肉食の思想: ヨーロッパ精神の再発見 (中公文庫 さ 25-2)
- 中央公論新社 (2007年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122049031
感想・レビュー・書評
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この人も、基本的には保守系の歴史家だと思うけれど、煽るところがないのが上品でよい。
ブログに書きました。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201906140000/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大昔に流行った比較文明論。面白い。ただ、二項対立で押し通すパワフルな随筆なので、ごく一部のヨーロッパを戯画化している点は否めない。そしてそれ以上に、巻末の解説がお手軽な気がする(フードマイレージて)。
【著者】
著者:鯖田 豊之[さばた・とよゆき](1926-2001) 西洋中世史、比較史。評論。
解説:月尾 嘉男[つきお・よしお](1942-) メディア政策、システム工学。随筆。
【目次】
はしがき(昭和四十年十一月 鯖田豊之) [003-007]
目次 [009-012]
I ヨーロッパ人の肉食 014
ヨーロッパの家庭料理
日本との肉食率のヘだたり
パンは主食ではない
肉食はいつから始まったか
来日欧米人の困惑
II 牧畜的世界ヨーロッパ 040
日本では肉食はぜいたく
牧畜に適したヨーロッパ
ヨーロッパではパンはぜいたく
翻訳に困る「農業」
精肉業者の社会的地位
食生活と思想的伝統
III 人間中心のキリスト教 074
動物を殺す動物愛護運動
人間と動物との断絶
伝統的な人間中心主義
キリスト教の結婚観
いとこ同志は結婚できない
キリスト教と宮延愛
IV ヨーロッパの階層意識 108
「ほんのうの人間」を求めて
ぜいたくは支配者の美徳
現実社会を反映する身分制
立身出世の困難な社会
マルクス主義の背後にあるもの
インドのカースト制度
V ヨーロッパの社会意識 150
パン食から生まれた社会意識
ヨーロッパにしかない村
都市の自由と市民意識
日本に見られない身分制国家
他宗を大いに誹謗せよ
他人のことが気になる
VI ヨーロッパ近代化の背景 186
輸出可能な近代思想
伝統への反逆と強い人権意識
伝統と妥協する民主主義
フィクションでなくなった「自由と平等」
解説 日本の尺度で計測した日本人論(平成一九年六月 月尾嘉男) [214-220]
戦後最初の日本人論
肉食と宗教の妥協がもたらす人間中心主義
肉食を見直す欧米の潮流
肉食へ傾斜する日本 -
古い。
トンデモかと思ったが、わりと読めた。 -
読了。
【購入本】
肉食の思想“ヨーロッパ精神の再発見” / 鯖田豊之
これはたいへん面白い。
ヨーロッパ人の肉食。
からの
ヨーロッパ人の宗教思想
からの
ヨーロッパ人の社会思想
からの
ヨーロッパ人の近代思想
牧畜と農業におけるヨーロッパと日本の違いが実興味深く、なんでこんなに興味もってるの?俺みたいな感じです。
気候や土壌的に牧畜に向き農業に向かないヨーロッパと
気候や土壌的に農業に向き牧畜に向かない日本。
小規模で手間をかけてたくさんの実をとる方式の日本。
大規模で手間をかけずに少量の実をとる方式の欧米。
日本農業もアメリカみたいに大規模化しないと世界から完全に遅れをとるんじゃないかと、そう思っていた時期が僕にもありました…。
なるほどー。って感じです。
ガッテンガッテンガッテン。って感じです。
後半の思想はだいぶん肉食からはずれて行きますが、起点はなにせ肉食です。
食用家畜と動物愛護を完全に分離してる宗教観とか。
パンを食すことができるできない身分の違いの社会観とかね。
だからなのかー。そうなのかー。って感じですね。
最後の太平洋戦争への流れのムード的多数意思に関していえば、今の政治でもなんら変わってないわね。
この本あれなんですね。
1966年なんですね。
たいへんおもしろい本でございました。
いやーすごいわ。 -
Amazon、¥620。大先輩にすすめられて購入。
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本書は、日本人の立場で、ヨーロッパの思想的伝統を解明する試みです。食という尺度を用い、深い知識と洞察力で著された比較文化論となっています。日本のリーダたる人に読んで欲しい名著です。
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・流し読み
・人間が動物より上、というキリスト教の影響
・日本の主食は米だが、ヨーロッパ人は主食と副食の境界がない
→穀物が十分に育たない(効率でいったら日本の1/10)
→天気の影響で動物が放牧して食べれるレベルの草が生える
→結果、肉を食す
・ヨーロッパ人の断絶論理
→支配者/被支配者
→貴族/一般人
→ヨーロッパ人/ユダヤ人/アフリカ系
→人間/動物
確かに、ヨーロッパではこれが主食!と言ったものはなかった気がしたけど…極端過ぎる気がする。 -
食べ物の面からヨーロッパをみるという視点が斬新で興味深かった。
身近で必要不可欠な食べ物という視点から考察を進めていて、読みやすかったし理解もしやすかった。