完璧な病室 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.55
  • (117)
  • (194)
  • (375)
  • (30)
  • (1)
本棚登録 : 1789
レビュー : 169
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044432

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • この頃の小川さんは、なまくさい生である有機物とその対称にある無機物というのが一つのテーマだったのでしょうか。

    人の感覚を残酷なまでに繊細に、言葉を選んで描写しているのを読んでいると、霧のようなものに包まれて、この世でないところを浮遊しているような気分になります。これは、この作品集だけではないのですが。

    偶然にも、今、自閉症関連の本を読んでいて、知覚過敏といわれる人の感じる世界に思いをはせていたので、なおさら、だったのかも知れません。

  • 『親しい友人の見知らぬ微笑』

    美しいな、美しい。でも私にはあまりにも高尚すぎて、目が焼けてしまう。理解を求められていないのがよくわかる。でも私の中で少しだけ言葉が浮かんで消える。やはり、美しい。美しいな。

  • 2008年11月14日~15日。
    「完璧な病室」「冷めない紅茶」は面白かった。「ダイヴィングプール」はいまひとつ。「揚羽蝶が壊れる時」はちょっと冗長に感じた。

  • 2017年の最後は小川洋子の短編集で。最後の作品を除いて、死を軸としたストーリーである。

    白血病で入院した弟を見舞った際に、食べ物や生活を排除し、すべてのものが無駄なく存在する病室に気づく。日に日に弱っていく弟のしを意識したとき…。

    全体にシンプルに純文学である。つまりは、事件云々ではなく、人生の中の景色の変化を淡々と綴っていく作品であって、起伏の大きなミステリなどを読み慣れている人にとっては、少々物足りないであろう。

    ただ、小川洋子らしく、物事の表現するテクニックを追い求めるんではなく、やはり主体はストーリーであるところは、純文学を苦手とする人にとっても読みやすい部類に入るのではないかと思う。

    だからといって高評価にならないのは、小川洋子の十八番であるところの、ある言葉にフォーカスを当てて、その言葉の持つ寂しさを解剖でもするかのように腑分けする、あの独特の感覚が4篇ともにあまり見られなかった。のは残念である、

    いずれも、「恐怖」はさほど感じないわけで、そのへんも物足りないところかな。

  • 生と死。姉弟。病気。ぶどう。介護。妊娠。図書室。短編集。
    どの話も生と死の話だった。

  • 人間の三大欲求の一つ、「食べること」に対する嫌悪感は、不完全な生活を送る「わたしたち」に対する体と心の警鐘なのかもしれません。もはや裁いてはもらえない小さな罪と嘘を重ねて人は大人になるのでしょう、断罪されたい欲求を押し殺しながら生きるしかないのです。

  • 『冷めない紅茶』が収録されているのか、、、と思っていたら、福武文庫の2作品の再構成なんですな、この本は。誰も悪い訳ではないんだけれども、何か騙された感あり。
    まぁさておきまだ初期の段階では、フェチへの関心がそれほど濃厚には表出しとりませんなぁ。後出しジャンケンでは決してなく、まだまだ感満載な初期作品集であります。

  • 病室ないし孤児院など閉鎖的な空気感の短編集。
    個人的に「タイヴィングプール」のラストが好き。

  • 図書館で借りた本。

    透明で、心の繊細な部分を抉るようなお話。
    特に完璧な病室が印象に残った。

  • じっとりとした、少しずつ病んで壊れていくような短編2つ。息苦しい。出てくる食事が本当に不味そう。生活感のない病室。死に向かう、愛しい弟だけがいる空間。新天地に入れられた祖母。自分の内側に確かにあるもう1つの命。正常と異常、真実と幻想の境界線はあやふやで、誰にも決定できない。

全169件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

完璧な病室 (中公文庫)のその他の作品

完璧な病室 (福武文庫) 文庫 完璧な病室 (福武文庫) 小川洋子
完璧な病室 単行本 完璧な病室 小川洋子
完璧な病室 (中公文庫) Kindle版 完璧な病室 (中公文庫) 小川洋子

小川洋子の作品

ツイートする