オケマン大都市交響詩―オーボエ吹きの見聞録 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122047754

感想・レビュー・書評

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  • モギギ先生の本は何冊か読んでいるので、本書で書かれている留学時代の話も、どこかで読んだ話も多い。
    でも、成功した人の青年期の終わりの時期というのは、もちろんご本人にとっては苦難もあっただろうけれど、成熟する充実感に満ちていて、独特な美しさがある。
    それは都市という舞台を意識させる構成になっていたからかな。

    「ドブラックナーフェン『交響曲第五番ハ短調』」は、楽曲解説のパロディ何だろうと思いながら読んだけれど、どこがおもしろいのかさっぱり。
    「第九のステージをウサギが舞うとき」は、やりすぎ感あり。

  • 20170105読了
    2006年出版。1981年から9年間にわたるドイツ生活の記録。章立ては街の名前になっており、その都市でのエピソードがまとめられている。こんなにあちこち転々としたんだなぁ。地図を思い浮かべて読むとおもしろい。オケのオーディションの様子、大富豪のパーティ、ベルリンフィルのマイヤーさんが登場。

  • 最初から最後まで、茂木さんらしい筆致で読む側をぐいぐい惹きつける。
    若いっていいなぁ。がむしゃらに、高みに上っていく。そのエネルギッシュなストーリー展開は、まさに、これこそ、make dramaだ。

    あたりまえのことながら、茂木さんがすごい才能の持ち主で、プロフェッショナルである、ということを前提に読んでいく、だからおもしろいのだ。周りのプロフェッショナルな人々の多彩なことといったら。読んでいてワクワクする。

    ただ楽しく読むんじゃなくて、ほほーっ、と読む側を、うならせる。
    なんか、久しぶりに、「こういうこと、ちゃんと考えている?」って笑いながら厳しい口調で言われて、ちょっとドキッとして、でも、言われて仕方のない自分の状況を「痛いところ」を見透かされているような…これは個人的に深読みのしすぎかもしれないけれど。私が甘いんだな。

    そのなかで、谷中の話はホロッとくる。話の惹きつけ方が、本当にうまいなぁ、落語を聞いているみたいだ。

    アウトバーンということば、ポーランドの話、やっぱりな、ドイツ。
    書いてある言葉なのだが、なんか妙に実感。東ドイツと西ドイツ、その渦中のベルリンを知っていたわけで、それも追体験できた。ベルリンの壁が壊れたときのニュース映像、ベートーベンの第九が読んでいるだけでよみがえってきた。東西冷戦時代は今となっては、もう過去…なんだろうけど、肌身に感じるというか、やっぱり第二次世界大戦の遺物。ベルリンの壁が壊れたように、38度線が過去の遺物になることを望む。

    それにしても、ヨーロッパはスケールが違う。アウトバーンをポルシェやベンツやBMWが走るのはあたりまえのはずなのに…その車中で流れる浪曲や落語を考えると、ほのぼのしてしまう。

    のだめカンタービレのブノア家の話…マジか、こういうことなのか、と思って、これまた笑ってしまった。実体験なのがすごいの一言に尽きる。

    ドイツ語の発音(訛り)の書かれ方もおもしろい。複数の言葉がわかるということはそれだけ世界観も豊かなんだよなぁ。地方に暮らしていたときのことを思い出す。断然、旅に出たくなった。

    本当に、隅から隅まで、おもしろかった。たくさん元気をもらった。

  • 【library222所蔵】

    のだめの監修で一躍名前を売ったN響オーボエ奏者の茂木氏のエッセイ。
    氏のエッセイはどれもとてもわかりやすくて面白い。
    これは氏がヨーロッパオケのオーディションを受けまくり、あるオケの正式メンバーとなるまでの顛末。
    オケのオーディションの裏側、そしてまさしく「ガクタイ」(オケの団員のこと)と呼びたくなるようなオケメンバーの素顔、ヨーロッパの日常におけるクラシックのありかた・・・・どれもとても生き生きとしておもしろい。
    これを読んだらヨーロッパのオケを直接聞きに行きたくなること間違いないなし。
    それも、一流のオケでなく、地方のローカルなオケを。

  • 1981年から9年に及ぶオーボエ吹きのヨーロッパ留学の話で、東西冷戦という背景もあって大変に興味深い内容です。といっても「オレは」口調で笑い話も満載、一緒に笑ったりずっこけたり「わかるわかる!」と頷いたり。そして長い間一つのことに打ち込む人のひたむきさと美しさにはやはり自然に胸が打たれます。
    特に最初の数年は著者が若いせいもあってかドイツ人の生意気さにどうしても我慢できずに一人孤高を保ったりするのですが、やがて
    「こういう不器用さ、木訥さを持った学生たちが、決して物まねや受け売りでなく、一歩一歩着実に自分の納得のいくことだけ、信じたことだけをゆっくりと積み重ねるからこそ、ヨーロッパの芸術はゆるぎないものとなってゆくのである。自分の人格にとって、無理なこと、理解できないことでも、感性でさっとまねできたり、そつなくできてしまう日本人(おれ)の方こそ、先行き結局行き詰っていくのである」
    と気付くに至る部分は色々と考えさせられたりします。
    あとは長年海外暮らしをしている人の行動パターン(はるばるパリへカツ丼を食べに行ったり)など何だか思い当たる話も愉快に描かれていてその辺も親近感湧きましたー。

  • 12/6読了。
    オーボエを習いに、ドイツに留学する話から始まり、オーケストラのエキストラとして出演する話、オケのオーディションを受ける話、東ドイツ(その頃にはまだベルリンの壁があった)に演奏旅行に行った話など、多彩であきない。
    それぞれの話にちゃんとオチもついていて、面白かった。
    ジーンとくる話ももちろんあり。

  • ボストン・ニューヨークの項の落ちにびっくり。

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著者プロフィール

ミュンヘン国立音楽大学大学院修了(オーボエ専攻)。シュトゥットガルト・フィルを経て一九九〇年よりNHK交響楽団首席オーボエ奏者。九六年から指揮活動も開始。自ら企画も担当し、ときにはスクリーンに画像を投影しながら、さまざまな名曲を解説しつつ演奏するスタイルで全国的に活躍。「のだめカンタービレ」のクラシック監修やコンサートの企画・指揮でも知られる。指揮を岩城宏之、外山雄三、広上淳一、三河正典の各氏に師事。著書に『オーケストラ楽器別人間学』『くわしっく名曲ガイド』『音大進学・就職塾』『読んで楽しむ のだめカンタービレの音楽会』などがある。

「2018年 『オーケストラ楽器別人間学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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