花鳥風月の科学 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122043824

感想・レビュー・書評

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  • 花鳥風月は、『美しい自然の景色やそれを重んじる風流を意味する。』と
    ウィキペディアには書いてある。
    日本の文化の 象徴的な言葉として使われる。

    読み始めると、
    『花鳥風月の科学』は、ミステリーのような展開となる。

    女性のあわれ、無常で死ぬ。
    男のアッパレ、戦場で死ぬ。
    おなじことなのだとはじまる・・・対。

    山、道、神、風、鳥、花、仏、時、夢、月
    の10個のワードを 多面的にとらえていく、
    それが、重層的な展開になり、
    万葉の世界から、中国、インドまでまきこんで、
    日本の中に流れ込んだ文脈を説明し、科学する。

    山への畏怖。
    道がつながり、まじわる情報が流れる。
    神が音づれる。マレビトのおとづれ。
    見えない風をみる。言葉は風にまう『言の葉』。
    鳥を追いかける。神の使い。
    花は 咲く、サキ、エネルギーのぎりぎりが。
    仏、釈迦そしてダルマロード。
    時は、ウツロイ。間も時をあらわす。
    そして、夢で、それまでの言葉たちが、集合し、
    真と片とになる。パリティの崩壊が片を求める。
    そして、月を狂おしく想う。

    時間と空間を駆け巡り。
    花鳥風月の宇宙が広大な視野で眺めることができる。
    私は、読み終わって、
    また、山の上に立って、同じように繰り返して読み始める。
    このループは、きわめて心地がいい。

    『見わたせば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕ぐれ』
    藤原定家

    花が一面咲いている ピンク色に染まっている山と・・・
    紅葉で真っ赤に燃える山と・・・
    夕暮れにくれなじんで、オレンジ色に輝く山が・・
    一瞬にしてみることができる。

    この感性のすばらしさに・・・ただただ、茫然とする。

  • 日本の伝記伝承モノに興味を持って読了。日本人が花、鳥、風、月、山、夢などをどう捉えてきたかを、伝承文化や古典、地名、風習などから掘り出して解説するもの。松岡正剛の著作は初めて。内容は日本人なら知っておくと良いと思わせるものが多く、興味深い。好きな人にはたまらないはずだが、作者の表現がややくどいかな。

  • 7/4 読了。

  • 正直、良く理解できなかった。もちろんこれは私めの理解力不足に起因するものではあるとは思う。
    一つ一つの章はまあ難しいというわけではなく理解可能な範囲ではあるのだが、総体として何が言いたいのか。カルチャーセンターでの「イメージの誕生」という講座を元にしているとのことで、講座自体を聞いていればもう少し判ったのかもしれないのだが。
    章立てされた一つずつのコンセプトは理解できるが、それが花鳥風月ということばで表現されるモノのコンセプトとしてどうまとめ上げられているのかが理解できません。かなりこった章立て「山 道 神 風 鳥 花 仏 時 夢 月」に編集の妙があるのだと思うのですが、もうこの順番が判らない。
    まあ、そういうことですがとりあえず知識は増えます。

  • 「『花鳥風月』に代表される日本文化の重要な10のキーワードを取り上げ、歴史・文学・科学などさまざまな角度から分析、その底流にひそむ『日本的なるもの』の姿を抉出させる。」(解説より)

    難しかった…。

  • タイトルが駄目。タイトルが内容とまったくあっていない、あるいはほんの一部分しかあらわしていないのが残念。「科学」と表現する必要があるのか?という。

    カルチャーセンターの講座の記録がもとだということで[p429]、全体的に思いつきのエッセイのような記述が納得。

    日本文化の歴史的な起源、発祥からみる(「山」から「都」へ[p16]など)だけではなく、科学的なエピソードもエッセイ的に取り込みながら、「景気」を盛りあうためのコミュニケーション様式、ユーザーインターフェースである「花鳥風月」に迫る。「隠れた次元」[p58]を浮き彫りにするよう。

    まさに知識人?で、一つのことに対して芋づる式に別の事柄が接続していく(「わたしはそれ[※『かげろふ日記』の作者が美人だということ]を知ったときにすぐに『五番町夕霧桜』の佐久間良子を思い浮かべた」[p370]など)。

    「はか」[p368]など、ことばをとりあげる箇所の多くが煩わしく感じる。しかし、「ウツる」というのが「移る」写る」「映る」であることから「花鳥風月」は「連続的に映し写されていくイメージの切れ目のない移行性」なのだ[p318]と重要な側面がいわれる。

