神はサイコロを振らない (中公文庫 お 67-1)

著者 :
  • 中央公論新社
3.27
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  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046238

作品紹介・あらすじ

かつて、忽然と消息を絶った報和航空四〇二便YS‐11機が突如、羽田空港に帰還した。しかし六十八名の乗員乗客にとって、時計の針は十年前を指したまま…。戸惑いながらも再会を喜ぶ彼らと、その家族を待ち受けていた運命とは-。歳月を超えて実現した愛と奇跡の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 文体が合わず、海外ミステリレベルの登場人物の多さに辟易として断念。ネタバレレビューを読もう。

    いつか再読した時に更新

  • 行方不明になった旅客機が10年振りに羽田に生還し、着陸する。
    残された家族は墜落したと思い、既に遺族となり、それぞれの日常を歩んでいた。一方の乗客たちは10年前のまま。。
    だが、3日後に元の世界(10年前)に戻り、、消滅すると
    10年前に自身の論文をトンデモ扱いされ、職を追われた元東大教授が説く。
    それぞれの家族との対面、本人たちの思慮が。。

    話としては面白いが、登場人物が多過ぎて焦点がぼやけてしまう。
    色々な事象を表現したかったのは理解できますが。。

  • かつて突然姿を消した飛行機が10年後に乗客とともに再び姿を現した。乗客は10年の時が進んだことに驚きつつ、各々の会いたい人との再会を果たした。だが、この再会にはタイムリミットがあり...

    いくつもの話が同時進行で進み、頻繁に切り替わる。また、登場人物も多いため、状況把握が少し大変。警視庁の人が2つの事件を追う話が面白かった。

  • 物語の設定のうまさが、さまざまな想いをつくる。

    10年という 時差が 突然 うまれる。
    そして、3日後には 死んでしまう。
    という設定。

    飛行機が行方不明となった ということで、
    乗っていた人たちの関係者は 『死』 を受け入れた。
    ところが 実は 生きていたんだ ということで
    『死』から 『生』にもどっても 10年は 取り戻せない。
    その混乱の中で かかわり合いを 再度 みつめる。

    飛行機に乗っていた人たちは 自分たちの『死』はしらない。
    そして、10年間たっている という 浦島太郎 の世界。
    あんたは 『死』んでいたんだと、関係者に言われる。
    それを受け止めることは できないが 10年の変化の中で
    認めざるを得ない状況になる。
    さらに、後3日間で あなたは 『死』 を迎えると宣告される。
    じょじょに 『死』を 意識し始める。

    仮の『死』から 事実としての『死』。
    つねに 死に向き合うことで、
    生きることの意味、愛するということ、親子の関係、
    そして、様々な事件に遭遇したことの痛み。
    これが 東日本大震災でいわれた 『絆』 なのかもしれない。

    この設定の中に 一体誰を乗客とするのか?
    それが 物語の 彩りを 作り上げていくのだろう。

    奇跡の生還であり、飛行機に乗った人たちは
    10年の歳月をしらないままに やってきたのだ。
    失われた10年。
    神戸大震災がおこり、サリン事件が起こった。
    死んだとされて 遺族は 様々な試練を受けた。

    非現実的な出来事を想像できる範囲内で描く。
    リアリティがないが故に、リアルとなる。
    航空会社のスタッフの献身的なサポート。
    市役所の人々。縁のある人々が かさなる。
    ドキュメンタリーの手法がうまく構成する。
    群像がおりなす 不思議な空間。

