作品紹介・あらすじ
イギリスの評論家・小説家コリン・ウィルソンが、自らの思想形成の過程を描いた自叙伝。労働者階級の家に生まれ、アカデミックな教育を受けなかったその生い立ち、読書体験、交友、軍隊生活、生活の糧を得るための苦闘、そして自らの性体験など、包み隠さずさらけ出した、真摯な告白の書である。
感想・レビュー・書評
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オカルトや殺人事件研究などのアンダーグラウンドの大家、コリン・ウィルソンが生まれてから30歳頃までを綴った自伝的エッセー。
ウィルソンの社会への不適合ぶりが興味をそそる。10代後半から仕事や家を転々とする生活。そういった生活の中で読書と創作に励み、25歳という若さで「アウトサイダー」の成功を見る。
それは努力による立身出世とはちょっと違う。若き日のウィルソンは明らかに仕事ができない駄目人間で、高い教育を受けてないのに頭がいいと自惚れている困ったちゃんと紙一重の人間だ(さらに性的に奔放だ)。だがウィルソンは楽観的に知的探求を続け、思想家としての地位を得る。
この本を読むと彼の哲学的なバックボーン(楽観的な実存主義)が彼の半生と大きく関係しているのが分かる。
コリン・ウィルソンを知る上で最上の一冊。
これを励ましにしてはいけないのかもしれないが、社会に対して何か合わない感じを感じている若者達はこの本を手にとってみることをお勧めする。
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自己の内面に向かい合いすぎた人。だからあふれる思いを、綿密な取材と、文章化のテクニックを用いて、アウトプットしてるんだと思う。あこがれるなぁ。
著者プロフィール
"コリン・ウィルソン
1931-2013
英国、レスター生まれ。
16歳で経済的事情により学校を離れ、
様々な仕事に就きながら執筆を続ける。
1956年、評論『アウトサイダー』を発表。
これが大きな反響を呼び、作家としての地位を確立。
主な著書に『殺人百科』(61)、『オカルト』(71)など。
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「2019年 『必須の疑念』 で使われていた紹介文から引用しています。」
コリン・ウィルソンの作品