完璧な病室 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1789
レビュー : 169
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044432

感想・レビュー・書評

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  • 【編集中】
    オチのないイメージムービーのように最初は読んでいました。物語を流れる時間があまりに淡々としているから。

    でも実は根底には哲学的な部分があったのかも。さらっと読んでしまった割にはずっしり深いものがある。

  • 海燕新人文学賞受賞作を含む初期の短編集。
    観念的な話が多く、ストーリー的にはちょっと難解。
    さすがに最近の著作はストーリー性と幻想性がうまくからみあっているが、初期だけあって観念的。

  • 丁寧な描写。神経質なまでの研ぎ澄まされた感覚的表現。

  • 柔らかな空気。

  • 帯の文句はずばり「残酷な少女のテーゼ」(嘘です)。
    結構若い女の子のドロドロとした話ではあるんだけどね…。

    表題作が一番良かったかなぁ。
    でも、本書に出てくるある人物が私と全く同じ名前だったので、途中で
    読んでいて気持ち悪くなってきた…。
    でも、こういう風に文章だけで読者の気持ちを悪くできる作家って、この
    人くらいだよなぁとしみじみと思ってしまいました。

  • 小川洋子さん、初期の短編集です。小川さんの作品の中から1つ選べと言われれば、迷わずこの本、収録の「冷めない紅茶」を選びます。生と死の間で揺れ動く不安感と、それらに塗れた心の歪みから吹き出すどうしようもない寂寥が、一寸の狂いもない文体の中から浮き上がってきます。同時収録の「ダイヴィング・プール」も素晴らしい作品で、思春期の少女の未成熟な愛とそれにまつわる純粋すぎる残酷さが、硝子細工のように積み上げられた言葉の渦から切なく迫ってきます。出版当初はこの二作が一冊として発売されていました。その薄いブルーの表紙が作品の世界にぴったりで、今も大切にしています。私のバイブルです。

  • 短編が4編収録
    表題作は病気となり先の短い人生となった弟の見舞いへと訪れる姉の心情を綴った話。
    弟の居る無機質な清らかさを保つ病室と日々の生活の有機的な汚らしさとの対比の中で、愛する弟との別れの予感から姉はどう思い動くのか。
    もう一つ気になったのは「ダイヴィング・プール」孤児院を開く家に生まれた彩は、ある時自分の家庭に入り込んでいた孤児達に対し気持ち悪さを覚えるようになる。
    同い年で孤児である純に思いを寄せる一方で、それはいつしか残酷な気持ちへと変わり・・・

    読んで気分が良くなる話ではない、人間の内外の汚い部分を見せつけられる話が多い。
    登場人物達の心情は生々しく、ときにグロテスクでもあり共感することはできないが、作品に漂う雰囲気(雰囲気としか表せないのがもどかしい)
    に酔えれば面白いと感じることができるだろう作品。


  • 小川洋子の短編集。
    表題作は、病気の弟と姉の話。

    小川洋子の描く空気感が好き。
    隔離された透明な綺麗さ(=病室)と、肉体的などろどろした生々しい表現(=現実)。
    両者の対比があるからこそ、病室の綺麗さが際立っている。
    一種の聖域、まさしく完璧な病室である。

    …比喩が本当に生々しいというか、小川洋子作品は読んでいて気持ち悪くなるよね…。
    褒め言葉ですよ!

  • 小説の雰囲気、テーマ。
    とっても綺麗な文章です。
    個人的に読んで損は無いと思います。

  • 指先の動き、葡萄を噛み締め口の中ではじける様子、生クリームに蟻が列を成して登る・・・
    彼女の情景描写はあまりに精緻で否応なしに視覚化させ
    時折眩暈を感じさせ、一息で読むには背筋が寒すぎる


    弟と姉、そしてS医師(+夫)が織り成す淡々として、死の香りが充満する
    病院でのやり取りを描く「完璧な病室」
    そこで「私」が夫の食事を見て思うことに、生きることが必然的に持つ穢れとか醜さを感じた。

    食事の仕方一つが気になることって確かにある
    箸の持ち方、口に入れるときの下の動き、咀嚼する時の音など
    普段は全く気にならないのに、ふとした瞬間に無性に何か言いたくなる、それも褒め言葉ではなく、気に入らないという方向で

    「私」は弟の病室で綺麗なものばかりを見てきた
    透き通るような白い肌、無機質なガラス、葡萄色がそのまま染み込んでしまうような指先
    綺麗なものに溢れているから其処から一歩出て家に戻った時の夫の食事の仕方が気に入らない

    どうして美しくないのだろうといらいらする

    でもそれは生きようとする行為をしているから
    どっかの何かの命を削って自分を生きながらえさせている傲慢さが食事という行為には含まれているから
    だから醜く思える
    がつがつおいしそうに食べる人ほど、汚いと感じてしまう

    仕方ないそれが生きるってことだ
    だから
    「いただきます」と言って許しを請い
    「ごちそうさま」と言って感謝するのかも


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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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