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Amazon.co.jp ・本 (520ページ) / ISBN・EAN: 9784122049826
感想・レビュー・書評
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図書館で借りた。
世界の歴史シリーズ20巻目は近代のイスラーム。近代のイメージはどうしても帝国主義の欧米諸国による植民地支配がある。それは間違いないのだが、逆にイスラームから見れば「挑戦」なわけで景色が変わってくる。本書は秀吉など日本で例えたり、また近代ならではの日本人視点から見たイスラームの国々の話も多くなってくる。
後半はロシア寄りの、つまり中央アジアの話も多く、これまた世界観が広がる話題が多い。日露戦争がアジア各国に影響した、という話はよく聞くが、この具体的な話も非常に興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オスマン帝国の衰退の理由
ナショナリズムのイスラーム
日本とイスラーム
難易度 やや難
感動☆☆☆☆☆
涙線☆☆☆☆☆
興奮☆☆☆☆☆
感心★☆☆☆☆
伏線★☆☆☆☆ -
長い19世紀アンソロジーの、QJR朝イメージアップ大作戦に触発されて手に取る。7章のカージャール朝分のみ読了。なかなかに大変な時代という印象。イギリスやロシアに翻弄された外交政策。常備軍すら整備できず敗戦につぐ敗戦で領土を喪失。末期には実を結ばない、漫遊とも言える、国家財政をいためるほどのシャーの外遊などいいことなし。経済政策は無策ゆえに、外国勢力に次々と特権を与え、タバコボイコット運動など人民の強い反発を受ける、と。
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19世紀、イスラーム世界は西欧の帝国主義により存亡の危機に陥る。明治維新前から列強の圧力を受け、やがて日露戦争を引き起こす日本の動きと無縁でない改革運動と近代化への挑戦の道を、現代イスラームの民族問題とつなげて綴る。
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イスラーム社会は近代以前、ヨーロッパに対して優位にあった。ところがオスマン帝国の二度のウィーン包囲の失敗[p25]などによって徐々に衰退へと向かう。おそらくかつて地中海進出を阻まれたレパントの海戦[p107]からヨーロッパに外洋へ先んじられ、遠隔地貿易(アメリカ大陸など)を奪われ、「海に対して窒息」した状態になった[p36]ので主に軍事的、経済的に後退。
そうしたヨーロッパのグローバル•システムの確立[p67]によって徐々にあらゆる側面から挑戦を受けることになる(「西洋の衝撃」)。そして元来友好国だったフランス(ナポレオン)のエジプト侵入によってイスラームの軍事力の脆弱さが白日の下に晒されるとともにヨーロッパ帝国主義的分割競争(「東方(西方)問題」)のきっかけを与えることにもなった。
フランス軍によって混乱したエジプトにムハンマド•アリーが登場し事実上独立。そうでなくてももはやアーヤーン勢力が力をつけて中央権力を脅かしていた[p97]。なによりも、こうした混乱は現代まで続く「東方(西方)問題」[p126]のフィールドになった。その中身は侵入するヨーロッパへの各種の保守的な反動(ネオ•スーフィーやワッハーブ派など[p143])や、オスマン帝国(トルコ)とエジプトの対立[p159]など。
ようやくタンズィマート[p186]から近代化への歩みをはじめるが、ほとんど外国に頼りきったものであったため、より一層内政干渉や財政破綻を招いた[p202、260]。そもそもエジプトはムハンマド•アリーから「寄生王朝」[p207]であったために干渉への抵抗感が希薄だった。こうしたイスラーム諸国が自立するのは二度の世界大戦によるヨーロッパの自滅を待たなければならない。
またコンスタンティノープルなどに憧れるロシアの南下もオスマン帝国との対立を経験してきた。カフカース地方への南下はイスラーム社会の民族問題を浮き彫りにしたし、誘発もした[p382、386]。 -
イスラームと日本、イスラームとロシア。他ではあまり語られない(私が知らないだけかもしれませんが…)関係がしっかり書かれています。
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