    ひとは、それぞれ 輝くときがある。

  • ずっと読みたかった本です。再生と残酷さと…それでもこの事故(?)の遺したものは大きいです。
    10年前に消息を断った飛行機が、10年後に乗客乗員そのままの姿で戻ってくる。乗客乗員は10年前のまま、だけれど丁度出発した日の10年後である3日後にはまた元の時間軸に戻ってしまうかもしれない…。加藤教授の言ってる事はよく分からなかったけどトンデモ量子力学者の汚名は晴れてよかった。
    10年間、乗っていた家族や同僚は死んだものとして新たな人生を歩んでいた人たちには奇跡の再会。でも、皆さん「お盆の時期だからたまたまあの世からちょっと戻ってきてくれただけ」って受け入れてるの強いな…10年はそれだけ長い時間なのだとつくづく思いました。
    周りの人たちは受け入れてるし、再会と別離のエピソードも素敵なものが多かったです。興梠父の公安への一件はスカッとしました。
    でも寄近警部補の事を考えるとかなりつらいです。目の前で2度も相手が消える、そのうちひとつは明確に亡くなるし…というのは警察辞めたくなるでしょうけど彼女は乗り越える気はします。同人誌のネタにするかも。
    神降くんもそんなすぐ気持ち切り替えられるんだ、とびっくりでした。歴史が変わらなかった事は仕方ないのかな。。
    人って強いなと思いました。これ程の事が起こっても前を向けるんだな。いきなり10年後に放り出されて、あなたは3日後に死にます、って言われてもほとんどの人は自暴自棄にならない。フィクションだけれど…良かったです。

  • 登場人物を絞った方が読み易いし感情移入できて面白くなったと思う。

  • 2018年1月12日読了。

    422ページ

    「神はサイコロを振らない」、アインシュタインが「偶然」を、要素とする量子力学を批判する言葉だったらしい。
    1994年、宮崎空港から羽田に向かってた飛行機が行方不明になり、機体も何も発見されなかった。
    しかし、10年後に突然羽田空港に現れ、奇跡の生還を遂げる。
    しかし、この生還を量子力学的に予言していた教授がいたことと、彼らはまた運命を背負って10年後に現れたのであった。

    小説的には可もなく不可もなく。
    個人的にはあまり面白い小説ではない。

  • 映画のキャスト・アウェイに似た印象。今作の主人公は68名。それぞれの物語が生まれるのだから追いかけるだけでも疲れてしまった。結末は大石さんらしいと思う。
    あらすじ(背表紙より)
    かつて、忽然と消息を絶った報和航空四〇二便YS‐11機が突如、羽田空港に帰還した。しかし六十八名の乗員乗客にとって、時計の針は十年前を指したまま…。戸惑いながらも再会を喜ぶ彼らと、その家族を待ち受けていた運命とは―。歳月を超えて実現した愛と奇跡の物語。

  • YS-11が時空のねじれに飛び込み10年後の世界に現れる。乗客は皆10年前に死亡したことになっている。それぞれの乗客が家族や知り合いと再会していくが、空白の10年に起こった出来事は厳しい。テレビドラマなら良いかもしれないが、小説としては話が入り組んでいてかったるい。

  • 今を大切に

  • 1995年8月15日。宮崎から東京に向かっていたYS-11 402号機が海上で行方不明になった。東大を追われた加藤教授は、量子力学の見地から、2005年に402号機が戻ってくると予言したとおり8月12日に突如現れた。遭難して死亡したと思われていた乗客は消えたときのまま羽田空港に降り立った。10年歳をとった家族らと再開する…。

    あー、SFなんだー。てっきり殺人事件者のミステリだと思って読み始めたが、飛行機が?とあっけにとられた(読前にあらすじは読みません)。

    2004年の作品ということであるが、割りとゴッテリとした話で、各乗客のバックグラウンドが詐欺でやられていたり、阪神大震災等で家族がほぼ壊滅状態であったり、親族に詐欺を働かれたなどの波乱万丈で、さらに本人や家族もまた感情的で激しく濃いキャラクター設定となっているため、読んでいて激しくシェイクされているような感覚を覚える。

    キャラクター設定を強めにして、各キャラクターを細かく切り替えて描写していることで、読者に印象づける狙いなのだろうが、想定以上にキャラクターが濃すぎるもんだから、逆に誰がどうだったのかわからなくなってしまった。

