完璧な病室 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.55
  • (117)
  • (193)
  • (375)
  • (30)
  • (1)
本棚登録 : 1776
レビュー : 168
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044432

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 小川さんが新人賞を受賞された「揚羽蝶が壊れるとき」が、
    入っているので、前々から読みたかった一冊です。
    小川さんのうっとりする繊細な筆致が随所にちりばめられた一冊です。

    「(蛇口の)あまり大きな音を立てると、二人のこの特別な時間が
    破れてしまいそうだったので、水はほんの少ししか出さなかった」
    ―ダイヴィング・プールより

  • 文章すごく綺麗。でもそこそこ頭良くて保守的な中二女子向け。この雰囲気が好きなターゲットは少ないけど確実に存在してんなって分かるし、ベタ好きな人の趣味が透けて見えるけど、残念、私の中では圏外。

  • 「完璧な病室」。実に病的なタイトルである。ストーリーは割愛する。この小説の魅力は、日常に潜むグロテスクな一面であり、その美しさであると私は思う。
    日常の裏返しであるそれを生々しく描く、ねじれた美しさを持つ世界観が、読者を日常の水底にまで連れて行く。それは危険な魅力に満ちた体験である。

  • 短篇集。

    病気の弟の死に触れて、初めて弟をあいしていると気づく。
    無駄なものがひとつもない真っ白な病室で、弟は透明になっていく…。食べることを拒むようになった身体を、清らかになっていく透明になっていくととらえる、摂食のグロテスクさのとらえ方がするどいと感じました。(表題作)
    「揚羽蝶が壊れる時」でもこのテーマがあって。全体を通して、生に性に静につくしていると思いました。

    一番印象に残ったのは最後の「ダイヴィング・プール」。小川さんのこころの捕らえ方は、独特で鋭くて真理だ、と感じずにいられません。

    彼の優しさの一番奥にある泉の水に身体を浸してみたい

    惹かれていることを自覚しながらも、わからないままにごまかしている感情のゆれが絶妙。

    それにしても、小川さんの描く女性はみんな大人っぽく、扇情的で欲望的なのに純粋。

  • 完璧な病室が一番好き。
    綺麗なものと汚いものが混ざり合う。

  • 生と死、美と醜、有と無。
    対極から生まれるものに嫌悪を覚えつつ魅入られてしまう甘美な世界。
    胃が腐ったものでいっぱいになっていくような飽和感がたまらない。
    正常のラインがわからなくなる自分も、残酷な自分も分かち合えるこの作品が1番好きかもしれない。

  • 冷めない紅茶

  • 評価低くてすみません。二元論的な世界観が好みではありません。

  • さらさらとどろどろが入り混じったような文体。特に食べ物のグロテスクな描写は、初めて読んだ時にはもやもやした。
    この短編集の中では「ダイヴィング・プール」がいちばん好き。どこが好きかっていうと・・・やっぱり、雰囲気かなあ。

  • 透明な文章でつづられる、ドロドロな汚い何かを内包した女性の話四篇。
    って書くと何それ、って言われそうですが、私はそういう印象。

    表題作「完璧な病室」は、病気の弟と病室で過ごす時間が、清らかで美しく清潔な透明感に満ちているのに対して、「私」の普段の生活や食事への考え方はドロドロに淀んでいて、汚い。
    特に、旦那がいるのに、弟の担当医に抱かれた辺りに一番嫌悪感を覚えるのは私が潔癖だからなのか。

    他の三篇も清らかで美しい何かと、汚いドロドロしたものを抱え込んだ私、という感じで話が進みます。
    「博士の愛した数式」や「猫を抱いて象と泳ぐ」みたいな、作品全体に漂う優しさはこの本にはナシ。
    透明で清らかな描写と、淡々として汚い女の内側が同居しております。

    ただ、文章はやはり秀逸。
    透明感があって美しいです。好き。

    「猫を抱いて~」を読んだ後にこれを読むと、作者にとっての唇って、何か特殊な器官なのかなあ?と思ったりします。

全168件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

完璧な病室 (中公文庫)のその他の作品

完璧な病室 (福武文庫) 文庫 完璧な病室 (福武文庫) 小川洋子
完璧な病室 単行本 完璧な病室 小川洋子
完璧な病室 (中公文庫) Kindle版 完璧な病室 (中公文庫) 小川洋子

小川洋子の作品

ツイートする