- Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122043039
感想・レビュー・書評
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著者名にはピエール・モリオンとあるが、今ではマンディアルグであることがわかっている。系譜としては、サドの著作や、アポリネールの『一万一千本の鞭』などに連なるフランスの正統派ポルノグラフィーの後裔である。主人公をことさらに英吉利人としたのは、この作品が単なるポルノグラフィーではなく歴史的、政治的な側面を持っていたからだろう。物語はモンサンミッシェルのようなブルターニュの突端に位置する隔絶された島の中で展開する。鶏姦、獣姦が繰り広げられるが、快楽の究極には殺人が位置することになる。極めて破壊衝動に満ちた小説。
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「余白なき背徳のポルノ小説」
ベルンで知り合ったモンキュに招待された「私」は、ブルターニュの海岸にある彼の城・ガムユーシュを尋ねる。そこでは実験と称してあらゆる背徳の性技が繰り広げられていた。
「匿名のフランス人が発表した地下出版物の完全無削除版」というだけあってエロ・グロ・SMからスカトロまでめいっぱいのてんこ盛り。
仮面をつけた作家がたまりにたまったソレを紙上に大放出。
挙句「エロスは黒い神だ」という一言での幕切れは
「出しきって果てた」感があって、読んで脱力。
とにかく余白が無い。
きっちり描き込んで想像はさせるけど、読者の勝手な妄想は許さない作品だ。
例えば渡辺淳一の『シャトウ・ルージュ』の謎の城で行われる性の調教の場面。
ベッドに横たえられた全裸のヒロインに
エジプトの壁画に描かれたような動物のかぶりものをつけた男が手にした羽で
触れるか触れないかほどにそわりそわりと愛撫を加えていく。
映画で言うならベルナルド・ベルトリッチの『ラストエンペラー』。
皇帝溥儀と皇后・婉嫆、側室・文繍の妻妾同衾のシーンは
光沢のある絹の薄がけの下でうごめく3人の男女の肢体が妖しくエロティックだった。
読者に妄想の余地を与える作品のほうが、よほど官能を刺激されると思うのだがやはりこれは個々の好みの問題ですかね。
それにしても匿名のフランス人作家がこれでもかと描いたポルノ城主が「イギリス人」て…。
フランス人てやっぱりイギリス人嫌いなのかな~
何しろ「モンキュ」ってエロお茶目なこの城主の名前は和訳すると「臀(しり)の山」。 「尻(ケツ)くらえ」の含みを兼ねるそうだからw -
素直な訳なので 読みやすい
マンディアルグの序がない -
白水社版で澁澤龍彦訳の『城の中のイギリス人』を、すでに読んでるんですが、中公文庫版は表紙が金子國義なので、これはこれで手許に置きたい。ピエール・モリオンというのはピエール・ド・マンディアルグの変名ですが、変態趣味の金持ちが金にまかせて自分仕様の秘密の場所を建設しそこで欲望と快楽のままに暮らしているところへ訪問する男が主人公、という点だけでもあからさまにマンディアルグだとバレバレな感じでした(笑)
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新訳本が出るので再読。ラストはいつ読んでも『パノラマ島奇談』を思い浮かべる。これから造りたい人形のいいモデルになった。特にヴィオラが。
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私が買ったのは古本の最初の版の方なんだけど、信じられないぐらいえげつないネタが展開されるポルノ作品にも関わらず格調高いのはかれの血が成せる業か
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氷!蛸!犬!
なんかもう口をあんぐり開けるしか。 -
マンディアルグのSM小説。
「痛いっ」
と感じながらも、もう慣れっこになって愛読しています・・。金子國義の表紙がとっても良いので、本棚に飾ってます。 -
想像上のコミュニティの中での特殊な出来事・・・というような話は大好きなのだが、最後のシーンさえなければ耐えられたのに・・・。でも全体的には好き。
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コレ映画化するとイイのになぁ・・・オチもしっかりしてるし、長さも丁度イイし、話も面白い。