ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー (中公文庫)

制作 : Dan Rhodes  金原 瑞人  石田 文子 
  • 中央公論新社
3.52
  • (8)
  • (7)
  • (13)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 92
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046825

作品紹介・あらすじ

ティモレオン・ヴィエッタは犬の中で最高の種、雑種犬だ。少女の瞳のように愛らしい目をしている。初老の飼い主と暮らしていたが、ボスニア人を名乗る不審な男があらわれ、街角に捨てられてしまう。世界中で繰り広げられる残酷で不条理な愛の物語を横切りながら、ティモレオンはひたむきに家路を急ぐ。世界25カ国で翻訳された話題作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 捨てられた犬は、飼い主の元へとひた走る。残酷な運命を横切りながら。人生はこんなにも残酷で不条理で、なのになぜか美しい。動物のほのぼのモノをお探しの方は、間違っても手にとられないよう。

  • 思い通りにならない人生

  • ダン・ローズは毒を配するのがうまい作家だ。「雑種だが少女のような瞳のかわいい犬(ティモレオン)」を冒頭で印象的に紹介し、逆説的な名犬物語を繰り広げる。飼い主と犬の絆を中心にコミカルで寓話的に話は進むが、いちいち細部が不愉快であからさまである。ラストは残酷。意図的過ぎる感じはあるが、「そうだよ可愛い犬が幸せになれない世の中なんだ」と自虐的に首肯する。
    道中で出会う人々のエピソードは巧みで、物語の続きを知りたいと思わせる。優れた短編小説のよう。

  • 2014/04/20/Sun.文庫本を中古(ネット通販)で入手。

    2015/09/30/Wed.〜2015/10/11/Sun.

    タイトルと表紙のイラストから受けた最初のイメージはサクッと裏切られた。
    感動や癒しは皆無です。

    犬を愛する人にとっては、特につらい内容となっているため、筆致に魅了される人と嫌悪感を抱く人、ハッキリ分かれそうだけれど…。
    私はこの作品を読み終えた後、やりきれない気持ちになると同時に、読む価値のある、とても優れた小説だと思いました。
    特に第二部。

    行間には、不快な淀みやら、もの寂しさやらが沈んでいて、時には劇薬のようにビリッと残酷。
    なのに、不思議な美しさと煌めきがそこにはあって、なんでだか愛おしい気持ちにすらなってくる…。

    風変わりな余韻も後をひく、魅力的な小説。

  • 最高!!犬は純粋で愛らしく、人間はとことん愚か。
    第一部では人種瀬別発言でセレブ作曲家の座から転落したホモセクシャルのコウクロフトが麻薬の売人でヤクザから逃げている自称ボスニア人の言うなりになって愛犬ティモレオンを捨てるまで。
    第二部は主人のもとに帰ろうとするティモレオンと触れ合う人びとの物語。安易なお涙ちょうだいの動物ものとは全く違うけど、残酷で皮肉なユーモアと、それでも滲む人間愛と、物語の巧さにひきこまれた。
    コウクロフトってほんとに気の弱い馬鹿なんだけど、愛すべきところもあって嫌いになれない。ラストも安易なハッピーエンドではないので、犬好きのひとは憤死しそうだけど、心に残った。

  • 悪意と不条理に溢れる連作小説からなる一冊。ティオレオンとは犬の名前。癒しとかは皆無でそういうものを求める人は嫌いだろう。人生の残酷さと美しさと悲哀を見せつけられる。よく練られて先が読めない「お話」というのを久しぶりに味わった。平易な語り口で日本語が素晴らしい。ダールとかの系譜じゃないかなと勝手に思う。素直で技巧に凝らない「お話」で引っ張る小説を読んだのはいつぶりかと考えるほどだった。傑作。

  • 絶望やグロテスクっていうものは実は帰巣本能を持っていて遠くに捨ててもまた自分のもとに帰ってくる。なので彼らと折り合いをつけるのが一番効率がいい。

  • 7/2 読了。
    小説として素晴らしい、これもある種のネバーエンディングストーリーだ。それを最小限の言葉で簡潔に仕上げているのがまたすごい。ただやっぱり動物がひどい目に遭うのは…。

  • 元劇作家の老人コウクロフトは、たまたまテレビ出演中に口走ったことから仕事を干されて、今はイタリアに住んでいる。
    何度か恋人が出来たが、いつも男は出て行った。
    40歳以上年上の男が好きだという美少年は、かって老人を裏切った男の元へ。
    孤独な暮らしで、犬ももう飼うまいと思っていたが、2歳ぐらいの野良犬が迷い込んできて、飼うことになる。
    ティモレオン・ヴィエッタと名付けて可愛がる。
    どこにでもいるような毛並みの雑種。野良犬にしては目が無邪気な少女のように愛らしい。
    酔っていたときに話した冗談を頼りに若い男が訪ねてきて、住み着く。
    ボスニアからボートで亡命してきたという不審な男。その日暮らしに飽きて、家の修理をしながら呑気に暮らそうとする。
    愛しているわけではないが、孤独に戻るのが怖くて追い出せないまま言いくるめられる老人。
    自称ボスニア人はとんでもない男で実は追われており、ティモレオンが警戒するのも当然だったのだが。
    ティモレオンと折り合いが悪いのにコウクロフトは胸を痛めていたが、ある日、ボスニア人が犬を追い出さなければ殺すと言いだし‥

    ローマに置いて行かれたティモレオンは、様々な人とすれ違い、餌を貰い、ふとしたきっかけとなり、他の名で呼ばれ、飼われそうになったりもする。
    バス停でティモレオンを見かけて、妻のために連れ帰ろうかと思う警官。
    イタリアまで会いに来た恋人に振られて呆然としていた少女が、いろんなお菓子を投げてやったり。
    中国で出会った未亡人と娘を連れ帰った教授だったが、心臓発作でなくなり、その葬式に通りかかるティモレオン。
    耳の聞こえないが優秀な娘オーロラと恋人の話。
    ルチーアとピエトロの授かった美しい娘ローザ。身体は成長したが精神は止まったまま…子供達は仲良く世話をしてくれたが。

    ティモレオンは出会った人の事情を知るわけではない。
    ごく浅い縁ではあるが、それぞれのエピソードが美しくも残酷で、珠玉。何とも胸が痛くなる。
    犬が酷い目に遭うのはどうしても読みたくない人には不向き。
    早く忘れてしまいたいシーンがあるから。
    ただし、読後感は意外にさわやか。
    人間の方もじつに様々な運命に翻弄されていて、えらい目にも遭い、恥多き人生を生きている。
    犬に対する態度は、その人そのもののよう。
    とくに酷いことをする奴はどうせ後々ろくな事にはならなそうで…
    犬の無垢さが際だつ印象が残るからかも。

  • そう。人生は上手くはいかないものなのよ。
    人生は残酷なものなのよ。

    そう。たとえ物語の中であったとしても。

全14件中 1 - 10件を表示

ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー (中公文庫)のその他の作品

Timoleon Vieta Come Home: A Sentimental Journey ハードカバー Timoleon Vieta Come Home: A Sentimental Journey ダン・ローズ
Timoleon Vieta Come Home ペーパーバック Timoleon Vieta Come Home ダン・ローズ
Timoleon Vieta Come Home ペーパーバック Timoleon Vieta Come Home ダン・ローズ

ダン・ローズの作品

ツイートする