- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122044708
作品紹介・あらすじ
「星の輝きよ、わたしを通して万人に届くがいい!」。外国人には吉永小百合はブスにみえる?日本人没個性説に異議あり!など、「現実」のもう一つの姿を見据えて綴ったエッセイ集。「コミュニケーションにおいて、量と質は反比例」「人間は決まり事を創って自分をがんじがらめにするのが好き」。軽妙洒脱な語りのなかに、生きた言葉が光る。
感想・レビュー・書評
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出向先でお世話になったS次長はモスクワ駐在の経歴をお持ちだ。日ごろは静かな方だが、ことロシアの話になると熱く熱く語られるのが印象的だった。大酒飲みだが人間くさいロシア人の話を聴くと、遠い国だったロシアが身近に感じられたものだ。
ロシア語同時通訳者でエッセイストの米原万里さんの本を読むと、ロシアは一層近いものになる。
通訳の現場で見聞きしたロシアにまつわる面白い話や下ネタ、ためになる話や全くためにならない話で、読者を抱腹絶倒させてくれる。そして、ちょっぴり考えさせられる。
真昼の星のように現実に存在するのに多くの人に見えないものを見ようとしたり、物事を客観的に見るためにまず自分自身を突放そうとする姿勢は、幼少期に東欧で教育を受けたことや、異文化コミュニケーションの最前線にいた体験から出てきたものだと思う。
本書も随所にエピソードを挟みながら、考えるきっかけを作ってくれる。
例えばこんな感じだ。
とある宇宙開発シンポジウムで登壇したロシア人宇宙飛行士が、通訳のお礼にプレゼントを渡したいという。恐縮する米原さんに絶対喜んでもらえるからと渡されたのは、その宇宙飛行士のサイン入りブロマイドだった。その後会う宇宙飛行士の誰も彼もが(一人を除き)ブロマイドを押し付けてきた。自分を英雄視し自分にとって貴重なものは他人もそうと信じきっている鈍感さに呆れた話。
美味いワインを出すグルジアの居酒屋を、内戦終結後に再訪した。店の黒板には「飲酒が宗教を信仰するより優れている8つの理由」。曰く
・未だ酒を飲まないというだけの理由で殺された者はいない。
・飲む酒が違うというだけの理由で戦争が起った試しはない。
・飲む酒の銘柄を変えたことで裏切り者呼ばわりされることはない。
(以下略)
考えに煮詰まったとき、腹を抱えて笑いながら自分を客観視すれば袋小路から出られることもある。Sさんのロシア話が久しぶりに聴きたくなる。 -
叶わぬことと知りながら、米原万里の発言を仰ぎたい出来事が起こるたび、せめてもの代わりに開き、溜飲を下げるのがこのエッセイ。10年前に刊行された本書は、古くなるどころか読むたび新しさを増すようで、恐れ入るばかり…
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大好きな米原さん。ショートショートくらいですごく読みやすい。長編はもちろん面白いんだけど、短い文章もすごく魅力的よね。やっぱり、米原さんが博学だから。それに、ユーモアや皮肉も混ぜてて、さらに魅力的に。ロシアの小咄も面白い。お父さんとのツバキ姫の件、笑ってしまった!笑
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米原真理さんっぽい本。ちょっと時代観が違うということもあるが、それ以上に小さいころに東ヨーロッパで育った目線で語ってくれる。
なかなか面白かった。 -
米原万里の作品は読んでいて爽快で、いつか自分もこんな文章を書いてみたい、と思える。タイトルも素敵。しかし、米原万里作品にしては、内容は少し寂しかった。
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米原さんの考え方になるほど〜の連続。いい話が聞けたなーという満足感でいっぱい。
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エッセイ集、雑誌の再録。
当然ロシアの話が多いけど国際関係の話題もいっぱいあって楽しい。
大体2000年頃の話、その後ちょっと時代が変わって来てしまっているのが懐かしく感じた。 -
米原万里「真昼の星空」http://chuko.co.jp/bunko/2005/01/204470.html 読んだ。あら。。少女が主人公の自叙伝色の強い小説を前に数冊読んでかなり気に入っていたのでエッセイにも手をだしてみたんだけど、よくある社会の変化に目くじら立てる系のいちゃもんエッセイだった。。んーがっかり。。(おわり
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2005-01-00