- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122049772
感想・レビュー・書評
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生活雑誌『暮しの手帖』の創刊者として、その名を知られる「花森安治」のエッセイ集『暮しの眼鏡』を読みました。
ちょっと軽い作品を読んで、リフレッシュしたかったんですよね… 昭和の匂いが漂う作品です。
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ミイハアを笑うものは、ミイハアに泣かされる。
衣食住、風俗など、身近なできごとからユーモアとエスプリたっぷりに「世の中にもの申す」。
本当の豊かさとは?
生活とは?
時代をこえて私たちに届く、『暮しの手帖』初代編集長の随筆集。
〈解説〉「松浦弥太郎」
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『小説新潮』に連載されたエッセイ(コラム?)『暮しの眼鏡』に加え、『オール讀物』や『芸術新潮』に連載されたエッセイを収録した作品… 多分、昭和20年代の作品だと思われます。
■いわゆる家常茶飯について
■求ム貸家但当方権利金無シ
■ばからしき衣裳
■未完成旅行案内
■食えば極楽
■日本国礼法改正草案
■それがどうした
■そこあげ国風物誌
■アジケナイ人の処世術
■サラリィガール十戒
■千円札の文化的使用法
■奇病パリ熱
■「暮らしの眼鏡」という本について
■解説 松浦弥太郎
60年以上も前に描かれたモノなので、当時の状況については想像に委ねながらみ進めましたが、昭和20年代とは思えない、現代にも通じる衣食住など生活全般に対する独特の考え方や意見が示され、それが活字となってテンポよく展開する作品でした… ユーモア溢れる独特のカタカナ交じりの文体も、なかなかイイ感じでしたね、、、
フツーと思っている日常生活にズバっと切り込んだ意見が冴えていて、なかなか愉しめました… 家なんか建てるもんじゃないと主張する『求ム貸家但当方権利金無シ』や、猛暑の日本でワイシャツにネクタイに上着を着て涼しい顔をして紳士面をしていること等をシニカルに綴った『ばからしき衣裳』、働く女性へ視線を当てた『サラリィガール十戒』等が印象に残りましたね。
常識に流されず、疑問を持ち、自分で考えることの大切さ… を感じさせられた作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1950年代後半頃に書かれたエッセイ集です。花森安治の批判精神は存分に発揮されているのですが、今日の社会意識からすると、それほど面白くは感じられないのです。
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衣食住にまつわる身近な出来事をユーモアとエスプリで物申す内容。時代を超えても届くメッセージは独特で強い。
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『暮しの手帖』初代編集長を務めた、花森安治のエッセイ集。
単行本の初版は1953年だというから、60年以上前のエッセイだが、少し前の朝ドラで暮しの手帖社がモデルになったせいか、なんだか親しみを持って読める。
昭和を知る世代であれば、更に思い出し笑いなども漏れるかもしれない。
逆に、若い人にはどう解釈したらいいのか迷う部分もあるかもしれないが、そういう時は逆立ちして読むと良い。
というのは、まるで「寿限無」のようなリズムでペラペラと、あっと言う間に通り過ぎていく特急のような文体なので見落としがちだが、ほとんどが逆説、風刺、皮肉という形で書かれているからだ。
しかし、最後のオチで、まあ何を隠そう自分もご多分にもれず(汗)みたいに頭を掻いてみせるのが、憎めない感じだ。
ところで、松浦氏の解説の中で、「サラリィガール」の章に言及があって、その内容を、働く女性がしあわせになるヒントが詰まっている、と解説しているが、私はそう読めなかった。
ひねくれすぎているのかしらん?
「高い給料をもらっているくせにおしゃべりばかりして、会社の電話で小一時間も私用電話、上司にだけ色目を使い、難しい仕事を頼まれれば『あら〜わたくしできませんわ〜』と悪びれもせず。そして、都合のいい時だけ男女同権をふりかざす」そういう彼女たちへのあてこすりだと思ってしまったのですが…
まあ、その結果、彼女たちがしあわせでいられるのは確かだろうし、過労死するようなことには絶対にならないでしょうね。 -
今この人が生きていたらどんなことを言うかなぁと思いながら読んだ。
本を読んでる、というより、小言を聞いてる感覚。
ユーモラスで、口うるさくて、皮肉たっぷりで、でもほんのりやさしい。
あ、あと落語みたい。
語りかけられてる気分だった。
この人のことはもっと知りたいと思う。 -
社会や世間を見る視点が独特。体勢に倣えではない、人生の大切さを説く。
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とてもセンスの良いおじさんのエッセイ。
1953年のクリエータ。
今居たら、どんなこと言うのかな。 -
久々に、「暮しの手帖」を読む機会があって、
花森安治さんのエッセイを読みたくなった。
べらんめえ調で、今のキャリアウーマンが読んだら目くじら立てそうな件もあるけれど、文章のリズムが抜群で、スラスラ読めてしまう。
誰も言わないようなことをキッパリ言い切ってて清々しい。