寡黙な死骸 みだらな弔い (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1772
レビュー : 211
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122041783

感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんの作品が好きで恐らくエッセイ以外は全部読んだが、ああこれだ、と1番すとんと落ちる一冊になった。
    連作短編集だと知らずに読んだが、連なり方がなんと表現していいかわからないがとても美しいと思いました。

    いくつかの単語や人物が一編一編に出てきて繋がりがわかりやすく、ワクワクするし更には物語に入り込みやすいと思う。
    一つ一つの表現が美しく情景を想像したくなる文章が本当に素敵です。美しさだけではなく、紙一重の顔をしかめてしまいそうなグロテスクな部分も含めて。

    中でも1番好きな表現が、"トマトと満月"中の『言葉の底にひんやりとしたさざ波が立っているような物語だった。それはひとときも休むことなく、さわさわと僕の胸を侵した。』という一節で、つい言葉の底ってなんだろうと想像してしまった。

    きっと何度も読み返す一冊になると思う。

  • 見事に幻惑されました。
    話の筋が通っているのか、いや、矛盾しているような、解を求めれば求めるほど沼に足を引きずりこまれ、惑わされますが、最終的に一番最初に感じた感想が答えなのかなという所に落ち着きました。
    頭の良い方は作者の意図する筋を見つけられるのかもしれませんが、そうではない私は幻惑され振り回されることを楽しみ、読ませていただきました。
    恐ろしく、気持ちの悪いシーンもあるのですが、物語の景色、空気の描写がとても心地よく穏やかなために抵抗なく読み進められます。

  • ホラーよりもそこはかとない狂気の方がおそろしい

  • 気味が悪くてやさしい世界がずっと繋がってる。

  • 【歪んだ一本道を逆立ちしながら戻る】

    新年明けて1冊目は小川洋子さんの本にしようと決めていた。

    小川さんの作品は真冬、日陰で凍りついたままでいつまでも溶けない水溜まりのようだ。踏みつけて綺麗に割ることも出来ない。泥だらけで美しくもない、だけど気になってしまう。靴先を入れたくなる。見逃せない。そして、気づくと消えてしまう。

    2019年はまた、本を読める1年にする。小川洋子さんの作品もたくさん読んでいきたい。

  • 綺麗で透明な毒を持つ物語です。
    本来、毒とは浄化するべきものなのかもしれません。危険な毒は人々に死を与えることもありますから。それでも真っ白で純粋なものだけが尊ばれ大切にされる世界の中で、毒は滅びることなく人々の心の中でひっそりと息づいているのです。
    運命の鎖で繋がれたような短編集でした。
    それぞれの物語の中に一粒の毒の種が埋め込まれ、その種が芽を出し花を咲かせ、また種を落とす……そうやって毒の連鎖が連なっていきました。
    小川洋子さんの作品には、硝子の欠片のような冷たくて美しい毒が、静寂な文脈の間に潜んでいます。この毒はいつの間にか、物語の中から弦を伸ばし読者の心に甘い蜜を垂らしていきます。そうして魅惑的な毒の虜になってしまったら最後、小川洋子さんの紡ぐ物語から離れることが出来なくなるのです。

  • 途中まで読んでいたが、2018年4月12日、最初から読み直し。
    登録してから4年半、そんなにたつまで読みきってなかったとは。月日の経つのは早い。

  • 半年くらい前から目をつけていて、やっと読むことができた。まずタイトルのインパクト。「寡黙な死骸 みだらな弔い」決してきれいな言葉の羅列ではないはずなのに、何度も口に出したくなる。連作短編集は彩瀬さんの作品で馴染みがあるので、結構好きだ。がっつり話と話がつながっているわけではなく、ほんのわずかな小さな接点が見え隠れするのがかえって面白い。洋菓子店で死んだ息子のためにケーキを買う母だったり、ベンガル虎が拷問博物館の中庭で亡くなったり、何かしらの死に立ち会うキャラクターたちの個性的な弔いを細やかに描いている。それぞれが普通の弔い方とは言えないかもれないが、むしろ普通の弔い方とはなんだろうな、と考えさせられた。葬式をする、墓を建てる、泣き叫ぶ、というようなこともあるかもれないけれど、きっと弔い方なんて人それぞれで、決まった方程式なんて存在しないはずだ。
    一番気に入っているのは「果汁」。「彼女」が郵便局でキーウィに食らいついている描写が切なくて美しかった。そして最後のページで最初の短編とのつながりが明かされて、もやもやとしていた気持ちがやっと晴れる。

  • ページをめくるごとに、甘いような腐ったような香りが鼻をかすめる本。
    内容に合っていて忘れ難くて美しい、素敵なタイトルだと思います。

    短編集で、印象に残ったのは「心臓の仮縫い」です。
    「白衣」は分かりやすい話ですが、この雰囲気がとても好き。
    「洋菓子屋の午後」の描写がすごい…たぶん作家が見せたかった景色そのままを、わたしは見ていたと思う。

  • 2008年11月15日~15日。
     11の短編。そのどれもが独立しているとともに、時空を超えた繋がりを持っている。
     最近はこの作者の作品をまとめて読んでいるが、今のところ、一番おもしろい作品。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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