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- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122039001
感想・レビュー・書評
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教科書に乗っていた神経質そうな顔と病気で夭逝したことからなんとなくつんつんした人を想像していた。
でも、収録されている書簡は奥さんや子供たちに対する愛情を感じるものばかりだ。
タカ助、という呼び方
何度も繰り返している「とにかくは無理だけはするなという言葉
痩せたようだけど、また太っておくれという言葉
奥さんと本当に好きあっていたんだなあというのがよく分かる。
奥さんへの手紙の口調は漫画版サザエさんのマスオさんを思わせる。
バナナがない南洋なんて何の意味もない、とか
肉ばかり食べちゃったとかいちいち可愛い。
デング熱にかかった時の奥さんに甘えたような手紙の後に
父親にかっちりした手紙を書いているギャップも。
奥さんに、子どもたちに会いたいと書いてこの仕事を辞して
すぐに亡くなってしまったと知って哀しくなった。
お子さんたちの成長を見たかったろうにな。
南洋というと戦時中の水木しげるの本での描写で読んだことがあるのみだったけど、
おおよそ印象は似たようなものかな。
ただ、当時は大東亜共栄圏というものをここまで広げる算段だったということは知らなかったので驚いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
南洋通信とあるがそれはアンソロジーのタイトル名。中島敦の当時の気持ちが読み取れる手記がおもしろい。