- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122043602
感想・レビュー・書評
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歴史は勝者がつくると言われるように、『ガリア戦記』も勝者カエサルが記したもの。敗れたガリア側の視点で描かれるのは珍しい。
ローマ総督ユリウス・カエサルvsガリア王ヴェルチンジェトリクス。
ローマの英雄カエサルは、部下たちに「チビで女好きの禿げ親父」と陰口を叩かれ、ポンペイウスへの劣等感に悩む中年男。朗らかで人好きのする性格の裏で、周囲に細心の気を配り、空気を読むことでのし上がってきた。
一方の若きガリア王は、光の神ルーゴスにも喩えられる美丈夫。若さゆえの不遜さで傍若無人に振舞いながらも、不思議な魅力で人心を掌握していく。
英雄も初めから英雄だった訳ではない。年齢も性格も立場もまったく違う二人が、人間くさく悩み足掻きながらも、やがて英雄になっていく姿に引き込まれる。
特に、失脚した父の想いを継ぎ、周りの期待を一身に背負うヴェルチンの孤独な闘いが哀しい。
投降間際、ヴェルチンが妻エポナに見せた不器用な優しさ。最後の最後に心が通じた二人に少し救われる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
その場に身を置いたような読後感。征服される側からの物語に引き込まれてました。
この本を読んだ後、「ローマ人の物語」を読み、また違ったヴェルチンジェトリクスに会いました。 -
この作家ならではのキャラクターづくりだと思う。ガリア戦記は読んでいないけれど、カエサルって本当はこんな人だったんだなと思えてきてしまうのが小説の、言葉のパワーなんだろう。息もつかせぬ戦闘シーンとはいうものの、あまりに血みどろなので読むのがつらいところもあり、結局読み終わるのに1か月もかかってしまった。
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カエサルとガリアとくれば、『ガリア戦記』(ユリウス・カエサル著)が有名ではありますが、それはしょせん、勝者の立場から書かれた作品。
多くの歴史が証明しているのは、”歴史は勝者によって書き換えられる”ということです。
本書の巻末にもありますが、文学の想像力によって歴史の裏側に追いやられたことを想像し、そして何かを読み解くことはとても大事なことです。この本に出会えて、ガリアのことを少しでも知ることが出来たのが最大の収穫でもあります。
一番のポイントは、若くて魅力的なガリア王ウェルキンゲトリクスと、中年になりローマでの保身を大事にするユリウス・カエサルの対比です。
些細なことにとらわれずに、この対照的な二人の心のうち、目指すものを中心に読んでいくと、「ああ、そういうこともあるだろう…」と妙に納得するかもしれません。
ただの「男」としての勝負になったとき、天はどちらに微笑むのか…まさに時の運としか言いようがありません。 -
時は紀元前52年若きガリア王ウェルキンゲトリクスは侵略するローマ総督カエサルに牙を剥く。所謂ガリア戦記がテーマ。本作品、ガリア王、カエサルだけでなくガリアの職人、ローマ兵士など視点を所々変えながら一つ一つの事実に当時の人物達の愛憎と破滅と希望を壮絶なる人間ドラマとして息吹を与える。更にカエサルを猜疑、嫉妬心が強く、ポンペイウスに劣等感を持つ禿げた冴えない中年男として描く事でより生々しい政治闘争の苦しみに深みを持たせている気がする。それにしても現場を見たかのような細かい情景、音や匂いまで感じる描写。脱帽♪~(´ε` )
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ユリウス・カエサル
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序盤だけ読んだ。
ひたすら下卑ていて、続きを読む気がなくなった。
中盤になれば面白いのかもしれないけど、そこまで耐えられる気がしない。
しばらく放置・・。。 -
挫折した……
主人公に感情移入出来なくて、読み続ける気力がなかった -
カエサルに抵抗したガリアの偉大な首長、ウェルキンゲトリクスの話。歴史の敗者側で注目されにくいこの人物にスポットを当てて生き生きと描いている。ときどき出てくる過激な性描写は読者の範囲を狭めてもったいない気が・・