中国に学ぶ (中公文庫 み 22-20 BIBLIO)

著者 :
  • 中央公論新社
3.17
  • (0)
  • (1)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 29
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122042810

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 結構古い本でして、昔ながらの文体というか何というか美文ではありません。したがってリズム感が少なくとも現在性を有しておらず読み辛い。
    それでも幾つか印象的なコメントがあります。中国史を学ぶのは日本人たる自分を知るためとか、数十年スパンの観点からの某欧州企業の投資感覚の遠大性とか、欧州と比較した際の日本の(アジア)世界の把握の仕方の狭小さとか、あまりに現在を的確に言い当てていて、この本には歴史を学ぶ意味が確かに詰まっております。

  • 宮崎市定『中国に学ぶ』を読む。
    「あとがき」にこうある。

       中国を学ぶことは、中国に学ぶことに終わる。
       ただし中国に学ぶとは、
       何もかもすべてを肯定することではない。
       学ぶためにはまず批判することが必要だ。
       (中略)
       私が中国から学んだ若干の事物のうち、
       最後まで心の底に残るのは、
       長い目で物を見ること、表面ばかりでなく
       必ず裏面の存在を考えること、等の数端を最とする。
       しかもこれを能くすることは、
       何人にとってもはなはだ難い。
                          (p.339)

    今年7月以降に上海、北京、瀋陽を仕事で訪れた。
    特に東北随一の都市、瀋陽で街を散策し人を観察しながら
    ここには計り知れない巨大な謎が横たわっていると感じた。
    瀋陽はかつての奉天であり、
    日本の歴史とも密接にからまっている。
    当たり前のように吉野屋がありUniqloがあり地元の人で賑わう。
    表面ばかり見ていれば中国に学ぶことはできないと思った。
    『アジア史概説』『中国史(上・下)』に続いて
    本書を読んだのも、長い目で物を見、裏面の存在を考える力を
    学び、養いたかったからだ。

    「はしがき」の最後の一文に苦笑した。

       世は白眼視しながらでも渡って行ける
       という余の発明からして
       どうやら中国に学んだ結果であるらしい。
                       (p.12)

    軍部、官公庁、学会、マスコミなど、
    そのときそのときの大勢、権力に安易に乗らなかった
    硬骨の碩学に僕は惹かれる。

    (文中敬称略)

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1901-95年。長野県生まれ。京都帝国大学文学部史学科卒業。京都大学名誉教授。文学博士(京都大学)。文化功労者。専門は,東洋史学。主な著書に『東洋に於ける素朴主義の民族と文明主義の社会』(1940年)、『アジア史概説』全2巻(1947-48年)、『雍正帝』(1950年)、『九品官人法の研究』(1956年、日本学士院賞)、『科挙』(1963年)、『水滸伝』(1972年)、『論語の新研究』(1974年)、『中国史』全2巻(1983年)ほか多数。『宮崎市定全集』全24巻+別巻1(1991-94年)がある。

「2021年 『素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮崎市定の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×