コンスエラ: 七つの愛の狂気 (中公文庫 ロ 4-2)

  • 中央公論新社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122047396

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  • 女性の狂気を孕んだ美しさと、
    そんな女性に翻弄され溺れゆく健気で純真な男性たち
    物語の中で彼女たちはみな身分は異なれどお姫様であって
    男性は憧れを抱き続ける少年で
    結婚をしても結ばれないようなはがゆさ満載の一冊
    表紙も美しくて素敵

  • 読んだら気分が悪くなってくる…

  • 恋愛もの短編集。読んで吐いた人がいるという解説にどんな狂気かと思いきや、それほどでもなかった。おそらく想像力の豊かな人はラストの「コンスエラ」の、これでもかという不潔さの描写を具体的に想像して気持ち悪くなってしまうのかもしれない。とりあえず本から悪臭は漂ってこないので私は大丈夫。狂気というより解説の東直子が言う「気の毒」さのほうが私にもしっくり来ました。それぞれシチュエーションは違えど、一方通行の恋をしてしまった男性たちの話で、全員がただ「気の毒」としか言いようがない。

    老教授がミュージカル風に美しい女学生にうっとりする「カロリング朝時代」や、仲の良い二人の男性が同じ女性を好きになる「マドモアゼル・アルカンシエル」あたりにはそれほど毒はない。

    ちょっとえげつないな、と思ったのは、森で出会った謎の女性(すでに若くない)に、なぜか夢中になってしまった若い男が、義眼の彼女に愛を証明するために片目をえぐり出される「ガラスの眼」、それと表題作の「コンスエラ」。金持ちでイケメンの若者に見初められた美少女コンスエラはあまりに美しいがゆえに夫が愛しているのは自分自身ではなく外見だけではないかと疑うようになり、あえて醜く汚くなってゆくことで夫の愛を試そうとする。テーマ的には「ガラスの眼」と同じですね。本当に愛しているか証明してみせろ、という不毛な欲求。

    「ごみ埋立地」のゴミ捨て場に住みつく美少女など、とにかくどの作品でも男性が惹かれる相手は完璧な美しさ、しかし男性側の愛は届かない。完全な美女を描いた絵を見つめながら男たちがどんどん死んでいく「一枚の絵」なんかはいっそ潔い。つまり結局「人は見た目が100%」ってやつですね。

    いちばん好きだったのは「ヴィオロンチェロ」これもチェロを弾く美少女に惚れ込んだ男の報われない末路だけれど、怪しい魔法でチェロに変身させてもらうというのがファンタスティックで好き。

    ※収録作品
    カロリング朝時代/ヴィオロンチェロ/ガラスの眼/マドモアゼル・アルカンシエル/ごみ埋立地/一枚の絵/コンスエラ

  • "男と女"が輝きに対してどのような方向性を持っているかが明解に表されている。
    やはり男はロマンチシズムで、はたから見れば幻想を追い続けるものだろう…。
    一方女は男に比べて現実的であるものの、ワールドイズマインであり、この違いを説明するのに難しいが、男女は輝きをすれ違わせていくもの。
    恋愛や結婚、および男女が共にしていくのは、すごくはがゆいのだと思えた。

  • 7/6 読了。
    「ティモレオン」に完成度では落ちるが、おとぎ話ふうのロマンスを巧みに再構築して、人間の感情の残酷な部分を切り取っていく。その語り口がちょっと類を見ないためらいのなさで、あまりにスパッと切ってしまうものだから、読者もそこでハッと目を醒ますのだ。

  • 表紙が素敵。

  • 表紙の絵に惹かれて即決で買った本。残酷な悲しみと狂気を伴う愛のお話。結構わかる気がする。嫌いな人は嫌いやろなー。

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