ナ・バ・テア (中公文庫 も 25-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046092

感想・レビュー・書評

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  • 目を覚ませ、大人たちよ。

    自分たちが人間の完成した形であり、
    それに比べて子供は不完全な存在だ、
    という理屈は、
    死んだ人間が完成した姿であり、
    生きているものはすべて不完全だ、
    といっているのと等しい。

    気づいているか?

    大人になる、という意味は、
    死を意識して、臆病になる、
    たった、それだけの価値。

    ほとんど死んでいるに等しい
    大人たちの戯言。

    古来、人は、「死」を守り、
    「死」に縋って、戦った。
    生きていることの尊厳ではない。
    生きているものに、できることが、
    それしかなかったからだ。

    大人が醜い理由は、戦おうとしない
    その怯えた命にあるということに、
    気づいているか?

  • スカイ・クロラシリーズ

  • 1回目は泣いたので、2回目は理解しようと思って読みました。ずっと子供のままでいることと、ずっと死なないことは一体どういうことだろうかと、自分に置き換えながら読みました。登場人物はストイックで冷めていて、諦めているようで、実は腹の底に空に対し強い想いを秘めている。私はきっと、そうやって強くは生きられないような気がする。

  • シリーズで一番好き。ほんと何度読んでもいいなあ

  • 映画『スカイ・クロラ』を観たことで、映像を頭に浮かべることができた。
    もの凄く淡々と進むが、なぜか引き込まれる。

  • スカイクロラシリーズ第二弾。舞台は一作目よりさかのぼります。

  • 煙草が無性に吸いたくなる本。

    始めは読みずらい表現ばかりなんだけど、
    すぐに慣れて引き込まれる。
    前の話も同様に、引き込まれたまま抜けなくて
    次の本が読みずらい。
    前の話より好きだ。次の作品も読みたい。

  • 5年ぶりの再読。 前回は刊行順に読んだために、いろいろとよく分からなかった。 内容はほぼ忘れていたのに、この独特の世界観・空気感は妙に懐かしい。 名前すら名乗らない主人公、年齢、性別すら自分では言わず文章による説明もない。ただ会話から徐々に明らかになる。 無機質でいつも客観的な説明は、理系論文を読んでいるような気分になる。これが合わない人には全く合わないが、合う人はハマる所以だろう。 いつも感情をコントロールしきる水素が感情に振り回されてしまう後半、 普通じゃないと言っているが普通なんだと思った。

  • 彼とのフライト。
    煙草と煙。
    大人の男。
    子供の私。
    空を舞う。
    最後のダンス。
    離脱。離脱。

    地上の汚れた場所へ。
    あなたと二人で。

    残ったものはなんだろう。
    感情は切り離す。
    身軽さだけが自由の証。

    再会。

    彼とのフライト。
    ロールして、そのまま墜ちていけたら

    僕はきっと幸せ。

    キャノピィに映るあなたを
    一瞬のうちに焼き付けて。

  • 森博嗣の文章は心地良い。けして明るい話ではないけどさらっと読めた。クサナギの言葉には共感できることが多々あった。最後、よしもとばななの解説も良かった。

  • None But Air.
    周りには、空気しかない。なにもない。命も、死も。

  • スカイ・クロラシリーズ。ナ・バテアから読むのが作者のおすすめと聞いて。

  • 理系的な感情感が何ともいえない。この感覚、好き。

  • 戦闘機とパイロットの内容なのだけど、それらがまるで空中を飛び回る鷲や鷹のような美しい描写ですっと本の中に入っていける。主人公の複雑な心境が微妙に揺れ動いく描写も素晴らしい。怖いもの知らずの子どもから、死を意識して「生きること」に臆病になっていく大人たち。主人公、草薙水素の過去や生い立ちが謎に包まれたままで気になる作品。

  • 森さんの文章は写真に撮っても美しい、という感じがする。そういう言葉のあり方もあるんだなぁと気づかせてくれただけでも孤高の存在である。小説世界も静かに澄んでいる。これからの世界はこんな風に澄んでいくのだろうか。身体的な摩擦がどんどんと減って、そうなっていくような気がする。そのなかでも、人は動揺し、迷い、心を震わせる。人は続くんだなと思うと、安心する。そういう心が描かれてると思う。素敵すぎる。

  • 『近い将来、僕はそれを手に入れるだろう。
    これだけ願っているものが手に入らないはずはない。』

    『気持ちとは反対のことができるなんて、人間って複雑なメカニズムだと思う。』

    『みんなで爆弾を守っているのだ。そんなに大事な爆弾なら、ずっと大切に持っていれば良いものを、わざわざ相手の領域へ捨ててくるのだから、戦争っていうのは不思議な行動だ。』

