神様 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 2948
レビュー : 427
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122039056

作品紹介・あらすじ

くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである-四季おりおりに現れる、不思議な"生き物"たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 短編9章。
    夏休み、花野、星の光は昔の光、春立つ、離さない、草上の昼食

    川上版大人のためのトトロ。
    どれも素敵だけど上記の6編がとてもよかった。特に「花野」が。
    最近涙腺がもろくなってしまい「花野」とか「草上の昼食」みたいなお話を読むと、たちまち目のお天気があやしくなってしまう。思い出の中の心の古傷が痛むというか、なんというか…。香りと夢と思い出って似ている成分で構成されているからなのかもしれない。それが佐野さんが言う無意識とも似ていて、私も春の野で会いたい人とランチしたいなぁ…とか思ってしまった。

    本の内容と季節が合ったのかもしれない。沈丁花が香って桜が咲いてお待ちかねの春爛漫。本当に夢のようで催眠術みたいでほろ酔いみたいになりました。

    佐野洋子さんの解説も楽しくて“寝ればこの世の地獄になるはずが、”あたりは、可笑しくってつい笑ってしまった。佐野さんの本も読みたくなった。

    2018年積読本消化18冊目

  • くまに誘われて散歩に出たり、バイト先で不思議な生き物に出逢ったり、五年前に亡くなった叔父が逢いに来たり、友人のウテナさんと一緒に河童の恋愛相談にのったり、ウテナさんがくれた壺の中から出てきた可愛らしい少女・コスミスミコに振り回されたり、ご近所さんから人魚を預かったり、と摩訶不思議な体験を次々にする「わたし」の連作短編。
    この「うそばなし」ワールド全開のデビュー作を書くことにより、川上さんは物語を書くことの楽しさを痛感したそうだ。
    くまや河童達と普通にやり取りする「わたし」はひょっとしたら川上さんご自身なのかもしれない。
    川上さんの夢の世界はふわふわ優しくて温かくて可愛らしい。
    私もこのくまになら誘われてピクニックに行きたい。
    くまお手製のアップルパイが食べたい。

  • ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞短編集。

    高校の国語の教科書に載っていた「離さない」に衝撃を受けて以来、折に触れ何度もあの人魚を思い出していた。どうしてもまた読みたくなって探して、行き着いた本。

    「離さない」は勿論良かった。魅せられる静かな狂気。ぞっとするんだけど、最初に読んだ日以来私の心を「離さない」物語。
    人魚が人魚姫みたいな美少女じゃないのに魅せられるっているのがいい。狂気の描写が心情描写を延々書き連ねる、という風じゃないのがいい。あっさり描かれていて、だからぞっとする。
    人魚のお話は数多くあれど、私の中でのナンバーワン人魚。

    で、今回他の収録作も初めて読んだ。知らなかった、「神様」が川上弘美のデビュー作だったんですね。
    このお話含め、どれもこれものんびりぽかぽかしてでもどこか切なさを感じる。寂しさとかも。この小説を読み終わった今も、とても寂しい。
    いいな、私もそんなくまに会いたいなあ。熊、じゃないのがいいね。

    それから「花野」はもうドストレートに泣ける。人に勧めるならまずこのお話からにすると思う。でも変に泣かせようと肩肘張ってない、あっさりとした文章なんだよね。
    そら豆嫌いなのに、食べたくなった。

    あとがきも面白かった。オチが(笑)。

  • デビュー作「神様」から始まる連作短編集。
    くまと散歩に行く話、河童に恋愛相談される話、小さな人魚に魅入られる話・・・など川上弘美さんならではの幻想的な話にほんの少し怖さをまぶしたような短編たち。

    川上弘美さんの本の感想書くのってすごく難しいんだけど、(作品と作品の差をうまく表現できない)今まで読んだ川上さんの作品の中で2番目に好きかも。

    1番は「真鶴」。

  • となりに熊が越してきた。
    河童と出会う。
    死んだ叔父と会う。
    人魚にまつわる話。

    一連の短編がどうやら同じ主人公だったらしいと気づいたのは、星の光は昔の光までよんでから。

    最後、熊が帰っていくのが切ない。

    淡々とした日常の一枚の中、よくよく考えてみると(よくよく考えなくとも本来は気づくはずなのだが)、なんだか紙一枚くらいのずれがある(本当は次元そのものがファンタジーとしてぶっ飛んでいるのだが)。
    手のひらに収まる愛しい日常をたんたんと綴ることで、哀切さが伝わってきた。

