ナ・バ・テア (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.75
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本棚登録 : 3649
レビュー : 308
  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046092

感想・レビュー・書評

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  • ブクログにまだ登録されていないことに驚いた。再読です。
    たぶん初読の時だったら、5つ星にしたのだろう。やはりこのシリーズには、時が経って変わる思いもあれば、変わらない思いもあるようだ。
    この本に対する思いが変わったこと自体、「大人」になったように思えるが、未だに時々悲しくて仕方が無い時に、必ず浮かんでくる一文を。
    『可哀想じゃない!誰も、可哀想なものか!みんな、立派だ。 みんな、立派に生きている。誰も、死にたくはないし、誰も、可哀想になんか、なりたくない、そうならないように、一所懸命生きているのに。』(P.283)
    これが、映画でも有名(?)な「可哀想じゃない!」という台詞の元。原作が分からないと、この一言の中に隠されている辛さと葛藤を、なかなか感じ取れないだろう。

    文庫ならではの解説で、よしもとばななさんの実に的を射る文章にただただ感激した。美しくさえある孤独。わたしにとっては、真夏の深夜に読みたい本だ。
    ここでも森先生の巧みな言葉のチョイスに惚れ惚れ。「捨てるべき増槽もない」とかがたぶん一生忘れることのない文章のひとつ。
    スカイ・クロラでも広がっていた生と死の談義を、ここではティーチャとクサナギが行うことになる。言葉がやや直球ではあるけれど、どこかに生きづらさを感じている人であれば、胸を突かれたような気分にさせられるだろう。

    この本の始まりと、終わりも、おそらく全シリーズにおいて一番美しいのではないかと思う。個人的にとても心に沁みる一文で終わりとしよう。
    「愛するために生まれてきたのではない。愛されるために生まれてきたのでもない。ただ、軽く……、飛ぶために、生まれてきたのだ。」(P.325)

    きっと、あげられなかったひとつの星は、自分が変わってしまったに対する追悼だと思う。

  • 解説のよしもとばなな氏の××の部分を予想しちゃいます。
    やっぱりオレンジの表紙いいですね。スカイ・クロラの青い表紙の方も買っちゃいました。

  • 大好きな1冊を再読。
    前回読んだときより胸を打たれたのは、自分が臨月だからだろうか。
    とりあえずティーチャかっこいい~

  • スカイクロラシリーズ二作目。時系列が前作よりも前のようで、僕と名乗る人物が前作と違います。この小説的なトリックに最初戸惑いました。前作と変わらず戦争を扱っているのに読み口が爽やかです。また、「僕」の考える人間像が極端であると感じるのに共感が持ててしまいます。戦争に向かう子供であるキルドレについても少し情報がでて来ました、次作でもっとその辺りの設定を詳しく知りたいです。

  • 架空の世界が舞台の戦闘機乗りのお話。何のために戦っているのか、誰と戦っているのか、など情報が少ない。でも、飛行での戦闘シーンや、地上での会話のシーンから読み手それぞれで世界が想像できると思う。自分がイメージしたのは、灰色や濃い緑色や茶色っぽい感じの少し暗い汚された世界でした。

  • スカイクロラを買いに行ったけど、なかったのでとりあえずこちらを購入したところ、時系列だとこれが一作目と知り、読み始めることに。

  • 戦闘機同士の空戦を描いた作品
    戦闘が、詩的でリズミカルに描かれている。まるで言葉のダンスみたい。

  • 物語の途中まで主人公である「僕」の名前が出てこなくて、もしやと思ったところでやっと名前がでてきてすっきり。個人的にはスカイクロラを先に読んでいる方が謎が解けていく感覚が味わえて楽しめると思った。

  • 「スカイ・クロラ」シリーズ第2作で、年代順で行くと第1作にあたる作品。「スカイ・クロラ」で指揮官だったクサナギがパイロット時代が描かれます。永遠に子どもである「僕」と大人の「彼」の物語。登場人物それぞれがなんらかのいらだちを抱えながら、戦争という日常を生きていきます。戦争が舞台であるのにとても静謐な作品に仕上がっており、そのために超リアルな戦闘シーンが際立ちます。
    解説:よしもとばなな

  • 「静かな」印象を受ける物語。まるで、森の中を淡々と歩いているような。

  • スカイ・クロラシリーズ2作目。クサナギの話。引き続きどこまでも無音で透明な文章。だけどクサナギは本当に情緒不安定な少女が全力で無理して張り詰めている感じで、1作目のカンナミの時みたいに力を抜いて読むのは難しかった。創作の人物なのにここまで早く殺してあげたくなる人も珍しい…という感想。

