告白 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
4.23
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本棚登録 : 2423
レビュー : 288
  • Amazon.co.jp ・本 (850ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122049697

作品紹介・あらすじ

人はなぜ人を殺すのか-。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 明治26年に実際に起こった大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフにした大作。作者得意の関西弁を駆使して、実際の事件をモチーフにしつつもあくまで町田節。たまに入る作者からの「あかんではないか」というツッコミや、ロックバンドを引き合いに出しての例えなど、本来重くシリアスになりがちなテーマを軽妙にしていて大好きです。

    根っからの残虐非道な悪人というわけではない主人公・熊太郎が様々な紆余曲折を経てついに大量の殺人を犯すまでにいたる経緯を丹念に拾ってゆく作者の目線は、弱いもの、はぐれてゆくもの、滑稽で哀れなものへの深い愛情と共感があって、赤ん坊まで殺した残酷な殺人者でありながらどこか憎めない熊太郎という人間の一生を描き出します。どんな理由があっても、人を殺していいということはないですが、それでもこの熊太郎には共感せずにいられません。

    熊太郎の弟分で、一緒に大量殺人を行う弥五郎も、まあ言ってしまえばただのゴロツキでチンピラなわけですが、直情的で単純な性格、少年の頃に一度だけ助けてくれた熊太郎を死ぬまでアニキと慕う一途さなんか、いっそ愛おしいくらい。どこかで少しづつ少しづつ歯車が狂っていって、取り返しのつかないところまでいってしまう、その残酷な悲しさ。この分厚さを読みきるだけの価値ある傑作だったと思います。

  •  河内十人斬り事件が題材という事で、内容は大体想像できていたが、読んでいて熊太郎が幸せになってほしいと願う自分がいた。
     
     
     

  • この作品が私が生きているこの世界に傑作として受け容れられているという事実は、私にとって救いとなっている。まじめに悩みを抱えたことのある人間なら必ず、熊太郎の中に自己を見る。思弁に陥って堂々巡りを抜け出せぬどつぼ。もがいてあがいて辿り着く結末には涙を禁じ得ない。

  • あれ?おかしいな
    熊太郎は少数派だったはず。
    すくなくともあの物語の、明治初期の人らのなかには、熊太郎ほど思弁的な人間はいなかったはず。

    だのに告白を読了したという人たちの口から出てくるのは
    「熊太郎の気持ちがよくわかる」
    というもの。

    それは単に日本人の読書好きには内向的、ないし、もと内向的な人間が本を手に取る確率が高いからという理由もあろう。ましてこれだけ厚みのある本を読もうと思い、最後まで読みきり、ここにたどり着くということは、そこまでの過程で「ふるい」がかけられており、必然的に熊太郎共感組が残った、ということかな。

    レビューなのかな、これは。


    にしても、現代とはなんと捌け口の多いことか、

    昔の人らで思弁的だった人間は、誰に訴えかけることもできず、かりにそのようなことを訴えかけたとしても、「なにいうてんね、こいつ」みたいな目で見られるのがオチだったのかもしれない。
    そう考えると、心の空虚さとかなんとなく感じる孤立感とかはあるにせよ、圧倒的な孤独感に襲われることがない現代は恵まれた時代なのかもしれない。


    それにしても面白いのは、平次のことを誰も言及していないことである。
    この物語の一番の被害者は平次この人であろう。笑
    苦笑したそこのあなた、ほんとはわかっているじゃないですか。

    みなの意識が知ってかしらずか、「平次とはそういう役回りの人間である」と認識されているような、

    同情すらされない平次。

    一方、熊太郎はある意味、しあわせものかもしれない…

    サブタイトルは平次の悲劇、で決まりやね。


    付箋だらけの最高の読書体験になりました。
    町田康「告白」、おすすめです。

  • 2012/06/29
    いやぁ長かった〜笑
    独特の文章。独特の間。どぎつい河内弁。
    この人スゴイなぁ。
    私の中では、この作品はパンクな金閣寺です。笑

  • 河内十人斬りの事件を題材にしているにも関わらず、河内弁で語られる熊太郎の思弁的な心情が、実にコミカルに写実的に描かれていて独特な世界観を生み出している。
    思ったことと言葉が一致しないという苦しみに悩みながら、思ったことと反対の行動をとってしまう熊太郎は、どうしようもない侠客に成り果てるが、どこか憎めない。やっぱり私は熊太郎が好きだ。
    十人も人を殺した熊太郎が、これ程までに愛嬌のある人間なのだから、最後はやはり切なくなる。
    長編だが読みごたえたっぷりの独特な世界観は他に類を見ない。

  • 主人公、熊太郎の一生を描ききった快作。

    なんかうまくいかんなぁ、あかんなぁ。そんな気持ちが、バッキバキに音を立てて転がって、どっかにぶち当たって、ムカッときて、腹が立って、泣いてしまって、信じてしまって、そんな熊太郎に自分を重ねずにはいられないじゃないか。幼少期からその最期まで、ひたすらに描かれた、熊太郎の生き様は、滑稽で、パンクで、恐ろしくて、悲しい。

    長い小説ですが、その長さにもしっかりと意味がある作品。皆が皆、絶賛するような作品ではないだろうけども、このパワーは圧巻。感情が溢れました。それは、泣ける。とかという意味だけでなく。

  • ここ10年読んだ小説の中でも最高傑作になりそう。

  • 最高

  • 衝撃のラストでした。
    最後のセリフにこの物語の全てが込められているように思います。
    そのセリフにこれまでの自分の人生を重ねてしまいら涙が止まりませんでした。
    今のところ一番好きな本です。

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著者プロフィール

1962年生まれ、大阪府堺市出身。バンド「INU」のボーカリストとして活動する一方、俳優、詩人としても活躍。1996年「くっすん大黒」で小説家デビューし、第7回bunkamuraドゥマゴ文学賞、第19回野間文芸新人賞を同時受賞。2000年「きれぎれ」で第123回芥川賞を受賞以降は、作家としての活動にほぼ専心している。
その他受賞歴として、2001年『土間の四十八滝』で第9回萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で第28回川端康成文学賞、2005年に『告白』で第41回谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で第61回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
上記文芸作が代表作として評価を得る一方、映画化された『パンク侍、斬られて候』など、メディア化作品が多い。エッセイストとしても定評があり、『猫にかまけて』『スピンク日記』などが人気。

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