インカ帝国探検記 改版: ある文化の滅亡の歴史 (中公文庫 B 7-1 BIBLIO)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122038851

感想・レビュー・書評

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  • 1975年刊(改訂前底本1963年)。スペインの中南米征服模様を「鎖国」(和辻哲郎著)で読んだので、より細かい状況を見るべく、本書を読破。スペイン・インカとも内訌を抱えて判りづらい構図を、当時の報告書等の具体的記述を織り交ぜつつ叙述し、読みやすい。ピサロの成功が、圧倒的大軍を備えたインカ皇帝の油断を突いた点は成程の感。その後のスペイン人の略奪模様と、太陽神信仰を保全しようとしたインカ人の懸命の努力の様子も買い。全貌が把握されていないであろう天空のマチュピチュ遺跡の、静かだが厳かな佇まいが往時を物語るか。

  • ペルー旅行の予備知識として。物語風味に描かれているので、とても読みやすい。文献をひきながら筆者が一番わくわくしていたであろうことが伝わってくる。現在はマチュピチュは「太陽の都」ではなかったというのが定説らしいが。

  • [崇高なりし興亡]インカ帝国の興りから滅亡までを描いた作品。実際の記録を丹念に読み解くとともに、ときに想像力を羽ばたかせながら、在りし日の帝国の面影への近接を試みています。著者は、東京大学の名誉教授も務められ、中南米を旅したときの衝撃が研究を後押ししたと語る増田義郎。


    旅番組などでマチュピチュが特集されているのを見たことがあるといった程度の知識量だったのですが、本書は建国神話にまで立ち入りながらインカの歴史の流れを説明してくれており、非常に興味深く読むことができました。また、無味乾燥な事実記述型の文章でもないため、読者の側も想像力をたくましくしながらインカの栄光を後追いできるところが魅力的です。


    また、冷酷無比な侵略者としてのイメージが強いピサロに、倫理観とはかけ離れた視点からの評価を投げかけているところも新鮮でした。インカ帝国側にも(当然と言えば当然なのですが)様々な問題が存在していたことを記述するなど、全体としてバランスのとれた作品になっていると思います。

    〜ひとはウルバンバ、ビルカバンバの地に足を一歩ふみ入れた瞬間に、宝のことなど、どうでもよくなってしまうほど大きな、あるひとつの魅力に取りつかれるだろう。その魅力とは、ひとつの偉大な帝国を独力でつくりあげ、そこにうみだしたよきものを、侵略者の手から守るため、数十年の長きにわたって、千仞の谷間のけわしい峰々の奥に、生活と信仰の本拠をきずきあげ、独立心と自負心をすてなかった高貴な民族のたましいのかおりである。〜

    中南米…...行きたいけど遠いなぁ☆5つ

  • 2010年2月5日読了

    インカ帝国の滅亡前後の様子を小説風に仕立てた物語り、元の原稿が古いので、採っている説が古いところもあるのではないかと思ったが、その当時を想像できるようなストーリーになっており、読み物としてはおもしろかった。やはり強大な文明を誇ったインカがなぜあんなにも簡単にスペインにやられてしまったのかは腑に落ちない点があり、これからも色々な説明がなされるのだろう。

  • インカ文明の細かい説明を求めて読んだが
    タイトル通り、滅亡の歴史を中心に書かれていた。
    それだけインカ文明は謎ということなのだろうか・・。
    コリカンチャの黄金装飾をぜひ見てみたかった。

  • これすごい面白かったー。
    文明が滅ぶってのは切ないけどドラマよね

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著者プロフィール

増田義郎 ますだ よしお
1928年、東京生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学名誉教授。専門は文化人類学、イベリアおよびイベロアメリカ文化史。『大航海時代叢書』(全42巻 岩波書店)の刊行を推進。主な著書に『インカ帝国探検記』『黄金の世界史』『太平洋』など。訳書に講談社学術文庫『西太平洋の遠洋航海者』(B.マリノフスキ著)のほか、『ワルツへの招待』(ロザモンド・レーマン著)、『片隅の人生』(サマセット・モーム著)などがある。2016年没。


「2020年 『アステカとインカ 黄金帝国の滅亡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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