  • 【僕は、いつだって僕だった。ただ、それだけだ。】
    人は不思議だ。望まないのに考えた事もないのに、時に本当に流れで身体を半分に裂くようなことを平気でしてしまう。他人に本棚を簡単に見せ、帰りに本を貸してしまう。そんな不自然を自然におこなってしまう。

  • 「スカイ・クロラ」シリーズの一冊。物語の時系列では、第1巻に当たります。

    こちらは、カンナミではなく草薙が主人公を張っています。ティーチャと同じ基地に配属されることになり、地上から離れて戦闘機で戦うことへのイノセントな憧れを失わない彼女の姿勢は上司によって高く評価されることになり、キルドレから初の指揮官への道が示されるようになります。

    その一方で彼女は、パイロットとしての自分の理想を、エースのティーチャに重ね合わせようとします。しかしティーチャは、そんな草薙の視線をはねつけ、追いすがろうとする草薙はティーチャと身体を重ねて彼の子どもを身ごもります。キルドレではないティーチャは、胎内の子どもを生かす決意をして、彼女のもとから去っていきます。

    永遠に大人になれないがゆえに子どもを産むことを拒否する草薙と、キルドレではないパイロットのティーチャとの間の亀裂へと問題は回収されているわけですが、物語内でその結末はつけられていません。どちらに物語が進んでいくのかまだ分からないのですが、自分の運命をただ静かに受け入れているカンナミと違い、草薙には成熟拒否のような態度が見られるので、ありきたりな「成長」というテーマに落ち着きはしないかと、若干の懸念を抱いています。

  • タイトルの意味ってなんだろうと好奇心ワクワクだったのに、訳わからんカタカナ英語だっただけというがっかり感。ナ・バ・テアのどこがNone but Airなんだ…

  • 子どもたちが、空を舞う。
    これが自分のなすべきことであって、それが出来て当然、という自負心が素敵だ。

    夢がない、という人は多い。
    夢があっても、達成できないと考える人も多い。
    夢と現実が乖離しているのだ。

    だからこそ、現実を直視して、それを淡々とこなしていく姿というのは美しい。
    葛藤しているのだとしても、だ。
    覚悟でいているかどうか、ということなのかもしれない。

  • スカイ・クロラシリーズ。戦闘機乗りたちの話。

    おもしろかった。飛行中どんな操作をしているのかはわからないが、集中している感じが伝わってくる。
    空を自由に飛んでみたい。

  • 48
    スカイクロラの後編だが、時系列としてはスカイクロラの前の話。
    僕 と自分のことを表現する彼女もまたキルドレであり、飛ぶことだけを生きる燃料にしていながらも、それを許されない人生の鎖に絡まれながら、それでも空では 自由になれる。
    彼女の生き方はキルドレだからではなく、一人の人間として、空に生きる人間として、強くなっていかざるをえない。
    ここまで人をピュアにさせる空、そして相棒とともに生きる人生はきっと悪くはないだろう、と思わせてくれる。

  • 子供を終えてしまった大人達はもう子供にはなれない。
    では最初から大人になれない子供達はどうだろう。
    どちらが幸せだろう。
    空の中で人を殺しながら生きる彼達。
    大人になれない彼女は、大人になってしまった彼とは同じにはなれない。
    それは、どちらが幸せだろう。

  • スカイクロラシリーズ-2。クサナギがパイロットの頃のはなし。憧れのティーチャや同僚のなかで葛藤していく。
    汚い地上の世界。大人になるということ。自問を繰り返しても出ることのない答え。

    人との摩擦によって自分が揺らいでいくのだろうな。うまくやれるひとが大人になる。

  • クサナギが指揮官になる前の話。最初名前が出てこなかったし、僕というのでずっと男の子の話と思って読んでました。先入観怖い。笹倉もキルドレかと思ってましたが普通の大人なんですね。普通普通っていいますが、普通ってなんでしょうと考えさせられます。成長して老いていくのが必ずしもふつうなのか、結局それを定義するのは周りを気にしなければ突き詰めれば自分だし、とても不確定すぎます。笹倉はクサナギの事が好きなのかな。年齢とか全く分からないけれど大人という事はそれなりの年ですよね。そのあたりがちょっと気になったり、最後チーター、ティーチャが健在だったようでよかったです。

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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