女帝エカテリーナ 上 改版 中公文庫 B 17-3 BIBLIO

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122040441

作品紹介・あらすじ

ドイツの小領主の家に生まれたエカテリーナは、ロシアの皇帝に嫁す。うちつづく試練と果てしない闘争。十八世紀ロシアの広大な世界を舞台に、権力と愛欲と啓蒙に生きた彼女の華麗で波瀾万丈の生涯がここに始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 凍てつく異国の地に皇太子妃としてやってきた少女が、権謀術数渦巻く宮廷で命がけの孤独なゲームに身を投じる。やがてその並外れた野心と知性、自身の容姿までコントロールする強固な意志と努力で、ついに広大な国を治める最高位の女帝に…しかも、あくまでそのおまけとして、あまたの美しい男と少しの強い男を次々恋人に、 となれば、当然池田理代子先生が漫画にしたくなるに決まってるのである。ポチョムキン、いいよね。エカテリーナがようやく自分と対等な男に巡り合った、という感じが。
    表紙の肖像画、いぬを抱っこしてるのだけど、何かこういういぬ(男)生涯周りにいっぱいいたんだろうな。

    フォン・スタンバーグの1934年「恋のページェント」(この邦題、全く意味不明でいてかっこいいのが不思議だ。原題 The Scarlet Empress)も、このエカテリーナを描く映画なのだが、ディートリヒはあまりイメージでない気が。しかし、スタンバーグの映画はディートリヒが誰を演じるかよりも、彼女が彼女としてどれほど稀な美しさを持つ女優かというその一点が重要であって、美しいことは正義なのである。

  • 登録し忘れてた。上巻は何の権力もろくな後ろ盾も財産も持たない女の子の成長と立身出世の物語。
    エカテリーナの人生のあらましを知っていても、次に何が起こるのかわくわくして、上巻はページをめくる手が止まらなかった。
    帝位が安定してからは、エカテリーナの革新的な思想はヨーロッパのインテリに一目置かせるためだけのポーズになってしまうし、物語の主人公らしい気高さが傲慢さに取って変わってしまって、あまり面白くないのね。
    ヨーロッパの歴史的には、エカテリーナの権力が安定してからが大事なんだけど。

  • 池田理代子さんの漫画「女帝エカテリーナ」の原作を読みたくて購入。
    驚くほど読みやすい本で、同時期に購入した「カトリーヌ・ド・メディシス」の海外作品の独特の読みにくさと比べると、スッと喉を通って胸にストンと落ちていく。

  • 帝政ロシアを最大限に拡大せしめた女帝の物語。政略結婚でドイツラブ☆なピョートル皇太子に嫁ぎ、ロシアと結婚すると腹をくくって生き抜いた姿が見事だと思う。
    英雄色を好むではないけど、ピョートルがダメなら家臣の色男・・・と肉食の走りでしょうか?

  •  エカテリーナという人は、実際の行動や政策とは関係なく、一貫していて純粋、無邪気で才気煥発な「印象」を残すのがすごいところ。少なくとも、果断で、自信に満ちあふれていたというのは明らかです。目的の質や正しさはともかくとして、自分のすべきことをはっきりと把握して、そのための努力を怠らないという性格は、生涯を通じて変わっていないし、尊敬すべき美徳だと思いました。
     しかし、これほどの大人物でもやはり老害は避けられないんですね。エカテリーナの子どもに傑物がいないことも残念。あのつまらない夫(ピョートル三世)との子どもならともかく、ほかの男とのあいだにできた子どもたちなのに。エカテリーナの愛人たちでいちばん魅力的なのはやはりポチョムキン。あと佳人薄命なランスコーイですね。夭折するから印象が余計に美化されて、前後の愛人たちが醜く見えるというおまけ付き。
     ロシア宮廷に感じる得体の知れない怖さや、トロワイヤも何度も言及するスラヴ民族の異質性についてもう少し知りたいので、そのうち『イヴァン雷帝』あたりも読みたいです。

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著者プロフィール

1911年モスクワ生まれのロシア系フランス人作家。1935年に処女小説『ほの明かり』を発表して以来、2007年に95歳で没するまで精力的に小説、伝記、エッセイ等を発表した。日本でも多数の作品が翻訳されている。主な著書に、『女帝エカテリーナ』(中公文庫、1985年)、『ドストエフスキー伝』(中公文庫、1988年)、『バルザック伝』(白水社、1999年)、『プーシキン伝』(2003年)、『ボードレール伝』(2003年)、『ヴェルレーヌ伝』(2006年)、『フロベール伝』(2006年、以上、水声社)等がある。

「2023年 『モーパッサン伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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