真昼の星空 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 279
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044708

作品紹介・あらすじ

「星の輝きよ、わたしを通して万人に届くがいい!」。外国人には吉永小百合はブスにみえる?日本人没個性説に異議あり!など、「現実」のもう一つの姿を見据えて綴ったエッセイ集。「コミュニケーションにおいて、量と質は反比例」「人間は決まり事を創って自分をがんじがらめにするのが好き」。軽妙洒脱な語りのなかに、生きた言葉が光る。

感想・レビュー・書評

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  • 出向先でお世話になったS次長はモスクワ駐在の経歴をお持ちだ。日ごろは静かな方だが、ことロシアの話になると熱く熱く語られるのが印象的だった。大酒飲みだが人間くさいロシア人の話を聴くと、遠い国だったロシアが身近に感じられたものだ。

    ロシア語同時通訳者でエッセイストの米原万里さんの本を読むと、ロシアは一層近いものになる。
    通訳の現場で見聞きしたロシアにまつわる面白い話や下ネタ、ためになる話や全くためにならない話で、読者を抱腹絶倒させてくれる。そして、ちょっぴり考えさせられる。
    真昼の星のように現実に存在するのに多くの人に見えないものを見ようとしたり、物事を客観的に見るためにまず自分自身を突放そうとする姿勢は、幼少期に東欧で教育を受けたことや、異文化コミュニケーションの最前線にいた体験から出てきたものだと思う。
    本書も随所にエピソードを挟みながら、考えるきっかけを作ってくれる。

    例えばこんな感じだ。

    とある宇宙開発シンポジウムで登壇したロシア人宇宙飛行士が、通訳のお礼にプレゼントを渡したいという。恐縮する米原さんに絶対喜んでもらえるからと渡されたのは、その宇宙飛行士のサイン入りブロマイドだった。その後会う宇宙飛行士の誰も彼もが(一人を除き)ブロマイドを押し付けてきた。自分を英雄視し自分にとって貴重なものは他人もそうと信じきっている鈍感さに呆れた話。

    美味いワインを出すグルジアの居酒屋を、内戦終結後に再訪した。店の黒板には「飲酒が宗教を信仰するより優れている8つの理由」。曰く
    ・未だ酒を飲まないというだけの理由で殺された者はいない。
    ・飲む酒が違うというだけの理由で戦争が起った試しはない。
    ・飲む酒の銘柄を変えたことで裏切り者呼ばわりされることはない。
     (以下略)

    考えに煮詰まったとき、腹を抱えて笑いながら自分を客観視すれば袋小路から出られることもある。Sさんのロシア話が久しぶりに聴きたくなる。

  • 叶わぬことと知りながら、米原万里の発言を仰ぎたい出来事が起こるたび、せめてもの代わりに開き、溜飲を下げるのがこのエッセイ。10年前に刊行された本書は、古くなるどころか読むたび新しさを増すようで、恐れ入るばかり…

  • 大好きな米原さん。ショートショートくらいですごく読みやすい。長編はもちろん面白いんだけど、短い文章もすごく魅力的よね。やっぱり、米原さんが博学だから。それに、ユーモアや皮肉も混ぜてて、さらに魅力的に。ロシアの小咄も面白い。お父さんとのツバキ姫の件、笑ってしまった!笑

  • 米原真理さんっぽい本。ちょっと時代観が違うということもあるが、それ以上に小さいころに東ヨーロッパで育った目線で語ってくれる。
    なかなか面白かった。

  • 2005-01-00

  • 2018年1月12日高橋

  • 文化の違いや共通点を、教科書的にではなく、明快かつユーモラスな文章で綴る米原ワールドの極致。

  • 「真夜中の太陽」がちょっと無理した辛口政治評論でいまひとつだったのが、こちらはいつもの米原さんらしく、ロシア小咄ありの楽しく読める内容。

  • 2012年8月22日購入。

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著者プロフィール

1950年、東京生まれ。翻訳家、エッセイスト、小説家。『不実な美女か貞淑な醜女か』で読売文学賞、『?つきアーニャの真っ赤な真実』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2006年没。

「2016年 『こんがり、パン おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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