桃 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044999

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  • こんな文章、書いてみたい。

  • 桃に纏わる官能的な八つの短編。
    久世さんは二.二六事件や血盟団事件など、好みのモチーフを描いてくれるから嬉しいのだけど、なにぶんやり過ぎてしまう。ここで止めておけば品がいいのに、こってりと盛り付けるから、文学を通り越して演歌や昭和歌謡になる。それもまた魅力でもあるのだけれど。
    濃厚な味付けでちょっと胃もたれ気味。
    とはいえ「むらさきの」と「尼港(ニコライエフスク)の桃」それから、〆の「桃 お葉の匂い」は素晴らしい。この三編だけでも充分価値ある短編集。

    「桃色」ちょっと嫌悪感。女性に対する妄想部分で、どうしても相入れないところがあるのだなー。でも、久世さん、これが好きなんだね。この後にも、同じようなシチュエーションが何度も出てくるから。

    「むらさきの」は上村一夫的な、不良少女がイカしてる。この作品こそ、久世さんらしい、俗っぽさと聖性の危ういバランスが光っている。

    「尼港(ニコライエフスク)の桃」は謎解きの楽しみもあり、物語の楽しさをたっぷり堪能。最後の「桃」は久世さん思い入れの女の名前、「お葉」が登場する怪談。怖いというより、可愛らしく、物哀しい物語。

  • 桃にまつわる、昭和初期の怪しくも美しい物語8編。現代よりもより死が身近であった時代。傍では悪い人生だったであろうに、当人にとって本当のところはどうだったのだろうか?がテーマか。全て佳作であるが、「尼港」の首と父の晩年、「指」のひどい仕打ちの客観視、「二人」の間際の救い、「響き」のもう一度同じ境遇に生まれ変わり、もう一度繰り返せたらよいねという送り言葉の4編が特に気に行った。

  • 花が咲き、実り、熟し、崩れ落ちる落陽。

  • 『桃色』、『むらさきの』、『囁きの猫』、『尼港の桃』、『同行二人』、『いけない指』、『響きあう子ら』、『桃-お葉の匂い』の8篇を収録。喪服の下の桃色の長襦袢、テロリストに殺された祖父の部屋で暴漢に桃を投げつける少女、豆本を作る男に猫が連れてくる死、亡き父のトランクを見てそのトランクにあった虐殺された生首の写真束の思い出、足抜けし1人は梅毒を患ったお遍路をする女郎2人、兄の仲間達に輪姦される妹、母と姉達に連なる淫奔の血、女衒が目にする死んだ女達といった様に死とエロティズムに溢れた桃をモチーフにした作品集。

  • 色気のある文章で綴られた短編集です。官能的な物語の中にも静謐な美しさがあります(官能小説ではありません)
     
    これも智内兄助の表紙ですね。物語の世界を良く体現していると思います。

  • 蕭々館日録が好みだったのと、表紙が智内さんだったこと、文庫でかさばらないことから買った。総評:エロい。
    崩れた桃は、色を濃くして芳香を放つ。おんなだって。それでも食ってくれるのなら幸せじゃないか。・・・そんな男のエゴ。いいけどさ。

  • 熊本の老舗・長崎書店のユニークな文庫本キャンペーン
    「La!Bunko」で、セレクターの一人として推薦させてもらったのが
    この本。
    むせ返るようなエロティシズムの中にも知性と上品さを感じさせる
    久世ワールド満載の短編集。

    この世界を新作で味わえなくなったのが惜しまれてならない。

  • 「桃」をモチーフにした短編集。
    どの話もねっとりとした湿った空気を感じる。
    直接的表現はほとんどないにもかかわらず、
    文章から匂い立つエロティシズムに圧倒される。
    画像をイメージすると、全体的に薄暗いのに、
    クッキリと桃の色や花の色が目の前に広がる。
    熟れた桃の果汁の匂いも漂ってきそう。

  • 短編集。本から桃の匂いがしそうな話ばっかり。怪しい世界。若い女の子がでてきたり、戦争や関東大震災に絡んでる話が多い。どれも悲しい話に見えるけど、主人公達は一生懸命生きてるからそんなに暗くない。大正、昭和の雰囲気が出てて好き。「同行二人」が一番好き。八重が好き。「桃」は絶対どこかに使われている。(20080407)

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著者プロフィール

1935年東京生まれ。演出家、小説家、随筆家。おもな演出作品に『寺内貫太郎一家』『時間ですよ』、小説に『一九三四年冬─乱歩』、エッセイに『触れもせで─向田邦子との20年』など。2006年没。

「2021年 『「女」のはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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