あるようなないような (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.39
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本棚登録 : 908
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122041059

作品紹介・あらすじ

うつろいゆく季節の匂いがよびさます懐かしい情景、日々の暮らしで感じたよしなしごとあれこれ-。うつつと幻のあわいの世界をゆるやかに紡ぎ出す、不思議の作家の不思議の日常。じんわりとおかしみ漂う第一エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 川上弘美という人は、毎日なにかにちょっぴり困って、うつむいている。かと思うと、ふと顔をあげて、いたずらを思いついた童女のようににっこり笑って駆けだしている。ただし行き先不明・・・というイメージ。
    いつもどっちつかずでとらえどころがなくてわからない。つまりこのタイトルどおり「あるようなないような」な人です。って知り合いでもないのに言い切るのもどうかと思いますが。少なくとも、彼女のエッセイはそんな風情を醸し出していて、それがたまらなく魅力的。

    なんにもやる気がでないときは、川上弘美ワールドに浸るとなんだか癒される。

    さらに、このエッセイ集のいいところは、「読書目録」とか「読書ノート」とか、彼女の好きな文学についてのエッセイも含まれており、本ガイドとしても良いところです。

  • 川上弘美さんのエッセイはぼんやりと読むのにとても良いです。
    こちらも面白かったです。
    選ぶ言葉が素敵…「元気出ない回路」「十一月散歩」「偽ギリシャ」、偽の誕生日というのも面白かったです。
    「元気出ない回路」に迷い込んでしまったとき、わたしも本を読むかなぁと思いました。
    十一月なので十一月散歩にわたしも出掛けたいです。
    読書案内も良かった。川上さんの好きな本の本も持っているので読みます。

  • いつの話かな? と思えば95年の文章だった。
    どうりでパソコン通信とかが出てくるはずだ。
    あぁ、そんな時代もあったね
    と懐かしく思い出す。
    通信の世界は変化が激しいな。

  • 何度も読みたいエッセイ本ってあまりないですが、これは貴重な一冊。
    この人の、歩きながら真剣にぼーっとしている感じがたまらなく愛らしい。
    「真剣なぼーっ」の中には実は空想・思考がフルカラーでたゆたっているんだけれど、普通はそういうたゆたう思考はそのまま流れていってしまう。浅い眠りの夢みたいに。
    それをこともなげに言葉にして世界に呼び出してきちゃう強さがまた・・・嗚呼愛らしい。

    「立春」という言葉を聴いて、「さまざまな小さい生き物でみっしり埋め尽くされた一枚の絵のようなものにちがいない」と確信する、このみずみずしさ。
    春生まれだったら、なんかうれしいな。

  • 川上弘美のエッセイが好きだ。
    小説以上にふわふわしていて、
    ぼーっとしていて、
    それなのに日常的な景色や行為に宿る、
    人間の様々な感覚に鋭敏で、
    この人の目を通すと世界がこんなふうに見えるのかと、
    少し怖くなる。
    癖になる。

    読後に、
    あぁ、川上弘美のエッセイは、
    まるで詩のようだから好きなのだな、とわかった。

  • 書評があって、これで知って買った『<a href=\"http://mediamarker.net/u/nonbe/?asin=4061316974\" target=\"_blank\">私的生活</a>』は秀逸だった。川上さん有り難う!他の気になる本。<a href=\"http://mediamarker.net/u/nonbe/?asin=4061960830\" target=\"_blank\">田紳有楽;空気頭</a>、<a href=\"http://mediamarker.net/u/nonbe/?asin=4167296047\" target=\"_blank\">怪しい来客簿</a>、パプリカ

  • このエッセーを読んだおかげで、高浜虚子や武田百合子の作品に出合えた。川上さんによる「読書案内」は私にとってどストライク。はずれがない。

  •  予想した以上に面白く読み終えた。
     なるほど、こういう視線で世界をみつめ、生活を感じ、日常の空気を味わい、それを独特な文章で書き表せばあのような作品が書けるのか。
     そんな種明かしを覗いたような感じ。
     感性が違うんだな、なんて一言で片づけてしまうと身も蓋もないか。

  • 好みのエッセイを書く作家を、また見つけた。
    エッセイと物語が半々みたいで不思議なものがある。大学生のころ図書館で本を読んでいたエピソードが好き。
    理学部出身は、意外だった。

  • 2017.4.1市立図書館
    94〜99年頃にあちこちの媒体に書かれた文章をまとめた第一エッセイ集。
    川上弘美の文章はなんとなくとまらなくなる。波長が合うというか…ちょっとぼんやりとしたところとか、思考回路が近い気がする。ら抜きと母娘の葛藤をつづった「なまなかなもの」なんかおもしろかった。「ゆるやかに効く薬」のような読書周りのエッセイはやはり興味深い。いい年して児童文学を読んでいたことに共感を抱く。まじないとして読む漫画のチョイスに頷く。「しみこみやすい人」にでてくる、どんなに飽和状態でもしみこんでくる人物とは誰だったのか気になる。息子さんたちにその後「淫靡な」本をあたえたのかどうか後日談も気になる。結びの表題作9篇も現実と虚構のあわいを行き来しているような感じでよかった。
    借り物を移動の隙間でちょこちょこ読んだけど、返すのがちょっと惜しい。

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』で紫式部文学賞とドゥマゴ文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞、16年『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞を受賞。ほかに『龍宮』『光ってみえるもの、あれは』『ニシノユキヒコの恋と冒険』『ざらざら』『風花』『七夜物語』『猫を拾いに』など著書多数。

「2018年 『100万分の1回のねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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