    『枯れた草が、まだ真っ直ぐ伸びていて、自分が枯れたことに気づいていない、まるで人間の大人みたいに。』

    『自然のほとんどは、人間が都合良く作ったものだ。砂漠だって自然なのに、何故か緑豊かな土地だけ愛される。地上は、そういう嫌らしさに溢れているのだ。』

    「もう帰ろうか?」
    「いいよ、どっちでも」
    「明日があるからな」
    「いつだって、明日はあるさ」

    『周りには、空気しかない。
    なにもない。
    命も、死も。』

    『どうして、普通のものを決めるのだろう。普通を決めるから、普通じゃないものができてしまう。』

    「醜いものを、格好の良いものにすり替える。全部そうだ。汚いものを、綺麗なものでカバーする。反対はありえない。外見だけは美しく見えるように作る。しかし、そうすることで、中はもっと汚れてしまう。この反対はない。俺たちの仕事を考えてみろ。格好良くイメージが作られる。今日の写真みたいにな。しかし、実体はどうだ? 写真には血の一滴も映らない。オイルで汚れてさえいない。」

    「仕事なんて、みんな汚いものだ。人間が生きていくこと自体が汚れている ー 問題は、それを、美しいものだと思い込ませるマジックだ。そこが一番の問題なんだ」

    『自分が自分でないものに変わっていくような気がした。だけど、地上で生きていくということは、こういうこと、つまり、自分も含めてすべてを騙してしまうような機能を身につけること、かもしれない。』

    「君だって、普通の人間だろう? 人間はみんな普通だ。医学的に、遺伝子学的に、多少の個体差が認められるだけだ。普通も異常も境はない」

    「なにも気にすることはない。昨日や一昨日は、もう来ない。来るのは明日ばかりだ」

    『雲の上に昇っていきたい。
    そこには、なにもない。
    なにもないのに…。
    支えになるものも、
    褒めてくれるものも、
    愛してくれるものも、
    なにもないのに。
    けれど、
    邪魔なものも、
    遮るものも、
    僕のことを馬鹿にするものも、
    なにもないのだ。』

  • 前作理解できなかった部分が
    いろいろ納得。

    次読まなきゃ。

  • 森博嗣テイスト、小気味良い。
    これはハードボイルドになるのか?

    エリア88とピーターパンを足して、昔の少女漫画をまぶした感じ。
    森氏が彼の少女漫画家の作品を小説化したのがよく判る。

  • クサナギが空を求める気持ちが
    少しわかるかもしれない
    もちろん、彼女とは次元が違うけど

    鈍感になれる場所、
    問題提起をして生きていくことも
    大切かもしれないけど
    無になれる場所だって必要なんだと思う

  • 再読。草薙がまだ幼い印象、笹倉と仲良さそうでほほえましい。p322で笹倉に鞄のことで嘘をついてる?けどその意味が分からなかった…どこかに寄ったってことなのかな。ナ・バ・テアはまだ明るいけどこれから辛くなるんだろうなー、と心が痛い。

  • 映画スカイ・クロラをみてから読んだ。
    一人称が"僕"であり、主人公が草薙と気づくのに、ちょっと時間がかかった。
    面白かった。
    映画ではティーチャの話しているシーンはなかったが、このなかでは、草薙とティーチャがよく話をしている。
    その場面は結構好き。

    作中の用語でよくわからないのが多々あった。また、映画を事前にみてなければ、キルドレについても想像ができなかったと思う。

    それでも、悪くない世界観をもっており、また、草薙がよく知ることが出来た。
    いい作品だと思う。

  • この著者の作品は、これがはじめて。
    よみやすく、話に入りこめた。続きも読みたい。

  • None but air なのね。
    何語かと思ってた。

    ちょっとクサナギの性格がよく把握出来ないな。
    今までイメージしていた人よりも人間っぽさが見える。
    もっとさっぱりした人かと思ってたんだけど。

  • 思考を思わず、毎日の生活にトレースしてしまって、どこにいても、人のいる場所から離れようとする力が働く。
    それがこのシリーズのこわいところ。

  • スカイクロラと主人公が違うのはわかったけど相変わらず話についていけない。
    あんまり続きを読みたい気持ちはないけど積むのも勿体無いし、とりあえず読もうかな程度。
    ある程度ネタバレを聞いてから読んだから新鮮味もなく☆2

  • スカイ・クロラの別バージョン、ということか。
    草薙水素視点からの物語。なかなか面白い。

  • クサナギの基本的性質が読み取れる。かなり無駄のない気持ちのいい、スカッとした性質なんだけど、そのなかにクサナギ自身にもわからない潜んだ感情を見つける。不思議な事態にもなるけど、誰もうろたえてない。考えたり怒りが湧いても、空がある。

  • テンションの高い草薙が読めて満足。

  • シリーズ2作目。著者自身、これを1作目と言っていたけど、前作を読んでいたからこそ、楽しめたところがたくさんあった。
    戦闘シーンとかは、つい駆け足で読んでしまうのだけれど、そこに重要な事が多くて、読み返すこと多々。反省…
    2012/9/17読了

  • 最初「えっ女???」から始まった。クロラの世界観、空気はそのままだが、少し物足りないかなと思って読み進む。最後の最後で謎が溶け世界が紡がれていく。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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