    キャラクター重視の漫画的な描写のため、漫画化もされていそうだが、もう少しなんてことのない平凡なキャラクターがあっても良かった。最終的に気が散って結局どのキャラクターにも感情移入できなかったし、それぞれの描写は「~した」「~した」と細かく物切れで、ちょっと単調だったのも残念。

    まあエンターテインメント作品としては良く出来てる方ではある。

  • 20年ぶりぐらいに再読。ずっと探していた本。自治省の役人がまたいなくなってしまう時の淡々とした奥さんの態度がずっと印象に残っていたが、全体からすればこの役人のエピソードのボリュームが意外と少なかったと我ながらびっくり。

    それはともかく文庫版の後書きで
    「だが自分の身近にいる人物が、ある日突然、還らぬ存在となることをイメージするのはなかなか難しいものだ。医学は進歩し、乗り物は安全になり、町は、自然災害に強くなった。(略)
    だがそれでも、事故は起こる。日常生活を刻む中で、運命は突然、人々の目前に立ちふさがり、大切な人を問答無用に奪ってゆく。」

    小説の舞台は1994年とその10年後だが、それから約20年近く経った今でも京都アニメーション放火事件、大阪心療内科クリニック放火事件のように理不尽に大切な人が突然この世からいなくなってしまう事件が起きている。
    亡くなる人、残された人。どちらの立場にもなり得る可能性がある。
    そのことは心の片隅に留めておきたい。

  • 乗客とその関係者が辿る、不思議な時間を描く。ラストに近づくにつれ、急ぎ足になってしまっているように感じた。

    一つ一つの話は悪くないのに、残念だ。

  • 10年振りに再読。
    民間旅客機が突如行方不明となり、ちょうど10年後に
    そのままの姿で帰ってくるというSF。

    ほとんど覚えておらず、新鮮な気持ちでの再読。

    乗員乗客それぞれにドラマがあり、少し切ない気持ちで読了。

  • おぉー、やっと読み終わったー。
    読み進まなくて苦労したー。

    とにかく登場人物が多すぎた。
    登場人物と場面がコロコロ変わってしまうので、感情が入り込んだ頃、別の家族の話に変わってしまう。という繰り返しで、その都度緊張感が途切れちゃった。
    もうちょっとスポットを当てる家族を絞り込んで、深く追求した内容なら、もっと話しにのめり込めた気がするのにな。
    なので結果、どの家族のこともあまり印象に残ってなくてすみません。

    10年間を取り戻すために、与えられた3日間を前向きに生きようとするそれぞれの家族。
    だけど、失ってしまう悲しみをもう一度味わなければいけないという絶望感を考えたら、私だったらそんなに前向きに過ごせないかな。なんてちょっと思ってしまいました。

  • 設定が面白いだけにちょっと残念な気持ち。乗客の三日間を追う話だから群像劇になるのはわかるが、それにしても盛り込みすぎた印象。ミスターXの謎を追うミステリーにするのか、興梠親子の絆の話にするのか、黒木父の社会復帰への道の話にするのか、なにか一つや二つに焦点を当てた方が面白かったかなあ、と。

  • 飛行機事故で亡くなった人たちがお盆に10年ぶりに10年前そのままの姿で帰ってくるという、黄泉帰りもの。
    理論や理屈はこの際どうでもいい。搭乗者それぞれの群像劇になるので登場人物は多い。しかしそれがうまくいったと言えるかは疑問。待っていた側はまだその年月で言い訳ができそうだけど、蘇った側はその事実を知って半信半疑だとしてもあんなに全員達観できるかね。群像劇にしたい意味はわかるけど、そのせいで散漫になったし、どうにも終わりに向けてしっくりこなかった。
    お盆という風習をベースに突然失われた死者との10年後の邂逅という話はいいと思うし、その後も生きていくものの再出発というテーマもわかるんだけどね。ただそのテーマを強くするには人を絞ったほうがよい気がする。