    不思議な一冊。
    でも、なんだか大事にしたくなるような一冊。

  • 再読ですが、この世界がとても好きです。不思議であたたかくて、ちょっと寂しくて。「夏休み」「春立つ」は今回も好きでした。再読では、くまとのひとときを描いた「神様」「草上の昼食」も好きでした。くまとの暮らしがずっと続いたらいいなぁとふわふわ思いました。くまとピクニックへ行って、穏やかな時間を過ごしたいです。

  • 全体的に不思議な印象をうける読み物です。
    ストーリーの設定は奇妙なのに、日常的・生活感がある(?)みたいな。
    ちょうど、世の中が少し春めいてきた頃に読むといいかもしれません。

    私は「神様」「夏休み」「花野」「春立つ」・・・・大体全部好きでした。
    (「河童玉」だけちょっとニガテかな。)
    「神様」は「私」とくまがピクニックに出かけるお話で、森のくまがあまりにも紳士的で礼儀正しいとこが好感をもてますし
    「夏休み」はあの夏のへばるような昼の暑さと、じっとりとしたでも悪くない夜の雰囲気が伝わって心地よく、
    「花野」はおじさんと毎晩会う花野での舞台をよく想像できますし、
    「クリスマス」に出てくるコスミスミコは嫌いになれないし、
    「春立つ」も深い雪と愛の壮大なお話しのような気もするし、、、
    あと「離さない」は最後ちょっとゾッとしました。(人魚のイメージは彫刻作家の土屋仁応さんの人魚です)

    どれもこれも少し変わったお話しですが、おすすめします!

                            春の海にて 2017年4月9日

  • くまにさそわれて森に出る。

    素晴らしい!わたしはまさにこういう現実離れした、けどそれが普通に受け入れられる不可思議な短編がすきなんだ!
    人の神様は人の形、くまの神様はくまの形。
    面白い話ばっかだったな〜。
    特に印象に残ってるのは、壺の妖精の女の子の話と、居酒屋を経営しているおばあさんの昔話!

    普通のお話だったら、まずその妖精が出てきた瞬間の説明とか受け入れ方とかにたくさんの説明とページを費やすだろうに、この作品ではすぐに受け入れられて物語が始まっていくのがいい。
    少なくともわたしは小難しい説明とか理論とか求めてないから、このくらいのテンポで進んでくれた方が頭に入りやすくていい。

    それでみんなが振り向くくらいのかわいい妖精でも、すきな男の子には振られたりしているのが普通の人間と同じ悩みで最高にかわいい。

    おばあさんの昔話も面白いけど、最後の張り紙の言葉が最高!

    あと星の光は昔の光っていうのもよかったなぁー。

    くまの手紙も良かった。料理をしなくなって忘れてしまったってところがかなしい。人の世界から離れてくまの世界に帰っちゃったら、どんどん記憶が淘汰されちゃう切なさ。

    あーもう感想短くしたいのに面白くてつい長ったらしくいってしまう。面白さっていうのは一言で伝えるべきものだと思うのに!ちくしょう!

    20151125

  • 短編集。寓意があるようなないような。
    くまとのピクニック、梨園、死者との交流、河童の国、人魚など。四季を感じさせる描写とともに描かれる不思議なあれこれ。
    ちょっとおセンチな気分だったことも手伝って、どれも切なくてじんわりと暖かく、しみた。

  • ぬるりとファンタジーが始まって、まるで日常みたいに綴られてました。
    癒されました。

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著者プロフィール

川上 弘美(かわかみ・ひろみ)
1958年生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』でドゥマゴ文学賞と紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞を受賞。ほかの作品に『風花』『どこから行っても遠い町』『神様2011』『七夜物語』『なめらかで熱くて甘苦しくて』『水声』などがある。2016年本作で第44回泉鏡花文学賞を受賞した。


「2019年 『大きな鳥にさらわれないよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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