オケマン大都市交響詩: オーボエ吹きの見聞録 (中公文庫 も 27-3)
- 中央公論新社 (2006年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122047754
感想・レビュー・書評
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今とは違う共産圏
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モギギ先生の本は何冊か読んでいるので、本書で書かれている留学時代の話も、どこかで読んだ話も多い。
でも、成功した人の青年期の終わりの時期というのは、もちろんご本人にとっては苦難もあっただろうけれど、成熟する充実感に満ちていて、独特な美しさがある。
それは都市という舞台を意識させる構成になっていたからかな。
「ドブラックナーフェン『交響曲第五番ハ短調』」は、楽曲解説のパロディ何だろうと思いながら読んだけれど、どこがおもしろいのかさっぱり。
「第九のステージをウサギが舞うとき」は、やりすぎ感あり。 -
20170105読了
2006年出版。1981年から9年間にわたるドイツ生活の記録。章立ては街の名前になっており、その都市でのエピソードがまとめられている。こんなにあちこち転々としたんだなぁ。地図を思い浮かべて読むとおもしろい。オケのオーディションの様子、大富豪のパーティ、ベルリンフィルのマイヤーさんが登場。 -
最初から最後まで、茂木さんらしい筆致で読む側をぐいぐい惹きつける。
若いっていいなぁ。がむしゃらに、高みに上っていく。そのエネルギッシュなストーリー展開は、まさに、これこそ、make dramaだ。
あたりまえのことながら、茂木さんがすごい才能の持ち主で、プロフェッショナルである、ということを前提に読んでいく、だからおもしろいのだ。周りのプロフェッショナルな人々の多彩なことといったら。読んでいてワクワクする。
ただ楽しく読むんじゃなくて、ほほーっ、と読む側を、うならせる。
なんか、久しぶりに、「こういうこと、ちゃんと考えている?」って笑いながら厳しい口調で言われて、ちょっとドキッとして、でも、言われて仕方のない自分の状況を「痛いところ」を見透かされているような…これは個人的に深読みのしすぎかもしれないけれど。私が甘いんだな。
そのなかで、谷中の話はホロッとくる。話の惹きつけ方が、本当にうまいなぁ、落語を聞いているみたいだ。
アウトバーンということば、ポーランドの話、やっぱりな、ドイツ。
書いてある言葉なのだが、なんか妙に実感。東ドイツと西ドイツ、その渦中のベルリンを知っていたわけで、それも追体験できた。ベルリンの壁が壊れたときのニュース映像、ベートーベンの第九が読んでいるだけでよみがえってきた。東西冷戦時代は今となっては、もう過去…なんだろうけど、肌身に感じるというか、やっぱり第二次世界大戦の遺物。ベルリンの壁が壊れたように、38度線が過去の遺物になることを望む。
それにしても、ヨーロッパはスケールが違う。アウトバーンをポルシェやベンツやBMWが走るのはあたりまえのはずなのに…その車中で流れる浪曲や落語を考えると、ほのぼのしてしまう。
のだめカンタービレのブノア家の話…マジか、こういうことなのか、と思って、これまた笑ってしまった。実体験なのがすごいの一言に尽きる。
ドイツ語の発音(訛り)の書かれ方もおもしろい。複数の言葉がわかるということはそれだけ世界観も豊かなんだよなぁ。地方に暮らしていたときのことを思い出す。断然、旅に出たくなった。
本当に、隅から隅まで、おもしろかった。たくさん元気をもらった。 -
【library222所蔵】
のだめの監修で一躍名前を売ったN響オーボエ奏者の茂木氏のエッセイ。
氏のエッセイはどれもとてもわかりやすくて面白い。
これは氏がヨーロッパオケのオーディションを受けまくり、あるオケの正式メンバーとなるまでの顛末。
オケのオーディションの裏側、そしてまさしく「ガクタイ」(オケの団員のこと)と呼びたくなるようなオケメンバーの素顔、ヨーロッパの日常におけるクラシックのありかた・・・・どれもとても生き生きとしておもしろい。
これを読んだらヨーロッパのオケを直接聞きに行きたくなること間違いないなし。
それも、一流のオケでなく、地方のローカルなオケを。 -
12/6読了。
オーボエを習いに、ドイツに留学する話から始まり、オーケストラのエキストラとして出演する話、オケのオーディションを受ける話、東ドイツ(その頃にはまだベルリンの壁があった)に演奏旅行に行った話など、多彩であきない。
それぞれの話にちゃんとオチもついていて、面白かった。
ジーンとくる話ももちろんあり。
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ボストン・ニューヨークの項の落ちにびっくり。