- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122040595
作品紹介・あらすじ
南京・徐州と日本軍が大陸の深奥へと侵入しつつあった昭和十三年、林芙美子は海軍機で南京に到着した。石川達三、深田久彌ら報道班員と各地ですれ違い,揚子江北岸部隊とともに要衝漢口を目指す。埃臭い船底で兵と語り、野戦では限られた物資を分かち合い、死線に赴く兵を見送る。生命、生活、生涯をうち砕き、一瞬の早さで飛び去る兵隊の運命に心を撃ち抜かれた女流作家の従軍記。伏字復元版。
感想・レビュー・書評
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昭和13年10月、日本軍の漢口侵攻作戦への従軍記です。当然、日本軍に都合の悪いことや批判的なことは書けないのですが、この戦闘と日本軍、中国人の様子なども断片的に浮かび上がってきます。
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著名な文化人も戦場に赴き、戦意高揚の一翼を担う、そんな時代があった。「放浪記」で有名な林芙美子もその1人。記事の性質上、書かねばならない事、書いてはならない事の制約を割り引かなければならないが、兵隊そして祖国讃歌を謳う点、流行作家とはいえ、当時の一国民としての心情が伺える。敵兵やその死体への冷酷な視線がある一方、現地の子供や赤ん坊を可愛がる女性らしさには、ほっとさせられたりもする。病気、汗と埃と雨の過酷な行軍、そして弾丸が飛び交う戦場体験は、経た者にしか分からない境地がある筈で、その一旦は確かに文中に描写されており、我々戦争を知らない世代にも読まれたという事実に、ペン部隊に参加した著者の心意気(功名心)の最大の意義があったと思う。
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1939年(昭和14年)ベストセラー
請求記号:915.6ハ 資料番号:011220852