南洋通信 (中公文庫BIBLIO20世紀)

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  • 中央公論新社
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本棚登録 : 73
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122039001

感想・レビュー・書評

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  • 新書文庫

  • これほど有名な作家が、このような体験をしているとは思っても見なかった・戦前日本の委任統治下にあった南洋諸島見聞録。なお、日米開戦直前の赴任だが戦争関係の内容は少ない。

  • 教科書に乗っていた神経質そうな顔と病気で夭逝したことからなんとなくつんつんした人を想像していた。
    でも、収録されている書簡は奥さんや子供たちに対する愛情を感じるものばかりだ。

    タカ助、という呼び方
    何度も繰り返している「とにかくは無理だけはするなという言葉
    痩せたようだけど、また太っておくれという言葉
    奥さんと本当に好きあっていたんだなあというのがよく分かる。

    奥さんへの手紙の口調は漫画版サザエさんのマスオさんを思わせる。
    バナナがない南洋なんて何の意味もない、とか
    肉ばかり食べちゃったとかいちいち可愛い。
    デング熱にかかった時の奥さんに甘えたような手紙の後に
    父親にかっちりした手紙を書いているギャップも。
    奥さんに、子どもたちに会いたいと書いてこの仕事を辞して
    すぐに亡くなってしまったと知って哀しくなった。
    お子さんたちの成長を見たかったろうにな。

    南洋というと戦時中の水木しげるの本での描写で読んだことがあるのみだったけど、
    おおよそ印象は似たようなものかな。
    ただ、当時は大東亜共栄圏というものをここまで広げる算段だったということは知らなかったので驚いた。

  • 「山月記」の人、としてしか認識してなかったのだが、南洋に赴任していたことなど初めて知って、中島敦の別の面を垣間見た一冊。
    子ども達へ宛てた書簡がとても優しく、また彼の夭折を知っている者から見ればとても切ない。
    南の温い風や植物のむせ返るような香りが感じられるような小説も趣がある。

  • 山月記で有名な中島敦が南方に行った際の話。

    現代では使われ難い言葉も、その当時の通りに使っているが、
    そこには差別意識などは見えない。

    当時の日本の信託統治領などの雰囲気が分かる本です。

  • 南洋通信とあるがそれはアンソロジーのタイトル名。中島敦の当時の気持ちが読み取れる手記がおもしろい。

  • 勝手企画「生誕100年の作家を読もう」第1弾。

    たまたま手に取った一冊でしたが、まずこの人のことを『山月記』
    でしか知らなかったので、南洋ものの作品を書いていはったことが
    なんか意外でした。
    パラオ南洋庁で仕事されていたのですね。当時の日本はこんなとこまで
    占領していたのだな…

    これは小説と書簡とからなる一冊。家族に宛てた手紙がねえ… なんか、
    切なかった。この人が33歳で夭折したことを知って読むからかもしれないんだけど。

    行ったこともないけれど、むせるような南の島の雰囲気を感じるような気がした。
    希望と失望がない交ぜになったような植民地への視線…

    褪せない名作だと思います。

  • 南方に赴任していた時の書簡集。泣けます。

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著者プロフィール

中島敦

一九〇九年(明治四二)、東京・四谷に生まれる。三〇年、東京大学国文学科入学。三三年に卒業し、横浜高等女学校に国語科教師として就職。職の傍ら執筆活動に取り組み、「中央公論」の公募に応じた『虎狩』(一九三四)で作家としての地位を確立。四一年七月、パラオ南洋庁国語編修書記として赴任。持病の喘息と闘いつつ『山月記』『文字禍』『光と風と夢』等の傑作を書き上げる。四二年(昭和十七)、職を辞して作家生活に入ろうとしたが、喘息が重篤となり、同年十二月に夭折。

「2019年 『南洋通信 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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