  • 読み進めるのが大変だった。大きな出来事が起きているはずで、それぞれの限られた日々について読んだはずなのに、物語を読み終わった時に、読み終わった。ということしか残らなかった。作者の本作に対する想いを読んで、そうなんだ、そういうことを伝える為にこの作品書いたのか。という思いだった。

  • うーん、ちょっと期待外れ。
    一番の大事件であるはずのYS-11消滅と復活が、アレによる時空のゆがみが原因との説明のみで消化不良だ。難しすぎる物理法則の説明はいらないにしても、もう一押し納得感のあるシナリオが欲しかった。
    また、登場人物それぞれの背景、生き方を描くのはいいが、人数が多すぎて場面の切り替わりについていけなかった。殺人犯と、あと二人三人くらいでよかったのではないか。
    エンディングも微妙だった。タイトルにひかれ大いに期待して読み始まっただけに残念だった。

  • これは面白かった、論理とか考えたらだめだからSFじゃない、群像劇として読む本。

  • 飛行機事故をきっかけに人々が変わっていく姿が印象的だった。でも、クライマックスが思いのほか盛り上がりにかけていた。

  • SF?作品?
    タイトルと内容が、どこでどのようにつながるのかが楽しみです。

  • 10年前に消息をたった旅客機が突如現れ羽田空港に着陸した。それは量子力学が専門のある大学教授によって予知されていたことであり、その教授によると彼らはある制約の中で過ごさなくてはならないという。
    駆け落ちカップル、チェロ奏者、芸能人、5歳の子、老夫婦、客室乗務員など、生還者たちとその家族や取り巻く人たちを描く。

    身近な人との突然の別れというのはどこか他人事のようで実際に身に降りかかってこないと実感できない。でも常にその可能性は身の回りにあるわけで、自分自身も明日が来るのは当然ではない。だからその日その日を大事にしていきましょうという話。
    非常にわかりやすいし各エピソードもそれなりにおもしろいが、心理描写が浅い。生還者のエピソードをもう少し減らして深掘りしたらもっと心に残る作品になったのではないか。

  • 自分の寿命があと4日だとしたら・・・
    私、何をするかな。きっと、何もできないで、フツーに過ごして終わってしまうんだろうな。
    残される人のことを考えると、苦しい。

  • ちょっと合わなかった。設定が奇抜すぎて、なかなかうまく入って行けなかった。

  • わかりやすく感動的な話し。
    当然のことながら歴史や時間にイフはありません。
    だからこそ、前向きに優しく後悔なく生きていきたいものです。どーなるか分からない上に、やり直しが効かないかこそ、一瞬一瞬を大事にしていこう、そんな気にさせられました。

    余談ですが、
    とても、ハートウォーミングな話しなのですが、
    その割には乗客の設定が多岐にわたり、凝りすぎていて。。もう、少しシンプルな方が感動も大きそうな気がしました。

  • 事故なのか?行方不明になった飛行機が
    10年後にそのままの姿の乗客を乗せて帰ってきた…

    しかも
    たった3日のみでまた戻ってしまう

    物理学?的なことは全くわからないので
    この設定がちょっと都合よく感じてしまうが
    本当にあったらどうだろう?と思う。

    登場人物たちが多くて
    それぞれの物語を追うので必死で
    なかなか感情移入しづらかった。

    亡くした人がいる者にとっては
    奇跡の設定だと思うし
    そのままじゃなく結局戻っちゃうあたりが
    単なる奇跡ではなくていいなと思う。

  • 連続ドラマ原作なので楽しみ、面白かった‼️

  • また消える設定がよい

  • そうなのね。意外性は少なかった。

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著者プロフィール

大石英司
1961年生まれ。鹿児島県鹿屋市出身。1986年『B-1爆撃機を追え』で小説家デビュー。C★NOVELSを中心に著書多数。陸自の特殊部隊の活躍を描く〈サイレント・コア〉シリーズは、通算400万部を超える。他の著作に、『神はサイコロを振らない』(中公文庫)など。

「2023年 『パラドックス戦争 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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