隋の煬帝 (中公文庫BIBLIO)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 81
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122041851

感想・レビュー・書評

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  • 意外と文章が堅苦しくなく面白く読めた。
    単なる事実や仮説の羅列でなく、著者の人物に対してのツッコミみたいなのも交えてあるので笑えるところもある。

  • 東洋史学の泰斗・宮崎市定先生の名著。
    宮崎先生の研究については、司馬遼太郎・松本清張・米長邦雄
    などの先生方がその研究を引用していると言われています。
    (陳舜臣先生も宮崎先生の孫弟子にあたる…とのこと)

    この道の専門家ではありますが、一般読者向けの本では
    とても分かりやすく、読みやすいのが特徴です。

    内容としては、南北朝~隋に至る歴史の流れを踏まえて
    煬帝という人物について論じています。
    ‥が、だいぶ昔に読んだのであまり覚えてません(笑)

    三国志等の小説から中国史に興味を持った方で、より専門的な
    本を読んでみたい! 
    けど難しそうなのは…という方にオススメです。
    (主に私のことですが^^;)

  • 隋の煬帝といえば淫乱暴虐な、中国史上稀にみる暴君というイメージが先行する。しかし私は二つのことから、この煬帝という人物に興味を持った。

    まず一つ目は、その昔聖徳太子が遣隋使の小野妹子に持たせた、
    「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙なきや。」
    という有名な文句で始まる国書に激怒したという隋の皇帝とはどんな人物だろうと思ったこと。

    もう一つは、中国を縦断する通済渠、永済渠と称する長大運河を建設し、以後の中国発展に極めて大きなインパクトを与える土木工事を成し遂げた人物であることだ。長さにすると青森県から山口県までに匹敵するそうだ。

    地図や系図、そして風俗画などを効果的に配置して、宮崎流の引き込まれるような語り口で、歴史絵巻が展開していくようだ。

    初出は1965年(昭和40年)だか、少しも古さを感じさせない。歴史というのは、描き方によっては特別な新しい発見でもない限り新鮮味が薄れないのかもしれない。

  • 宮崎市定『隋の煬帝』を読む。
    中国史上で悪名高い煬帝の生涯を独自の視点で読み解く。

    礪波護の解説にこうある。

     軽やかな筆致でつづられた本篇が、
     この付篇のごとき厳密をきわめた文献考証の積重ねによって
     裏打ちされていることを知って驚嘆される方もおられるだろう。

                              (p.270)

    確かにそうなのだ。
    宮崎の文章を読んでいると煬帝の頃の中国王室や
    それを取り巻く人物模様がくっきりと浮かび上がってくる。
    権力への欲望、そして肉親同士が疑い殺戮しあう世界である。

    宮崎の文章は付篇「隋代史雑考」を読めば分かるとおり
    史料を注意深く丁寧に読み解くことから生まれる。
    決して面白おかしく読ませるための創作ではない。
    漢文ばかりのこうした史料を独力で読むのは僕には難しい。
    宮崎の本篇と読み比べてようやく中身が想像できる。

    宮崎はこれまでの歴史学の常識を疑い、
    それをくつがえす論考をたびたび試みる。
    こうした史料に別の角度から光を当て
    文脈を探し出す地道な作業の果てに新学説が誕生する。
    宮崎の高弟・礪波が「隋代史雑考」を文庫に収めた意図は
    そうした宮崎の思索過程を読者に示すためにある。

    碩学であり異端児。
    歴史の見方を変えるための補助線を随所に持つ著作。
    宮崎との対話は今年もやめられない。

    (文中敬称略)

  • 隋の煬帝を通して南北朝の終わりから隋の終わりまでを非情に面白く書かれている。
    この時代に興味があれば満足できること間違いなし。
    高島俊男翁も指摘していたが、やはり煬帝は父の文帝を殺害していないのだろうな。

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著者プロフィール

一九〇一(明治三十四)年、長野県飯山市に生まれる。松本高校を経て、二五(大正十四)年、京都大学文学部史学科東洋史学専攻卒業。六高教授、三高教授、京都大学文学部教授を歴任。六五(昭和四十)年、停年退官。京都大学名誉教授。文学博士。専門は中国の社会・経済・制度史。八九(平成元)年、文化功労者。九五年死去。主な著書に、『科挙』、『アジア史概説』、『雍正帝』、『東洋的近世』、『九品官人法の研究』、『隋の煬帝』、『論語の新研究』、『中国史』上下、『中国古代史論』、『遊心譜』、『史記列伝抄』など。『宮崎市定全集』(全二十四巻別巻一)がある。

「2018年 『大唐帝国 中国の中世』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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