ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 73
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122048867

作品紹介・あらすじ

僕だって、戦争へ行けば忠義をつくすだろう。僕の心臓は強くないし、神経も細い方だから-映画監督を夢見つつ二十三歳で戦死した竹内浩三が残した詩は、戦後に蘇り、人々の胸を打つ。二十五歳の著者が、戦場で死ぬことの意味を見つめ、みずみずしく描いた記録。第36回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • [未知にたじろいで]23歳の若さで戦死した竹内浩三。彼が生前に遺した詩や手記の数々に共感を覚えた著者は、それらを手がかりに、自らが経験したことのない戦争の実像、そして竹内にとっての戦争とは何であったのかに迫ろうとする。いわゆる「戦争を知らない」世代に属する人間が試みた、切ないまでの模索を描いたノンフィクション。著者は、本作によって、26歳の若さにして大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した稲泉連。


    不勉強にして竹内浩三の名前と彼の作品を知らなかったのですが、厳しい世相の中での素朴な心情の吐露と柔和な言葉遣いに、著者や本書で登場する人物同様、自分も衝撃を覚えました。大きな物語としての戦争ではなく、小さな物語としての戦争が当時どのようなものであったかを考える上で非常に感じるところが多かったです。竹内の詩をめぐるドラマの数々も、少し不適切な表現かもしれませんが、何か運命じみたものを感じ、彼が非業の死を遂げたことに対して、心にぽっかりと穴が開いたような気持ちにさせられました。


    「戦争を伝える」、「戦争の記憶を語り継ぐ」という言説は多く見かけるものも、その先代からのメッセージを受け取る側がどのように解釈し、そしてときに「戦争を知らない世代」と位置付けられることへのコンプレックスを抱えながら格闘しているかを知る上でも有益な一冊。いくらもがいても戦争を知らないという事実を前にして、それでも往時の人々の心に迫ろうとした著者の労苦には本当に頭が下がるとともに、同世代の一人して自らもその姿勢を学びたい思いでいっぱいになりました。

    〜人一倍弱かった彼は、「ぼくの戦争を書く」と決めないことには、兵隊として戦争に行くことを心から受容することができなかったのかもしれない。しかし、それは兵隊であると同時に、”詩人”としても生きていく方法を、彼が見つけ出したということであると思う。〜

    これだけ著者に共感を覚えた作品も珍しい☆5つ

  • 先日、水木しげる氏の戦時記を読んだばかり。こちらの竹内浩三氏は23歳で戦死した。不自由ない環境でのびのび育ち、映画監督になることを夢見た青年は、数々の詩を残しこの世を去った。行きて帰られたら、どんな人物になっていただろうか。戦争は未来ある人々の命をいとも簡単に奪ってしまう。

  • 戦争も、いわゆる戦後の日本も知らないわたしにとって、どんな小説や映画よりも竹内浩三のことばが響いた。

  • 請求記号 911.5/In

  • 2007年69冊目

  • 未読

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