    また、「ここ」から「むこう」(ほか)へ過ぎ去っていく時間を獲得するための容器、「器」(ウツわ)[p329]などの示唆。

    カルチャーセンターの記録がもとのまとまりのなさで、弱いか。

  • 多少全員に読みやすいわけじゃないので星4つ。セイゴーせんせに怒られそうではあるが。

    日本文化のなんとなく知ってると思っているが説明できないようなもやもやしたものをキーワード(山、道、神、風、鳥、花、仏、時、夢、月)に分けて原初をたどりつつ意味を理解しその現代における意味を探るって云う。セイゴー入門としてはやさしい の かな。我々の普段埋没している所作や土地や廃れてしまった風習やそんな中にある意味やなにかを明晰な言語で再構成してくれる本(たぶん)。ただ『再構成してあげよう』というサービス精神ではないところは注意。日本再認識、というには全体の情報量が膨大なので見返しつつ理解という感じではありますが、いろんなものの見える意味が変わって見えることは確実かな と。個人的にはまれびとの下りと『佐伯』氏の話あたりがたいそう印象に残っています。

  • 日本文化を語るための重要なキーワード(山、道、神、風、鳥、花、仏、時、夢、月の10個)を章立てにして、日本文化を表現する「花鳥風月」について述べていく松岡正剛の日本文化論。

    もともとは、カルチャーセンターの「イメージの誕生」という10回連続講座だそうで、それで各章ごとにしっかりまとめられ、完結したものになっているとわかりました。

    他の著書を読んでも、この人の広い分野に渡る博学ぶりには舌を巻くばかりですが、この本でもまた、豊富な知識量に驚きました。
    おしなべて文化論は、歴史と芸術から述べられているものがほとんどですが、この本は科学的側面にも焦点を当てて分析しています。
    そのため、知識が追い付かずに読みづらい箇所も多々ありますが、いろいろな見解が偏らずに網羅されているという印象を受けます。

    絵画や書画の掲載や、文芸作品の抜粋などは一切なく、ただ和歌のみ掲載されていました。
    なぜ和歌だけだったのかはわかりません。
    参考資料を掲載していたら切りがなくなるため、古来日本文化というくくりを設けていたのかもしれませんが、ぶ厚く内容の濃い作品なので、理解を深めるための資料をもっと掲載したら、読者の助けになったのにと思いました。

    作中にあった、哲学者デカルトが、黒い鞄にフランシーヌという名の人形を入れて持ち歩いていたというエピソードは、初めて聞く話で、かなりぞっとしました。
    明晰な意識を持つ、近代理性の人だと思っていたのですが、やはり彼も生身の人間ということでしょうか。

    こういったクロスフィールド的なアプローチは、とても興味深いものがあります。
    ただ、自分が得意でない項目も情報の中に多々織り込まれることになります。
    知らないことが山のように登場し、己の知識の浅さを実感しました。
    その一つ一つを噛み砕いて解説してもらったら、それでまた新たな文化本ができそうに思いました。

    文庫本なのに1000円超えるお値段ですが、読む意義は十分にあります。
    書かれてあることを全て頭に入れるのは不可能なほどの情報量なので、時折取り出して、ぱらぱら読み返しながら、じっくりと理解していくべき一冊です。

  • 「花鳥風月に遊ぶ」ということが今日では役に立たない趣味の世界の話だと思っている人にこそ読んでほしい一冊。

    例えば、「景気」「経営」といった経済用語ももとをたどれば山水画用語。

    日本人の行動(流儀)の裏には、実は、花・鳥・風・月といったコードが仕組まれている。そのコードの意味を知ることは、日本人としての自分の行動を知ることでもある。

    経営者、社員、専門職、専業主婦(夫)など・・である前に、日本人である自分のもつ能力について、気づきを与えてくれるガイド本です。

  • 日本人はぜひ読んでください。

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著者プロフィール

編集工学者、編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。80年代に情報文化と情報技術をつなぐ方法論を体系化し「編集工学」を確立し様々なプロジェクトに応用。2000年「千夜千冊」の連載を開始。同年、eラーニングの先駆けともなる「イシス編集学校」を創立。近年はBOOKWAREという考えのもと膨大な知識情報を相互編集する知の実験的空間を手掛ける。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開。著書に『知の編集工学』『擬』『世界と日本の見方』『国家と「私」の行方』ほか。

「2018年 『千夜千冊エディション 情報生命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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