卍(まんじ) (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 110
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122047662

作品紹介・あらすじ

光子という妖しい美の奴隷となった柿内夫妻は、互いにまんじ巴のように絡みあいながら破滅につきすすむ。官能的な愛の中に心理的マゾヒズムを描いた傑作。晩年の谷崎と、若尾文子・岸田今日子による座談会(昭和三十九年収録)を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 昼ドラのように人間関係がめちゃくちゃドロドロしていて抜群におもしろい。唯一マトモそうに見えた柿内幸太郎すら、なんと最終的には徳光光子と関係をもつに至る。とにかく、登場人物の誰ひとりとしてマトモな者はおらず、全員が異常者である。しかし、本作の真に恐ろしい部分は、その登場人物が展開する愛憎劇それ自体ではなく、果たしていったいなにが真相であるのかよくわからないところである。ラスト・シーンで園子の独白によって明かされるところによれば、園子と幸太郎と光子は3人で心中を試み、園子だけが生き延びたという。しかし、そこに至るまでの過程において、まるでオセロのように、セクションごとに展開が一転また一転とすぐに変わってしまう。ある人物がなにかを主張すれば、そのすぐあとにいやアレはウソだと言われる。頭の中がこんがらがってしまうが、とにかくそのような状況なので、どうして最後だけ書いてあることをそのまま鵜吞みにすることができようか。「たまたま」ひとりになったから物語が終わるのであって、もし3人とも生き延びていたら、やはりつぎのセクションでまたどんでん返しがあるのではないだろうか。そうなるとコレはもう終わりのない迷路のようなもので、じつは谷崎が伝えたかったことは、このような関係こそが男女の本質だということなのではないか。

  • 恋愛のドロドロ感とミステリーのようなシナリオ

    さすがに谷崎という感じ

  • 2013/10/27

  • アブノーマルな男女の愛 私がノーマルなだけに面白い。「こんなん、あんのかな~」と思いながら一気に読んだ。生き残ったお姉さんの「今日までおめおめ生きてる私やあれしませんねんけど・・・・」と言いながら生きてる園子は恐ろしい

  • 実写映画化時の二人の女優と筆者の対談が収録されていたので中公文庫版を購入。
    結局、本当のことは最後までわからない。恋というよりも執着や崇拝、性別なんて壁ですらない

  • よい、だいぶおもしろい。
    もっと具体的にエロエロしてるかと思いきや、そういった描写はなく、どろどろと痴情のもつれみたいな話。んでもって同性愛からの夫に飛び火でとんでもない話だ。
    こんなんでもおもしろくて文学してるんだから谷崎はすげぇなぁ。

  • 最初は読みにくいと思ったが、ぐいぐいと引き込まれた。最後は壮絶。序文はもともと標準語だったらしいけど、関西弁に直したとかで。

  • あいかわらずの潤ちゃん。
    百合、というかとにかく「美しいは正義」で男も女も
    登場人物はみんな光子ビッチの事好きになってくよハーレム。

    卍ってタイトルは秀逸だし美しすぐる。

    でも男性はやわらかくてお人好しで素敵な人々なのに比べ
    女子が男性より丈夫でめちゃくちゃワガママで。
    翻弄されて痴情がこんがらがるには
    もうちょい女性が気弱でもいいんじゃないか、
    いやでも潤ちゃんだし女優位なのは仕方ないね、の雰囲気。
    なんだかんだみんなマトモだし大人だし立場あるから常軌を逸さず、
    官能とか衝撃とか卍のイメージから、
    もっとセンセーショナルだと期待しすぎてた。

  • 未亡人の告白を綴った小説。大阪弁がエロいのなんのって!これが標準語だったら、ふーんって感じなんでしょうね。大阪弁の味わいを堪能できる、過激で卑猥なエロテロ小説です。

    夫に不満のある若い妻・園子は、技芸学校で出会った光子と禁断の関係に堕ちる…。そこに、光子の愛人で不能の男・綿貫や、園子の夫まで絡んできて…。

    この小説の面白い点は、読者を引き寄せる謎が随所に散りばめられているところだと思います。話は園子の告白という事後報告の形で進みますが、未亡人だという園子は、夫を亡くしていると分かります。また、光子もすでに他界していることが初期の段階で明らかになっています。なぜ当事者の一人だった園子だけが生き残り、告白しているのか? そういう大胆かつ重要な謎がそこかしこで「過去として」見え隠れするのに、告白の内容は「現在進行形」という焦らしっぷり。読んでる側は、どうなったんだ!?と、もどかしく思いながら謎を見つけにページを捲るしかないという…ちょっとしたミステリーにもなっているところが面白かったです。

    私が購入したのは、新潮文庫の改版438円(税別)でした。ブクログで見つけることができなかったので、こちらに登録しました。

  • 中公文庫の装丁はいつもセンスが良い。谷崎を買うなら中公と決めている。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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