魔的 (中公文庫 も 25-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122048164

感想・レビュー・書評

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  • 森さんの言葉は、無機質で美しい。

  • 森博嗣の詩に決定的に足りないのは、
    苦悩とか悲しみとかそういう負の感情。
    ここに収録されている詩もきっと、
    さらりと書いてしまったのだろう。
    それが悪いというのではなく、
    そういう時代なのかな。
    嫌いだという意味ではない。

  • 森博嗣の詩集
    所々に森博嗣っぽさを感じる

    何の原石かツッコむところとか、世間でありふれた表現へのアンチテーゼというか何というか
    他にも独特の解釈をしているところあるなぁ
    まぁ、森博嗣に慣れた人にとってはそんなに奇抜には感じないけどね

    あと、他の小説のシーンを思い浮かべたものがいくつか
    主に真賀田先生に関するものだけど、やはり森博嗣は真賀田四季という壮大な一つのストーリーを書いてるんだなぁと勝手に妄想

  • 『スカイ・クロラ』の函南を想像してしまう詩たち。

  • 森博嗣の唯一の詩集。著者曰く「小説よりも詩集の方が好き」だった時期があったそうだ。自身、彼の作品は詩的な文章が多い。全篇、新作ではなく過去の作品からの言い回しを変えたり、シリーズの該当部分から発想を得たもの、ノベルス版(文庫版では栞)の右カバーに記載されている詩だったりと新鮮さを感じない部分があったのが惜しい。

  • 森先生の理論が最後までなかなか捉えられず、何を言わんとしている詩なのか分からないものがあった。しかし、生への切迫感を終始漂わせつつも、何か生への安堵感を感じる構成になっていた気がする。まだ感覚的にしか分からないが、読むと恥美的で、命を題材にした刹那的な美しさを感じた。スカイクロラシリーズのセリフの断片が、数編の詩に入ってたのが、学生時代ファンだった自分としては嬉しかった。この詩集をさらに「大人」になった数年後の自分が読んで理解が深まるかは謎だ。極めて限定的な層のみに理解できる作品な気がした。

  • 作者のノベルスカバーそでや文庫栞で見なれた詩がまとめて編まれており、手頃である。ただイラストが無いのが残念。作品的には冷たさや慧敏さを与えるような言葉の多用によるイメージの一辺倒が見られる(詩の初出がそういうものだから仕方がないとはいえ)、ファン向けに徹した一冊かと。

  • 森博嗣で初めて読んだんが詩集て。

    銀色夏生の詩集ぐらいしか日本人のものはまともに読んだことないです。

    詩集出すような作風だと思ってなかったから、むしろ興味本意の冷やかし読書。

    だけど後半の作品の盛り上がり方すごい。詩集や短編はどう考えても作品の順番が評価に大きく繋がるけど、これは成功してる。畳み掛けて、ちゃんと落ちる。強いて言うなら助走がながい、かなあ。

    でもぜひ小説も読みたいと思いました。


    「胸のうえに手をのせていると悪い夢をみるよ」

    「海の向こうにはなにがある?」「夜と粉と髭と泥」

  • 刊行は10年も前なんだなあ。時間の分なのか、重みを感じる。よくも悪しきも。今詩集を書かれたらどんな風でしょうか。

  • 森博嗣の言葉は難しく理解し難い。詩は特に受け手の感受性が求められるように思う。彼の詩は無機質だけれど重さがあって、透明で、とても綺麗だ。

  • 詩集。 通過するだけで捉えきれない言葉たち。非常に悔しい。もう少し、想像力を鍛える必要がある。 お気に入りは「拒絶」と「しくしく思考」。拒絶はとても強い言葉で、そのままでは耐え難いけど、その裏にあるものにざわっとなる。境界はとても残酷で…。 「くみくみと思考し ていていと微笑した」しくしく遊びは、好きだなぁ。 がちっと掴まれる感覚。そのひとつに期待しよう。 「人間に要求される すべてのうち ただひとつを除いて 君は拒絶する」

  • 森博嗣の詩集! 理系的だけど文学的、心地良い冷たさな不思議な詩たち。装丁も素敵。

  • 『いつも通る道でも
    違うところを踏んで歩くことができる
    いつも通る道だからって
    景色は同じじゃない
    それだけでは、いけないのか?
    それだけでは、不満か?』

    『後悔エトセトラ
    思慕コンパクタ
    逡巡パラメータ
    憂鬱ストラクチャ』

    『胸の上に手をのせていると
    悪い夢を見るよ』

    『飛べないことを
    知らない連中が
    飛んでいるのだよ

    生きられない理由を
    知らない連中が
    生きているように』

    『かすかな奇跡と軽やかな予感と

    生きているという呪文にかかった君と』

  • 詩集を初めて読んだ。
    評価保留。

  • 森博嗣(もり ひろし)唯一の詩集。

    もともと、森博嗣の小説は詩的な要素が滲み出ているように思う。

    僕の森博嗣のイメージは、ほぼ「スカイ・クロラ」で固定されている。
    純粋で静かで、無駄がなく飾りがない。心にスッと這入り込んでくる感じだ。

    中原中也のイメージもそうなんだけど、詩的に類似した匂いがする。

    森博嗣らしいコトバとテーマ
    対象の観察、自己の観察…広がってゆく感じと、収束してゆく感じと。

    お気に入りの一冊に登録だな。

  • 森先生の美学senceがキラリと光る一冊。
    「落ちていくとき」
    「焼ける太陽」
    「誰が僕を騙したのか」
    が好きです。
    一種のアポトーシスを感じる
    この本に私は何かを捧げたい。
    この本に合うのは、
    妖精帝國「Ira」かな。
    詩なんて中原中也以来、
    読まなかった。
    久しぶりに詩という
    美に
    出会った気がした。

    ありがとう。

  • 森博嗣の作品は、ミステリ要素よりも詩的表現が好きだったりするのですが、納得しました。
    言葉だけの文庫の方がわたし好みです。
    心に残る言葉たち。
    良いです。

  • 詩を読んだことはほとんどないが、そんな人間の心をもふるわせる言葉の数々。リリカルなだけでないのが性に合った。

  • 森ノベルスを開いたすぐそこにある短い詩が好きだったのです。
    本編を読まずとも、その詩を読み返すためだけに、何度もノベルスを本の山から掘り出して眺めたものです。
    鋭く切って返す言葉の切っ先は、まさに「魔的」な魅力。
    ノベルスに書いてあるものとはまた違ったヴァージョンもあるので、それもまたボーナストラック的魅力です。

    ●「僕の額を見ろ」
    ●「走るために生まれてきた」
    ●「四季の箱」
    の三連コンボでノックアウト。

    こっそりひそひそと音読して、こっそり満足するのです。


  • 走れば巡り進めば戻る
    過去と未来が今どこか
    遠いところで重なり合って

    《巡り会い》

    森氏の作品と対面したのも、あれは実に“出来すぎた”偶然だったのかと思ってしまうほど、森氏にはなんだかとても大きなものを感じています。離れたりくっ付いたり、さも興味なさそうにしていたり、興味あるかのように近付いたり、それは一種の魔法のようで。
    さらっとしていて的確に突いてくるその鮮明な言葉遣いが好きです。

    ぱらぱらと読んでいて、ふと気が付いて目次を見て「あっ」と思う。
    そんな沢山の作品あるとても楽しい詩集です。

    (2009.01.31)

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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