- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122049079
感想・レビュー・書評
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別れとはじまりの短編集。
別れの静謐な空気の中で、希望を見つけていく温かさや力強さが胸に沁みてきます。
「空っぽのバケツ」が個人的には一番好きでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この人の小説好きです。
行間から滲んでくる諦めや傷。
それと同居しながら自分のリズムを
崩さない人たち。
素敵だし共感できます。 -
しかし、それは彼女を失ってしまった痛みによるものではなく、もう二度と戻ることはできない時間や空間を失ってしまった痛みによるものである…
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以前読んだ時はもっと、静かに流れる時間に心を動かされたような気がする。しかし今回再読してみて、その美しさよりも、あざとさを感じた。不自然に作り込まれたような、こういうふうに話を展開させれば人はこういうふうに感じるよね、というような。
この短編集のそれぞれの作品の中にある静謐さは、確かに美しい。多分、変わってしまったのは私の方なのだろうと思う。これが現実なのだと思い知らされる中で、世界はこんなに美しく存在しはしないということを知ってしまったのだ。その差異の中に、私はあざとさを感じてしまった。
ただただ美しいわけではない世界。しかしこの作品たちが孕む静謐さは、立ち止まってこの世界がたてる音に耳をすましてみることを教えてくれるような気がする。世界はこんなに美しくはないけれど、この作品の中では美しくも静かな時間が確かに流れているから。 -
大崎氏らしい静かな作品でした。
やっぱり熱帯魚が出てくると大崎ワールドが全開になりますね。 -
全6篇。別れた後のどこかけだるい感じを表現する作品よりも、「空っぽのバケツ」や「悲しまない時計」といった再生を描いた作品の方が好きでした。
しかし、物語に登場する男性の控えめなナルシストさに、村上春樹の影を感じるところ… -
東京で編集オフィスを営む山口は、飲み屋の常連客の口から偶然に小学校の同級生・沢田の音信を知らされる。
三十年間、会うことも話すこともなかった沢田の、末期癌に瀕し、死んでいった最後の一ヶ月を知った時、思うことは悲しみや嘆きではなく、かつて郷里札幌で開催された札幌オリンピックの、白く果てしない光のまばゆさだった――『サッポロの光』。
ほか、都会に住む孤独な男女の出会いと別れをドライな文体で紡ぐ6つの短篇集。
時間が静止したような、心の片隅がすこしだけ麻痺したような寂しさと、それを包むあたたかさに満ちた物語。 -
結構良かったですかねぇ…一番よいのはタイトルですね(笑)
ヽ(・ω・)/ズコー
今回もいつものように村上春樹じみた文体で綴られていましたけれども、主人公の男と恋人との展開がやはり無理があるというか…まあ、この作者なら毎度のことなんですけれどもね。どうにも無理があって読み手が感動のあまりに号泣! するやうなシーンでもどうにも興ざめしてしまう…まあ、僕は氏の書く文章が好きで読んでいるからいいんですけれどもね。 ←え?? 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
諸々の短編が収録されていましたね。この作者の作品の特徴は特別大きな感動はないにしても読後、胸にじんわりと広がる癖のような感動がある、ということでしょうか…今後も読み続けていきたく存じます。さようなら。
ヽ(・ω・)/ズコー -
”戻ることのできない日々を思い出し、必死に手にかき集めても、結局は虚ろな寂しさが残されるだけなのである。思い出はどんなに、綿密に懸命に組み合わせていっても、一枚のパズルには仕上がらない。”
大好きな大崎さんの本。
大崎さんらしい
優しく緩い時間の中での苦しみ、もがき。
色んな別れ方と向き合うお話し。
大崎さんの本を読むと
少し空気感に重量を感じてしまう。
アンニュイな気持ちになる。
でも嫌な切なさじゃないんだよなぁ。
6つの短編集ということもあり、非常に読みやすかった。 -
短編集。
話が特に面白いわけではないが、
詩のようなフレーズが鮮明に残る。
藤堂志津子さんの本と似ていて、
30歳になって読んだらまた全然違う捉え方ができるのかもしれない。
自分の力量不足でこの本の魅力を受け入れられないのが悔しい。