日本の歴史 15 改版 (中公文庫 S 2-15)

  • 中央公論新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (559ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046047

作品紹介・あらすじ

士農工商と、武士の次に位置づけられながら、泥と汗にまみれて封建社会の重荷を背負わねばならなかった農民-その一人一人の生活に密着して江戸初期農民の姿を研究し、苛酷な年貢賦課の上に立って藩体制の確立をはかる大名の領国経営を解明する。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史小説で主人公となることはまずないであろう農民にスポットが当てられている。

    古い本なのでその後の研究から本書に書かれていることとは異なる事実が明らかになったり、また説が登場しているだろうが、当時の人々の様子が読み取れる。

    これだけのことが書けるだけの資料が残っていることに驚かされる。

  • 中央公論の歴史本第15巻。時代は江戸時代、大名と百姓がテーマの巻。江戸初期農民の生活はいかなるなものだったのかに焦点を当て「百姓は生かさず殺さず」といわれた農民の生活と、幕藩体制ができあがってゆく過程を、各地のさまざまな事件や、大名との関係を通して明らかにする。この本を読むまでは地主と百姓の関係はもっと単純でシンプルものだと思っていた。単純な方が年貢も取り立て易いだろうぐらいにしか思っていなかったが、その構造は複雑で、百姓の身分も水呑み、本百姓だけでなく様々なタイプがいることが分かった。土地を貸して耕作に従事させるといっても土地の貸し側と借り手の間に実に様々な取り決めがありその図式は単純ではなかった。あまり締め付けすぎても百姓は逃散するかもしれない。そうなってくるとトータルではマイナスになる。なので永続的に小作に従事できるよう百姓の側にも
    剰余分を残してやらないといけないし、やる気を出させるためにも自立をある程度認めるなど地主側も配慮してやらないといけない。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou32901.html

  • 日本近世史の基本文献。
    慶安の触書等、流石に古いと思われるが、この本が元となり、後の近世社会史の通史本に村落が重視されることになる。

  • 小百姓、太閤検地、地方知行、御家騒動、財政窮乏、「不法」の支配、佐倉宗吾伝説、慶安触書、加賀百万石、藩政の展開、城下町、山・水・村、農戒書、地主と小作、嘉助騒動

    土地制度史は古代からつまづいており理解が及ばないので、とりあえず流し読み。

  • 50年前に書かれた本がベースで基本的には改訂されていないので、流石に内容的には古すぎて、この50年で色々と新発見もあったはず。どの部分で歴史の解釈が変わったのかがよく分からない。
    これはこの「日本の歴史」シリーズ全体的に言える事だと思われる。 ある講座でこのシリーズが推薦図書にあげられ、13巻(江戸開府)、14巻(鎖国)、この15巻(大名と百姓)と読んできたが、今後もこのシリーズを読むかどうか迷うところである。
    この「大名と百姓」は17世紀の江戸開府から17世紀末までに百姓の形態がどのように変わっていったのかを説明するされているが、ちょっと話しの展開が分かりにくい部分がある。

  • 士農工商と、武士の次に位置づけられながら、泥と汗にまみれて封建社会の重荷を背負わなければならなかった農民-その一人一人の生活に密着して江戸初期農民の姿を研究し、過酷な年貢賦課の上に立って藩体制の確立をはかる大名の領国経営を解明する。

  • 江戸時代初期の経済史とも言うべき内容です。今から300~400年ほど前の時代ですが、旧家に残る古文書を読み、江戸初期の駿河国の肝煎(庄屋)与惣左衛門とその下人七右衛門という実在の人物の家族環境などを調べ、彼らを主人公であるかのような書き方は見事です。この時代を書いた名著と言われる所以が納得できます。むしろ百姓を主人公に据えて、佐倉藩の木内宗吾郎伝説、松本藩の多田嘉助騒動の解明、伊達騒動ほかのお家騒動の経済的要因などを詳しく述べています。私たちの先祖であった農民たちの生活ぶりがビビッドに描かれて素晴らしい作品でした。鎖国が実は幕藩体制が対外貿易を完全に支配下におき、商業経済の動向に左右されないための政策だったという観点は私には全くなかったことも、実に新鮮に感じられました。

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