ナ・バ・テア (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.75
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本棚登録 : 3649
レビュー : 308
  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046092

感想・レビュー・書評

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  • 始めの夕焼けの中を飛んでいるシーンが静かですごく好き。
    スカイ・クロラから始まる一連の作品は、たとえ戦闘のシーンであっても、空の飛び方が美しく、静かに感じられる所が一番の魅力だと思う。

  • 【あらすじ】
    草薙水素が主人公。撃墜王ティーチャのいる基地に配属された草薙はティーチャに対する憧れがあった。
    新しい基地では翠芽に乗ることになるが、翠芽よりも散花が好きな草薙。その後、散花の新しいモデルに乗ってみないかという話がくる。
    新しく比嘉澤という女のパイロットが配属されたが、彼女もティーチャに対して憧れがあり、その様子を複雑に思う。ティーチャ、草薙、比嘉澤、栗田で偵察に行った際、比嘉澤の機体は被弾し、比嘉澤自身も怪我を負った。そのまま不時着して死亡。
    その後草薙はティーチャに部屋に呼ばれ、比嘉澤について報告する。墜落の責任について話すが、ティーチャはこのような状況でも自分は娼婦の元へ行くことを考えていると言う。戸惑った草薙はティーチャの車に乗り込み、娼婦の館で娼婦を追い出して自ら服を脱ぐのであった。
    しばらく経った頃、草薙は2週間の休暇を取った。堕胎するため、ティーチャに保証人になってほしいと頼むと、ティーチャは医師に連絡を入れた。強い生命力を持つキルドレの子供は、身体から取り出しても生きることができるという。草薙は拒んだが、ティーチャは子供が生きることを望んだため、そのように施された。
    そして、ティーチャが草薙の元を訪ね、自分は今の基地を辞めてきたこと、今後パイロットを続けるかも分からないことを告げる。ショックを受ける草薙であったが、しばらくして黒豹の絵が描かれた戦闘機と戦うことになった際に、それがティーチャだと気付く。

    【感想】
    10年ぶりの再読。スカイクロラシリーズの2作目。時系列では1/6番目に当たる。キャラの中で草薙が一番好きなので、読んでいて楽しかった。

  • 『ナ・バ・テア』再読3回目
    若い頃のクサナギを中心に物語がまわっていく
    大人の男、ティーチャに憧れを当初は持っていたものの同僚の死後いつしかティーチャと勝負をしたいと思うようになる
    地上では汚い事が蔓延る、汚いものが何もない空を飛び続けることがクサナギの生き様を表しているよう

    設定上、ずっと子どものままであるクサナギだけれどもスカイ・クロラと比較してナ・バ・テアではまだまだ荒削りな行動の描写があった
    子どものままだけれども成長する、思考の変化、大人と子どもの境界線はないのではないか?線引きはなんなのだろう、汚いと綺麗の違いか?色々読みながら考えました

  • 「スカイ・クロラ」シリーズ

    初めから一人称なのに、それが誰の視点であるのか全く語られない。最初にスカイ・クロラを読んでいると何となく予想がつくけれど、それでも正解かは分からない。しばらく読み進めてようやく答えが出る。スカイ・クロラよりも先に読むことができたら、それもとても面白かったのではないかと思う。

    *2008.2 *2016.7

  • 大好きな1冊を再読。
    前回読んだときより胸を打たれたのは、自分が臨月だからだろうか。
    とりあえずティーチャかっこいい~

  • スカイクロラシリーズ二作目。時系列が前作よりも前のようで、僕と名乗る人物が前作と違います。この小説的なトリックに最初戸惑いました。前作と変わらず戦争を扱っているのに読み口が爽やかです。また、「僕」の考える人間像が極端であると感じるのに共感が持ててしまいます。戦争に向かう子供であるキルドレについても少し情報がでて来ました、次作でもっとその辺りの設定を詳しく知りたいです。

  • 子どもたちが、空を舞う。
    これが自分のなすべきことであって、それが出来て当然、という自負心が素敵だ。

    夢がない、という人は多い。
    夢があっても、達成できないと考える人も多い。
    夢と現実が乖離しているのだ。

    だからこそ、現実を直視して、それを淡々とこなしていく姿というのは美しい。
    葛藤しているのだとしても、だ。
    覚悟でいているかどうか、ということなのかもしれない。

  • 目を覚ませ、大人たちよ。

    自分たちが人間の完成した形であり、
    それに比べて子供は不完全な存在だ、
    という理屈は、
    死んだ人間が完成した姿であり、
    生きているものはすべて不完全だ、
    といっているのと等しい。

    気づいているか?

