古民家に一目ぼれしてしまった著者が、その家に住むようになるまでのノンフィクション小説。

    最初、「ノンフィクション」とあるのに語り手が服部さん自身でなく、彼女の旦那さんであったので、ちょっと「あれ?」と戸惑った。
    しかしこれは、自身を他人の立場からツッコむというスタイルを取りたかったためらしい。作者は自分の理想や、家への能書きに思いっきりツッコんでいる。

    肝心の家にほれ込んだはいいものの、少しどころかとんでもなく遅れに遅れる移築と、増す予算。これらが嫌味のない口調でユーモアをもって描かれ、実際は深刻で気が重そうな場面でも、さくさくと読めた。

    でも何より面白かったのは、やはりかつて日本の住居の素晴らしさ。日本の風土に合った、機能的な家のかたちである。現代では、この前更地だった場所にいつの間には家が建っている、なんてことも珍しくないくらい家はすぐ建つものになっている。しかし、古来から受け継がれてきた家にはその手間がかかるだけの、素晴らしい先人の知恵が備わっているのだな、としみじみ思った。

  • な~んかお堅い印象を与えるこの表紙。だまされないで!実はめちゃくちゃ笑える内容の一冊となっております。
    http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage071.htm

  • 2011/06/16 再読。ゆっくり建てる家。

  • 08046

    04/05

  • 今古民家に興味があるので図書館から借りてきた。いきなり家を骨董市で買う人はいないだろうけど、考えただけでも楽しい。これから古民家の再生や移築を考えている人にはためになると思う。

  • 骨董市で見つけた「古民家売ります」の貼り紙。福井の廃屋を東京に移築することになった夫婦の実録記。
    うん、面白い。怪しげな骨董商や生真面目な建築士など、出てくる人物味わい深いし、作者が古民家に惚れ込む姿が夫というフィルタを通して描かれているため、客観的に且つ親近的に描かれてます。
    薀蓄本じゃないので、古民家に関することや建築に関することはさらりと書かれているのですが、こういう「家」強いては生活もいいなと思わさせられました。

  • 大きな買い物だけに慎重になるが、失敗や後悔はつきもの。結末はヒニク。

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プロフィール

1961年東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒。95年に刊行したデビュー作『龍の契り』が大きな話題となる。’97年『鷲の驕り』で吉川英治文学新人賞を受賞。以後、豊富な取材と情報量を活かしたスケールの大きな作品を発表し続けている。他の著書に『KATANA』『ポジ・スパイラル』『エクサバイト』「清談 佛々堂先生」シリーズ、『天の方舟』『深海のアトム』『夢窓』などがある。

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