- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122049789
作品紹介・あらすじ
男と女のこと、大好きな着物のこと、家族のこと、そして内田百〓(けん)や宇野千代たち交流のあった文士のこと…自由な雰囲気の札幌に育ち、文学を志して上京、結婚して大阪に住まう。女性エッセイストのさきがけともいうべき森田たまが現代的かつ自由な視点で描いた第一エッセイ集。
感想・レビュー・書評
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かなり読み応えのある随筆集。晩年「森田サロン」と呼ばれた活気ある場所を作った随筆家・森田たまのデビュー作。女性が衣食住に興味が尽きないのは明治の昔から平成の現在まで変わりがない。交流があった芥川の死についてや内田百間のことがさらりと出てくるのがすごい。竹久夢二の港屋の半襟は派手すぎて並の女性には似合わないなど女心がくすぐられた。解説に「幸田文が明治のお姑さんなら森田たまはちょっと洒落た明治の伯母さん」とあったが絶妙の表現である。かつて私達のご先祖が着物をきて過ごしていたのはたった100年も前のことなのだ。
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好きすぎファン過ぎ
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「もめん随筆」は、1936年(昭和11年)に出版されたデビュー作で、70年以上の時を経て、文庫化されたもの、「今昔」も1951年(昭和26年)に刊行された書籍の復刻版です。
大正から昭和初期、着物が一番華やかだった時代の優雅なエピソードを期待していたのですが、"たまワールド"は違っていました。
続きはこちら⇒http://wanowa.jugem.jp/?eid=681#sequel -
当時読んでも面白かったろうけれど今読むと更に興味深い随筆だと思う。
明治大正、昭和初期の生活、交流、話しことば。
ところどころ思い出の風景の美しさにうっとりさせられる。
昔も今も同じようなことを世間は問題にしているんだなあと思うところと、へえこの頃はこんなのが普通だったとかと驚くところ、バランスよく両方あって、好物を時間をかけて食べてるみたいな幸福感を読んでる間中感じられた。
女中、書生、髪結い、芸者…今はまるで馴染みがないこんなひとたちにもだんだん愛着が湧いてきて、こんなひとたちが確かに生きていたんだなあ、と知らないのに懐かしい気分になる。
特に「芥川さんのこと」に登場する芥川龍之介の活き活きした描写のされ方…教科書に載っていた白黒写真のいかにも昔の文豪というイメージでしかなかった人物が、声まで聞こえてきそうに生々しく動いていて、不気味なような嬉しいような、異様な興奮を覚えながら読み進め、「七月廿四日」のオチには本当にぞっとした。
森田たまの随筆、これからどんどん読んでいきたい。 -
男女間の事、芥川龍之介や内田百閒について、生まれた札幌や結婚後住んだ関西や東京の街や女の事、着物の事等を綴った昭和11年に発表された随筆集。考え方や女に対する苦言にハッとさせられたり、頷いてみたり、今の世の中でも女の立場や男女、世間はあまり変わらないのねと思ってみたり。「着物は着るものであって着られるものでない事は誰でも知ってゐる。だが、素晴らしく豪華な衣装に着られるといふ事は、それもまた女にとって素晴らしい快楽の一つではないであらうか。」とは鋭い所を突いている。森田たまの小説、随筆をもっと読んでみたい。
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2010.07.26
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旧かな遣いだけど、意外と読みやすい。著者の目から見た大阪と東京の女性の違い(容貌や女友達との付き合い方や男性の好みなど)を読み、しみじみ楽しんだのだった。今は地域差はそれほど無いのかもしれないけれど、こういう志向の人って普通にいるよなあ、と思って、なんだか可笑しかったのでした。
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なんとなく良い奥さん的なとこが鼻につかなくもないけど…
悪くはない。 -
「鷺と雪」以来はまっている大正・昭和期のエッセイ。一つの文が長く、旧仮名遣いもあってちょっとリズムをつかむのに苦労しました。でも面白い。戦前の中の上といったおうちでしょうか。漱石、芥川、百?皆さんまだご存命で・・・。着物と洋服の二重生活、札幌、東京、大阪の暮らしの違い。「食べることが好き」というだけあって、食べ物の話は美味しそう。
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旧仮名づかいって日本語本来の呼吸が分かるし、読みなれるとこんなにいいもんはないですよ
by藤谷治:
http://www.ficciones.jp/shimokitazawa_nikki.html