    大人になる、という意味は、
    死を意識して、臆病になる、
    たった、それだけの価値。

    ほとんど死んでいるに等しい
    大人たちの戯言。

    古来、人は、「死」を守り、
    「死」に縋って、戦った。
    生きていることの尊厳ではない。
    生きているものに、できることが、
    それしかなかったからだ。

    大人が醜い理由は、戦おうとしない
    その怯えた命にあるということに、
    気づいているか?

  • スカイ・クロラシリーズ

  • シリーズで一番好き。ほんと何度読んでもいいなあ

  • 森博嗣の文章は心地良い。けして明るい話ではないけどさらっと読めた。クサナギの言葉には共感できることが多々あった。最後、よしもとばななの解説も良かった。

  • スカイ・クロラシリーズ。ナ・バテアから読むのが作者のおすすめと聞いて。

  • 理系的な感情感が何ともいえない。この感覚、好き。

  • 森さんの文章は写真に撮っても美しい、という感じがする。そういう言葉のあり方もあるんだなぁと気づかせてくれただけでも孤高の存在である。小説世界も静かに澄んでいる。これからの世界はこんな風に澄んでいくのだろうか。身体的な摩擦がどんどんと減って、そうなっていくような気がする。そのなかでも、人は動揺し、迷い、心を震わせる。人は続くんだなと思うと、安心する。そういう心が描かれてると思う。素敵すぎる。

  • スカイ・クロラシリーズの2作目。
    「僕」とティーチャの物語。
    孤独が心地良い。不安定さが儚い。

    映画『スカイ・クロラ』であったシーン(というか台詞)が、この作品で書かれていました。そう、可哀想なんかじゃない。

  • 『近い将来、僕はそれを手に入れるだろう。
    これだけ願っているものが手に入らないはずはない。』

    『気持ちとは反対のことができるなんて、人間って複雑なメカニズムだと思う。』

    『みんなで爆弾を守っているのだ。そんなに大事な爆弾なら、ずっと大切に持っていれば良いものを、わざわざ相手の領域へ捨ててくるのだから、戦争っていうのは不思議な行動だ。』

    『枯れた草が、まだ真っ直ぐ伸びていて、自分が枯れたことに気づいていない、まるで人間の大人みたいに。』

    『自然のほとんどは、人間が都合良く作ったものだ。砂漠だって自然なのに、何故か緑豊かな土地だけ愛される。地上は、そういう嫌らしさに溢れているのだ。』

    「もう帰ろうか?」
    「いいよ、どっちでも」
    「明日があるからな」
    「いつだって、明日はあるさ」

    『周りには、空気しかない。
    なにもない。
    命も、死も。』

    『どうして、普通のものを決めるのだろう。普通を決めるから、普通じゃないものができてしまう。』

    「醜いものを、格好の良いものにすり替える。全部そうだ。汚いものを、綺麗なものでカバーする。反対はありえない。外見だけは美しく見えるように作る。しかし、そうすることで、中はもっと汚れてしまう。この反対はない。俺たちの仕事を考えてみろ。格好良くイメージが作られる。今日の写真みたいにな。しかし、実体はどうだ? 写真には血の一滴も映らない。オイルで汚れてさえいない。」

    「仕事なんて、みんな汚いものだ。人間が生きていくこと自体が汚れている ー 問題は、それを、美しいものだと思い込ませるマジックだ。そこが一番の問題なんだ」

    『自分が自分でないものに変わっていくような気がした。だけど、地上で生きていくということは、こういうこと、つまり、自分も含めてすべてを騙してしまうような機能を身につけること、かもしれない。』

    「君だって、普通の人間だろう? 人間はみんな普通だ。医学的に、遺伝子学的に、多少の個体差が認められるだけだ。普通も異常も境はない」

    「なにも気にすることはない。昨日や一昨日は、もう来ない。来るのは明日ばかりだ」

    『雲の上に昇っていきたい。
    そこには、なにもない。
    なにもないのに…。
    支えになるものも、
    褒めてくれるものも、
    愛してくれるものも、
    なにもないのに。
    けれど、
    邪魔なものも、
    遮るものも、
    僕のことを馬鹿にするものも、
    なにもないのだ。』

  • テンションの高い草薙が読めて満足。

  • 痛々しさが突き刺さる。
    それでも飢餓状態のようにむさぼり読だけ。

  • 時間軸的にはスカイ・クロラの前に位置する話。でもネタバレになるから何も書けない。

  • クサナギがパイロット時代の話
    ティーチャ、比嘉澤、翠芽、改良された散香
    比嘉澤のティーチャに対する感情を打ち明けられたクサナギ、そしてクサナギ自身にもティーチャに対する感情が変化していく。

著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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