黒い本 改版 (中公文庫 タ 2-2)

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 89
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122048621

感想・レビュー・書評

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  • うーん、難しかった。というか、読むのにものすごく集中力が必要でした。気を抜くと何を読んでるのかわからなくなる。かといって集中してても何読んでるのか実はよくわからない(苦笑)一般的な小説にある物語らしきものはほとんどないので、逆に言えばどの部分を拾い読みしても、あるいは飛ばし読みしても、別に問題はないかもしれない。だってもともと連続性があまりないのだもの。

    そもそも語り手の「ぼく」が何者なのか、呼びかけられてる「おまえ」が誰なのかもよくわからず、唐突に出てくる登場人物との関係性も断片的なエピソードから読み取るしかなく、最初はもしかして多重人格者の妄想ではないかと思った。レジナホテルの住人も、グレゴリーの残した手記とやらも、全部「ぼく」の内面のことではないのかと。

    飛躍する思考回路、難解な比喩。「イメージの嘔吐」という言葉が文中にありましたが、まさにこの作品自体がそんな感じ。しかしだからといって、わからない=面白くない、ではなく、没頭するとそのイメージの奔流自体はとても面白いし、まあ一種のシュールレアリズムですよね。意味わからんなくても気になるし、好きか嫌いかと言われればそれが好きだったりする。何年か寝かしてみて、再読する元気があれば読み返してみたい。

  • インド生まれのアイルランド系イギリス人。後年フランスにて生活。こういう人の「凧の糸が切れたまま」あてどもなくさまよってる感ね、溜まらんのよね。

    レジナホテルという場所に滞在する若者達。何をするんでもなく、だらけてる。



    けだるい、いんうつ、どんより。
    一度バスツアーかなんかの事故で死んで、成仏しないまま、たむろってる感じね。「だって俺ら死んでるしさ(いじいじ)。」「え、お前、生きてる時そんなに良かった?」「いや。。。」「だろー?」

    なんかそーいう、空気読めない正しいこと言う人、つかれんねー。

著者プロフィール

1912~1990。イギリス系植民者の息子としてインドに生まれ、イギリスで育つ。小説『黒い本』『アレクサンドリア四重奏』『アヴィニョン五重奏』、紀行『苦いレモン』、詩集『私だけの国』他。

「2014年 『アヴィニョン五重奏V クインクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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